pips:値動きを測る共通の物差し

pips(ピップス)は「percentage in point」の略で、値動きの最小単位を数えるための物差しです。 通貨ペアによって桁が違うレートを、共通の言葉で語るために使います。

ドル円(USD/JPY) 150.123 この桁が 1pips = 0.01円 150.12円 → 150.13円 で 1pips 150円 → 151円 なら 100pips ユーロドル(EUR/USD) 1.08123 この桁が 1pips = 0.0001ドル 1.0812 → 1.0813 で 1pips 最後の桁はさらに下の0.1pips単位
1pipsの桁は通貨ペアで違う。多くの業者はその1桁下(0.1pips)までレートを表示する

「ドル円が50pips動いた」= 0.5円動いた、ということです。 なぜわざわざpipsで言うかというと、通貨ペアが違っても値動きの大きさを比べられるからです。 「ユーロドルが50pips動いた」と「ドル円が50pips動いた」は、だいたい同じ規模の値動きとして扱えます。

ロット:取引量の単位

ロットは取引量(通貨量)の単位です。注文するとき「何ドル買う」ではなく「何ロット買う」と指定します。 注意点として、1ロットが何通貨かはFX会社によって違います

1ロットの定義 主な採用先 ドル円150円のとき1ロットの取引額
1万通貨 国内FX会社の多く 約150万円
10万通貨 海外業者・MT4/MT5系 約1,500万円
1,000通貨 国内の一部(ミニ・マイクロ) 約15万円
ここが重要

「0.1ロット」の意味が会社によって1,000通貨だったり1万通貨だったり、10倍違うことがあります。 口座を開いたら、まず「この会社の1ロット = 何通貨か」を必ず確認してください。 この確認を飛ばして注文量を間違えるのは、初心者が実損を出す典型的なパターンです。

ドル円が「1円」動いたときの損益(取引量に正比例する) 1,000通貨 ±1,000円 1万通貨 ±1万円 10万通貨 ±10万円 同じ値動きでも、取引量が10倍なら損益も10倍
リスクの大きさを決めているのはレートの予想ではなく取引量

損益計算:pips × 取引量

pipsとロットが分かると、損益は掛け算1つで計算できます。

損益の計算式(円が右側のペア)

損益(円) = 値動き(pips) × 0.01円 × 取引量(通貨)
例:20pips × 0.01 × 1万通貨 = 2,000円

150.20 150.00 149.70 150.00で1万通貨買い +20pips → +2,000円 −30pips → −3,000円 損益(円)= pips × 0.01 × 通貨量。取引の前に両方向とも計算しておく
1万通貨なら「pips数 × 100円」と覚えると暗算できる(20pips = 2,000円)

1万通貨で取引するなら「1pips = 100円」です。これだけ覚えれば、 「損切りまで30pips → 負けたら3,000円」「利確目標まで50pips → 勝てば5,000円」と、 エントリー前に損益の見積もりが立てられます。 後のリスク管理のコースでは、この計算を逆向きに使って「許容できる損失額から取引量を決める」方法を学びます。

スプレッド:毎回必ず払うコスト

レートを見ると、実際には2つの価格が並んでいます。 あなたが買うときの価格(Ask)売るときの価格(Bid)で、Askのほうが少し高く設定されています。 この差がスプレッドで、実質的な取引手数料です。

Bid(あなたが売る値段) 150.000 Ask(あなたが買う値段) 150.003 スプレッド 0.3pips 150.003で買った瞬間、売れるのは150.000 → ポジションは必ず「スプレッド分のマイナス」からスタートする 1万通貨なら 0.3pips = 30円 を取引のたびに払っている
スプレッドは「買値と売値の差」。手数料無料とうたわれていても、このコストは必ず発生する

ドル円のスプレッドは国内では0.2〜0.3pips程度が一般的で、1回あたりの金額は小さく見えます。 ただし取引回数に比例して確実に積み上がるのがスプレッドの性質です。 1日10回取引すれば、それだけで毎日3pips前後をコストとして払う計算になります。 また、経済指標の発表前後や早朝はスプレッドが普段の何倍にも広がることがあり、「普段0.2pipsだから」という前提は崩れます。

よくある勘違い

「pips」と「円」を混ぜて考えてしまう

「10pips = 10円」ではありません。ドル円の10pipsは0.1円です。 pipsはレートの変化量、円の損益はpips × 取引量で初めて決まります。この2つは常に分けて考えてください。

「スプレッドが狭いから何回取引してもいい」ではない

スプレッドが狭いことと、取引回数を増やしていいことは別の話です。 根拠のない取引を10回すれば、コストが10回分積み上がるだけです。コストの安さは「無駄な取引の言い訳」には使えません。

「1pipsの価値はどのペアでも同じ」ではない

1pipsがいくらになるかは、通貨ペアの右側の通貨と取引量で変わります。 円が右側のペアなら計算は簡単ですが、ユーロドルのようなペアでは1pipsの価値はドル建てになり、円換算にはドル円レートが絡みます。 最初のうちは「円が右側のペアなら1万通貨で1pips = 100円」だけ確実に覚えれば十分です。

pipsは値幅、円は損益 10pips ドル円なら0.10円の値幅 1,000通貨 = 100円 1万通貨 = 1,000円 10万通貨 = 1万円 円の損益 pips × 取引量 で初めて決まる 「10pips = 10円」ではない。pipsと円を混ぜるとリスク計算を間違える
pipsはレートの変化量。実際の損益額は、そこに取引量を掛けて初めて決まる

実戦:損益は円ではなくpipsで記録する

この先トレード日誌をつけるとき、損益は円だけでなくpipsでも記録することをおすすめします。理由は2つです。

  1. 取引量の影響を分離できる:円の損益は取引量を変えると比較できなくなります。pipsで見れば「読みが当たっていたか」だけを純粋に評価できます。
  2. コストが見えるようになる:「平均利益8pips・平均損失10pips・スプレッド0.3pips」のように並べると、自分の取引がコスト負けしていないかを数字で確認できます。
同じ+10pipsでも円の損益は取引量で変わる +100円 1,000通貨 +1,000円 1万通貨 +1万円 10万通貨 日誌では円損益とpipsを分ける。pipsは読みの成績、円は取引量を含んだ結果
円だけで見ると取引量の影響が混ざる。pipsも記録すると、判断そのものを振り返りやすい

「今日は+5,000円だった」ではなく「+50pipsだった(1万通貨)」と言えるようになると、 検証や振り返りの精度が一段上がります。日誌の付け方自体は、検証コースで詳しく扱います。

チェックリスト

次の記事に進む前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. ドル円の1pipsはいくら?

円が右側のペアでは1pips = 0.01円です。150.12円 → 150.13円が1pips、150円 → 151円なら100pipsです。

Q2. ドル円を1万通貨で取引して30pips負けた。損失はいくら?

損益(円)= pips × 0.01 × 通貨量。30 × 0.01 × 10,000 = 3,000円です。1万通貨なら「1pips = 100円」と覚えると暗算できます。

Q3. スプレッドとは何のこと?

スプレッドは買値と売値の差で、実質的な取引手数料です。「手数料無料」とうたわれていても、このコストは取引のたびに必ず発生します。

Q4. 買いポジションを持った直後の損益はどこから始まる?

買うのはAsk、売れるのはそれより低いBidなので、買った瞬間はスプレッド分のマイナスからスタートします。取引回数が増えるほど、このコストが積み上がります。