RSIを作ったワイルダー

RSIの開発者は、米国のテクニカルアナリストJ. Welles Wilder Jr.(J・ウェルズ・ワイルダー・ジュニア)です。 ワイルダーが考案したのはRSIだけではありません。値動きの大きさを測るATR、方向と強さを整理するDMI/ADX、 トレンド追随と手仕舞いに使われるParabolic SAR(パラボリック)も、ワイルダーが開発した代表的な指標です。

現在も多くのチャートソフトに標準搭載されている重要指標を、同じ人物がいくつも生み出しました。 RSIを単独の必勝サインとしてではなく、値動きの一つの性質を数値化する道具として扱う姿勢は、ほかのワイルダー系指標にも共通します。

J. Welles Wilder Jr.の肖像写真
J. Welles Wilder Jr. — 写真: MissMarciaWare / Wikimedia CommonsCC BY-SA 4.0、変更なし)

オシレーターとは何か

インジケーターは大きく2系統に分かれます。

オシレーター(oscillator)は「振り子」の意味です。レートと違って上限と下限の間を往復するので、 「いまどちらの端に寄っているか」を読む道具です。RSIはその代表格で、仕組みが最も単純です。

RSIの仕組み

RSI(Relative Strength Index/相対力指数)は、おおまかに言えば 「直近14本の値動きの合計のうち、上昇分が何%を占めるか」です。

つまりRSIは新しい情報を何も足していません。直近の値動きの「偏り」を1本の数値に要約しただけです (移動平均線と同じ構図です。元データは常に同じ値動きです)。 期間14は考案者の設定で、世界中がこの初期値のまま見ています。第4回で言ったとおり、いじらず固定してください。

「70で売り・30で買い」の罠

RSI 70以上が「買われすぎ」、30以下が「売られすぎ」と呼ばれ、「70に来たら逆張りで売る」と教える解説が無数にあります。 この使い方には、機能する相場と破綻する相場がはっきり分かれています。

レンジ相場:機能する 上昇トレンド:張り付く レート 70 30 RSI 70/30の端で反転→逆張りが効く 70以上に張り付いたまま伸び続ける
同じRSIでも、相場の分類によって「効く道具」にも「損の量産機」にもなる

だから手順は常に、①第2回の方法で相場を分類する → ②レンジと分類できたときだけ、RSIの端を「反転の候補」として水平線(第3回)と重ねて見る、の順です。 RSI単体でのエントリー根拠にはなりません。

ダイバージェンス:知っておく価値のある現象

レートは高値を更新しているのに、RSIの山は前回より低い。この食い違いをダイバージェンス(逆行現象)と呼びます。 「値段は伸びたが、値動きの勢い(偏り)は前回ほどではなかった」という意味で、トレンドの勢いが衰えつつあるサインとして知られています。

ただし扱いは慎重に。ダイバージェンスは「トレンドの終わりが近いかもしれない」という注意報であって、反転の号砲ではありません。 ダイバージェンスが出たまま、トレンドがさらに何日も続くことは普通にあります。 使い方としては「逆張りの理由」ではなく、「利益を伸ばしているポジションの警戒レベルを上げる」「新規の追いかけ買いを控える」程度が現実的です。

価格は高値更新、RSIは勢い低下 価格は高値更新 70 RSIの山は低下 = 勢いが弱まる注意報 注意報であって、即売りサインではない
ダイバージェンスは勢い低下の観察。反転を決めつける材料ではなく、追いかけを控える材料

よくある勘違い

「買われすぎ=もうすぐ下がる」と読む

買われすぎは「直近の上昇の偏りが大きい」という事実の要約であって、下落の予告ではありません。 強い相場ほど買われすぎ表示が続きます。

RSIと移動平均線とMACDを全部表示して「多数決」する

3つとも同じ値動きの加工品なので、多数決に意味はありません(第4回)。オシレーターを足すなら1つだけ。 補講を読んだ上で「移動平均線だけで足りる」と判断するのも、まったく正しい結論です。

期間14を最適化する

9にすると敏感に、25にすると鈍くなりますが、それは感度と引き換えのダマシ増減にすぎません。 「最強の期間」は存在せず、いじり続けるのは過去への後付け合わせです(第4回と同じ結論)。

実戦:張り付きを自分の目で確認する

この記事の主張を鵜呑みにせず、自分のデータにする課題です。

  1. ドル円1時間足にRSI(14)を表示する:前回までの移動平均線はそのままで構いません。
  2. 過去チャートで「RSIが70を超えた場面」を20回探す:それぞれについて、直後に反落したか、張り付いて伸びたかを記録します。
  3. そのとき相場がレンジだったかトレンドだったかを併記する:第2回の分類で。20例並べると、「70売りが効いた場面」がどちらの分類に偏っているか、自分の目で確認できます。

チェックリスト

次の記事に進む前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. RSIがおおまかに表しているものは?

直近(通常14本)の値動きの偏りを0〜100に要約した数値です。新しい情報は足しておらず、元データは常に同じ値動きです。

Q2. 強い上昇トレンド中、RSIが75になった。最も正確な解釈は?

「買われすぎ」は下落の予告ではなく、強さの表示でもあります。トレンド相場での70逆張りは損切りの連打になりがちです。

Q3. RSIの70/30逆張りが比較的機能しやすいのは?

「行きすぎたら戻る」というRSIの前提は、往復するレンジ相場でのみ値動きと一致します。相場の分類→道具の選択、の順番です。

Q4. レートは高値更新、RSIの山は切り下がり(ダイバージェンス)。適切な使い方は?

ダイバージェンスは注意報であって号砲ではありません。出たままトレンドが続くことも普通にあるため、逆張りの単独根拠にはしません。