シナリオ:どこで何をしたいか

シナリオとは、上位足の方向と節目(サポート・レジスタンス)から組み立てる 「この先、価格がどこまで来たら、どちら方向を狙いたいか」という仮説です。 たとえば「日足は上昇トレンド継続。直近の押し安値付近まで下がってきたら、そこは買いを狙う場所」というのがシナリオにあたります。

重要なのは、シナリオはまだエントリーの許可ではないということです。 「買いを狙う場所」を決めただけで、実際にそこで買うかどうかはこのあとの2層で決まります。 シナリオは、上位足を見ている段階でチャートを離れていても頭の中に持っておける仮説として作ります。

シナリオ 上位足 「押し安値付近で 買いを狙いたい」 まだ仮説 セットアップ 中位足 その場所に 反転の形ができた 形の確認 トリガー 下位足 確定足で 合図が出た エントリー
シナリオは仮説、セットアップは形の確認、トリガーで初めてエントリーの許可が出る

セットアップ:狙える形ができたか

セットアップとは、中位足を使って「シナリオで決めた場所に、実際に狙える形ができたか」を確認する段階です。 反転パターン(プライスアクション第1回)や保ち合い(同第2回)で扱ったような、根拠のある形がここに来て初めて意味を持ちます。

ここで大事なのは、形はシナリオの場所で起きて初めて評価するということです。 シナリオと無関係な場所にきれいな反転パターンが出ても、それは上位足の文脈から外れているため、 セットアップとしての優先順位は低くなります。同じ「形」でも、どこで出たかで意味が変わります。

トリガー:下位足の具体的な合図

トリガーは、セットアップが確認できた場所で、下位足を使って「実際にいつ入るか」を決める最後の合図です。 プライスアクションコース第3回で扱った確定足の確認や、押し戻りを使ったエントリーはここに当たります。 トリガーは3層の中で唯一「今この瞬間に入るか入らないか」を決める層なので、 ここだけルールが機械的であるほど、迷いが減ります。

トリガーだけに反応する典型ミス

複数時間足分析でもっとも多い失敗は、シナリオを持たずにトリガーだけに反応することです。 下位足を眺めていて「ちょうど良い形が出た」からエントリーする。これは一見トリガーに従っているように見えますが、 実際には上位足の方向もセットアップの場所も確認していない、ただの下位足単独の判断です。

トリガーはあくまでシナリオとセットアップがすでにある場所で初めて有効になります。 場所を決めずにトリガーだけを追いかけると、下位足には常に何かしらの合図が出続けるため、 エントリーの頻度は増えますが、根拠のない場所での取引が混ざり、成績にばらつきが出ます。

3層のどれかが欠けたら見送る

シナリオ・セットアップ・トリガーは、3つ揃って初めてエントリーの根拠になります。 どれか1つでも欠けている状態は、まだ判断材料が足りていないということです。

シナリオ どちらを狙うか セットアップ 待つ場所 トリガー 入る合図 途中が欠けたら、エントリーしない
引き金だけで入るのではなく、前提と場所がそろっているかを先に確認します。

よくある間違い

シナリオを取引のたびに作り直してしまう

シナリオは上位足がベースなので、頻繁には変わりません。含み損になったからといって シナリオそのものを都合よく作り直すと、根拠のない後付けになります。シナリオを変えるのは、 上位足の方向や節目の判断が実際に変わったときだけです。

セットアップを飛ばしてシナリオからトリガーへ直行する

「上位足の方向は合っているから」といって、中位足での形の確認を省略し、 下位足の合図だけで入ってしまうこともよくあります。方向が合っていても、 その場所にまだ形ができていなければ、早すぎるエントリーになりがちです。

実戦:3層に分けて記録する

  1. 前回の課題で言語化した3つの時間足の状態を使う:上位足の方向、中位足の状況、下位足の値動きがすでに手元にあるはずです。
  2. その状態から「シナリオ」を1文で書く:「上位足はこう。だから、ここまで来たらこちらを狙いたい」という形にする。
  3. 過去チャートを進めて、セットアップができたかを確認する:狙っていた場所に形ができたか、できなかったかを記録する。
  4. できていた場合、下位足でどんなトリガーが出たかを確認する:確定足の位置、押し戻りのタイミングを具体的に書き出す。
  5. 3層すべてが揃った回数と、途中で欠けた回数を数える:欠けた回数が多いほど、まだシナリオ先行の判断に慣れていないということです。

チェックリスト

次の記事に進む前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. 「シナリオ」の説明として正しいものは?

シナリオは仮説の段階です。実際にエントリーするかどうかは、そのあとのセットアップとトリガーの確認で決まります。

Q2. 複数時間足分析での典型的なミスとして本文で説明されているのは?

トリガーはシナリオとセットアップがある場所で初めて有効です。場所を決めずにトリガーだけを追うと、根拠のない取引が混ざります。

Q3. シナリオ・セットアップ・トリガーのうち1つが欠けている場合、どうするのが本文の推奨?

3層は揃って初めて根拠になります。どれか1つでも欠けている状態は、まだ判断材料が不十分ということです。

Q4. シナリオを頻繁に作り直すべきでない理由は?

シナリオを変えてよいのは、上位足の方向や節目の判断が実際に変わったときだけです。含み損を理由にした作り直しは後付けの根拠になります。