表記ルール:左が主役、右が値段の単位

通貨ペアは「USD/JPY」のように、通貨コードをスラッシュ(省略されることもあります)でつないで書きます。 読み方のルールは1つだけです。左の通貨1単位の値段を、右の通貨で表す。これだけです。

USD/JPY = 150.00 なら「1ドル = 150円」。左のドルが値段を付けられる主役(基軸通貨と呼びます)で、 右の円は値段を測る物差し(決済通貨)です。

USD / JPY = 150.00 左 = 基軸通貨(主役) 値段を付けられる側 「1ドル」の部分 右 = 決済通貨(物差し) 値段を測る単位 「150円」の部分 意味:1ドルの値段が 150円
通貨ペアの読み方は「左1単位 = 右でいくら」の1ルールだけ

このルールはどのペアでも同じです。EUR/USD = 1.0800 なら「1ユーロ = 1.08ドル」、 EUR/JPY = 162.00 なら「1ユーロ = 162円」です。 レートの数字が上がる = 左の通貨が右の通貨に対して高くなる、と機械的に読めます。

「買い」「売り」は左側の通貨のこと

第1回で「上がると思えば買い、下がると思えば売り」と説明しました。 ここで言う買い・売りの対象は、常に左側の通貨です。

通貨ペアの取引は交換なので、実際には「片方を買って、もう片方を売る」ことを同時にやっています。 ドル円の買いは「ドルを買って、円を売る」。ドル円の売りは「ドルを売って、円を買う」です。

ドル円を「買う」 ドル を買う を売る ドル高・円安になれば利益 (レートの数字が上がれば利益) ドル円を「売る」 ドル を売る を買う ドル安・円高になれば利益 (レートの数字が下がれば利益)
「買い」「売り」は左側(ドル円ならドル)に対する言葉。反対側の通貨は自動的に逆になる

だから「円安になると思う」は、ドル円では「買い」です。 円が安くなる = 相対的にドルが高くなる = レートの数字が上がる、という順番で考えると迷いません。

主要な通貨と通貨ペア

世界には多くの通貨がありますが、FXで取引量が多いのは一握りです。まず名前と記号だけ覚えれば十分です。

通貨コード 通貨 特徴(ざっくり)
USD米ドル世界の基軸通貨。ほぼすべての相場の中心
EURユーロ取引量2位。欧州圏の共通通貨
JPY日本円私たちの生活通貨。金利が低い時期が長かった
GBP英ポンド値動きが大きめ。初心者向きではない
AUD豪ドル資源国通貨。中国経済の影響を受けやすい
CHFスイスフラン「安全資産」とされることが多い

通貨ペアのうち、米ドルを含むペア(USD/JPY、EUR/USD、GBP/USDなど)を「ドルストレート」、 米ドルを含まないペア(EUR/JPY、GBP/JPYなど)を「クロス」と呼びます。 特に右側が円のクロス(EUR/JPYなど)は「クロス円」と呼ばれ、日本では人気があります。

クロス円は「合成されたレート」

BISの3年ごとの調査では、為替取引の約9割で米ドルが取引の一方の側になっています。 取引のほとんどが米ドルを介して行われるため、 クロス円のレートは2つのドルストレートから計算で作られています

EUR/USD 1ユーロ = 1.08ドル × USD/JPY 1ドル = 150円 = EUR/JPY 1ユーロ = 162円 1.08 × 150 = 162 ユーロ円は「ユーロドル」と「ドル円」の両方の影響を受けて動く
クロス円のレートはドルストレート2本の掛け算。独立した1つの市場ではない

つまりユーロ円の値動きは、「ユーロドルの動き」と「ドル円の動き」の合算です。 2つの要因で動くぶん値動きが複雑になりやすく、 クロス円はドルストレートより難易度が一段上だと考えておくのが安全です。

よくある勘違い

「円高 = レートの数字が上がる」ではない

ドル円の数字は「1ドルの値段」なので、円高になると数字は下がります(150円 → 145円は円高)。 ニュースの「円高」「円安」とチャートの上下が逆に感じる人は、「この数字はドルの値段だ」と読み替えてください。

ドル円の数字は「ドルの値段」 USD/JPY 150 1ドル = 150円 145円 円高 155円 円安 数字が下がる = ドルが安くなる = 円が強くなる。ニュースの言葉とチャートの上下を分けて読む
ドル円では、数字が下がるほど円高。見ている数字は「円の値段」ではなく「ドルの値段」

「通貨ペアをたくさん見るほうが有利」ではない

監視するペアを増やすと、チャンスが増える以上に判断の質が下がります。 1つのペアの値動きの癖を覚えるほうが先です。ペアを増やすのは、記録と検証の習慣ができてからで遅くありません。

「レートが安いペアはお買い得」ではない

レートは通貨1単位の交換比率であって、株価のような「割安・割高」ではありません。 ユーロドルの1.08がドル円の150より「安い」わけではなく、単位が違うだけです。

実戦:最初はドル円1本でいい

これから勉強を進めるうえでは、ドル円(USD/JPY)を教材にするのがおすすめです。理由は3つあります。

  1. 情報が最も手に入りやすい:日本語のニュース・解説のほとんどはドル円中心です。値動きの背景を調べる練習がしやすい通貨ペアです。
  2. 取引コストが安い:取引量が世界有数に多いため、スプレッド(第3回で説明します)が狭く、初心者の練習コストが最小で済みます。
  3. 1円 = 1万円の計算が直感的:第1回でやったとおり、1万通貨なら「1円動くと1万円」。損益の見積もりが暗算でできるので、リスク管理の練習に向いています。
最初はドル円1本で学習の変数を減らす 情報が多い ニュースと解説を 追いやすい コストが低い 主要ペアで スプレッドが狭い 計算が直感的 1万通貨なら 1円 = 1万円 ペアを増やすのは、1本で「読む・記録する・振り返る」ができてからで十分
ドル円が簡単という意味ではない。最初は見る対象を絞り、学習の変数を減らす
ここが重要

「ドル円が簡単」という意味ではありません。どのペアでも勝つのは難しいです。 ここで言っているのは、学習の変数を減らすということです。 ペア選びに迷う時間をなくし、1つの通貨ペアで「読む→記録する→振り返る」の型を作るのが先です。

チェックリスト

次の記事に進む前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. USD/JPY = 150.00 の意味として正しいのは?

読み方のルールは「左の通貨1単位の値段を、右の通貨で表す」でした。左がUSDなので「1ドルの値段が150円」です。

Q2. 「ドル円を売る」とは、実際には何をしている?

買い・売りは常に左側の通貨(ドル円ならドル)に対する言葉です。ドル円の売り = ドルを売って円を買う。反対側の通貨は自動的に逆になります。

Q3. 円高が進むと、ドル円のレートの数字はどうなる?

ドル円の数字は「1ドルの値段」です。円の価値が上がる(円高)と、1ドルを買うのに必要な円は少なくなるので、数字は下がります(150円 → 145円)。

Q4. ユーロ円(EUR/JPY)のレートはどうやって作られている?

世界の為替取引のほとんどは米ドルを介して行われるため、クロス円はドルストレート2本(EUR/USD × USD/JPY)の掛け算で作られます。2つの要因で動くので、値動きは一段複雑になります。