キリ番(ラウンドナンバー)とは
キリ番は、人間が覚えやすく、会話や注文の基準にしやすい丸い数字です。チャート用語ではラウンドナンバー、心理的節目とも呼ばれます。 過去の値動きから線を探さなくても、価格の刻みだけで取引前に候補を決められます。
ただし、銘柄の値段や普段の変動幅によって「キリのよさ」は違います。ドル円の0.500円とGoldの50ドルを同じ値幅として扱うのではなく、 その銘柄で多くの人が区切りとして認識しやすい桁を見ます。
銘柄ごとに見る刻み
| 銘柄の例 | 大きなキリ番 | 中間のキリ番 | 表示例 |
|---|---|---|---|
| USD/JPY | .000(1円刻み) | .500(50銭刻み) | 160.000 / 159.500 |
| EUR/USDなど | 末尾 .0000 | 末尾 .0050 | 1.2000 / 1.1950 |
| Gold(XAU/USD) | 100ドル刻み | 50ドル刻み | $4600.00 / $4550.00 |
これは監視候補の初期設定です。ボラティリティが大きく変われば、同じ刻みの相対的な重要度も変わります。 すべての50刻みに線を引くのではなく、現在値に近い上下数本だけで十分です。
なぜ反応候補になるのか
- 認知しやすい:人は端数より丸い数字を覚えやすく、目標や損益の基準にしやすい。
- 注文を置きやすい:利益確定、指値、逆指値などの候補が同じ桁の周辺へ集まりやすい。
- 説明を共有しやすい:市場コメントやニュースでも「160円」「金4600ドル」のように共通の基準として扱いやすい。
重要なのは、数字そのものに物理的な壁があるのではなく、その周辺を見て行動する参加者が増える可能性があることです。 注文の向きが逆なら、反発ではなく一気に抜ける場所にもなります。
ファーストタッチとは
ファーストタッチは、あらかじめ決めた1日の区切りの中で、価格がそのキリ番付近へ最初に到達することです。 最初の接触では、まだ消化されていない指値や利益確定が残っているためか、2回目以降より反発が起きやすいと観察されることがあります。
経済指標、要人発言、急なリスクイベント、強いトレンドでは、初回でもほとんど反応せず通過します。 「初回だから逆張り」ではなく、初回かどうかを反発確率に関わりうる一つの条件として記録するのが正しい扱いです。
点ではなくゾーンで見る
160.000円ぴったりで折り返すとは限りません。手前で反発することも、少し抜けてから戻ることもあります。 スプレッドがあるため、Bidチャートでは未到達に見えてもAskは到達している場合もあります。
- 許容幅を先に決める:ドル円なら160.000±何pips、Goldなら4600±何ドルと、結果を見る前に固定します。
- 到達判定に使う価格を決める:Bid、Ask、Midのどれでタッチとするかを統一します。
- 1日の境界を決める:日本時間0時、ニューヨーククローズ、取引セッション開始など、毎日同じ定義を使います。
許容幅を広げすぎると、何でも「キリ番で反発した」ことになるので注意してください。
反発とブレイクを分ける条件
| 観察項目 | 反発を待ちやすい状況 | 通過を警戒する状況 |
|---|---|---|
| 到達速度 | 減速しながら接近 | 大きな実体で急接近 |
| 接触回数 | その日の初回 | 短時間に何度も再接触 |
| 背景 | 通常の流動性、他の水平帯と重なる | 重要指標直後、強い一方向相場 |
| 価格の戻り | ゾーンを越えてもすぐ内側へ戻る | ゾーン外で終値が続き、押し戻しても再突破 |
これらは確定ルールではなく、観察項目です。損切りをキリ番のすぐ外へ機械的に置くと、一度抜けて戻る動きに巻き込まれます。 入る前に「何が起きたら反発仮説を捨てるか」を決めてください。
自分で検証する方法
「よく反発する」という印象だけでは優位性になりません。MQLやPythonを使える人は、次のようにイベントスタディとして検証できます。
- 事前定義:対象銘柄、.000/.500または100/50ドル、日付境界、ゾーン幅、Bid/Ask/Midを固定する。
- 全事例を抽出:反発した日だけでなく、条件に該当したすべてのファーストタッチを集める。
- 反応を数値化:接触後15分・30分・60分の最大有利変動と最大不利変動、終値位置を測る。
- 比較群を置く:2回目以降の接触、キリ番ではない水準、ランダムな時刻と比べる。
- 条件別に確認:東京・ロンドン・NY、上からか下からか、指標日か、ボラティリティ別に分ける。
- コストを含める:スプレッド、滑り、手数料を差し引き、別期間でも残るか確認する。
「反発したことがあるか」ではなく、ファーストタッチ後の値動きが比較群より有利か、その差がコストを超えるかを調べます。 USD/JPYで有効でもGoldで有効とは限らないため、銘柄ごとに別の仮説として検証してください。
チェックリスト
- USD/JPYは.000と.500、Goldは100ドルと50ドルを候補にした
- キリ番を1本の点ではなく、事前に決めたゾーンで見ている
- その日の初回接触と2回目以降を区別した
- 初回タッチだけで逆張りせず、通過条件と損切りを決めた
- 成功例だけでなく全接触を記録する
ミニテスト
Q1. このサイトがUSD/JPYで注目するキリ番は?
整数の.000に加えて、中間の.500も監視候補にします。
Q2. ファーストタッチの正しい定義は?
「1日」の境界と「付近」の許容幅も事前に固定する必要があります。
Q3. 160.000円を一瞬越えた後に戻ることがあるため必要なのは?
スプレッドや一時的な突破があるため、許容幅と仮説の無効化条件を先に決めます。
Q4. ファーストタッチの優位性を確かめる適切な方法は?
比較群との差がなければ、相場全体の普通の反発をキリ番の効果と誤認している可能性があります。