MACDとボリンジャーバンドを作った2人

ジェラルド・アペル:MACDの開発者

Gerald Appel(ジェラルド・アペル)は、MACD(Moving Average Convergence/Divergence)の開発者です。 定量的・体系的なテクニカル分析を重視し、1973年に投資ニュースレター「Systems and Forecasts」を創刊しました。 35年以上にわたり顧客資産の運用にも携わり、投資に関する著書を17冊執筆した人物です。

MACDは複雑な未来予測モデルではなく、短期と長期の移動平均の差を見える形にしたものです。 アペルの経歴と一貫する、数値化しやすくルールへ落とし込みやすい指標だといえます。 略歴の出典と顔写真はCMT AssociationのGerald Appelプロフィールで確認できます。

アペルの写真をこのページへ転載していない理由

本人と確認できる写真は見つかりましたが、再利用ライセンスが明示された素材は確認できませんでした。 画像URLが分かっても転載許可があるとは限らないため、ここでは出典ページへのリンクに留めています。

ジョン・ボリンジャー:ボリンジャーバンドの開発者

John Bollinger(ジョン・ボリンジャー)は、CFA・CMTの資格を持つ米国のテクニカルアナリストで、 1980年代初頭にボリンジャーバンドを開発しました。固定幅の帯ではなく、その時々のボラティリティに合わせて帯が広がったり縮んだりする設計が特徴です。 自身の公式サイトでも、ほかの指標と組み合わせて確認する道具として説明しています。

John Bollingerの肖像写真
John Bollinger — 写真:Dorit Kehr / Wikimedia Commons (パブリックドメイン)

MACD:移動平均の差=勢い

MACD(マックディー)の本体は、たった1行で書けます。 MACD線 = 短期EMA(12) − 長期EMA(26)。 2本の移動平均線の「間隔」を、そのまま折れ線にしたものです。

これに、MACD線自身をさらに平均したシグナル線(9)と、2本の差を棒グラフにしたヒストグラムを添えたのが通常の表示です。 部品はすべて移動平均です。第4回の「遅れる」性質もそのまま受け継ぎます。

レートと移動平均線 短期EMA 長期EMA この間隔が… 0 MACD線(実線)/シグナル線(点線)/ヒストグラム(棒) 「…下の折れ線になる」。間隔が開けば伸び、縮めば0へ向かう
MACDの正体は移動平均2本の間隔。新しい情報は足されていない

MACDの読み方と限界

実用的な読み方は2つに絞れます。

「MACDとシグナルのクロスで売買」という定番の使い方の弱点も、第4回のクロスの話と同一です。 移動平均由来なのでレンジ相場ではクロスが頻発してダマシだらけになり、トレンドでは出るのが遅くなります。 相場の分類が先、はここでも変わりません。

ボリンジャーバンド:変動幅の物差し

ボリンジャーバンドは、移動平均線(通常20期間)の上下に、 標準偏差(σ・シグマ)×2の帯を引いたものです。標準偏差は「最近の値動きのばらつきの大きさ」なので、こう読めます。

バンドウォーク:逆張り誤解の正体

「±2σは滅多に超えないのだから、バンドにタッチしたら逆張り」。この解説は今も大量に出回っています。 そして強いトレンドが来るたびに、同じ事故が起きます。

+2σ 20MA −2σ 逆張り売り①損切り ②損切り ③損切り バンド上限に沿って伸び続ける=バンドウォーク。タッチ逆張りは連続損切りになる
強いトレンドではバンド自体が拡大しながら傾き、レートは±2σに沿って歩き続ける

これをバンドウォークと呼びます。バンドは過去の変動から計算されるので、トレンドが加速すればバンド自体が広がって傾き、 レートは±2σに沿ったまま何日でも進みます。RSIの張り付き(第6回)とまったく同じ構造です。 考案者のジョン・ボリンジャー自身が「バンドタッチはそれ自体では売買サインではない」と明言しています。

3つ知ったら、もう増やさない

補講2回で扱ったRSI・MACD・ボリンジャーバンドと、本編の移動平均線。気づいたと思いますが、全部に同じ結論が出ました。

  1. 元データは同じ値動き。新しい情報は足されない
  2. レンジとトレンドで挙動が正反対になる。相場の分類(第2回)が常に先
  3. 「サインの丸暗記」は、分類を無視した瞬間に損の量産機になる
元データは同じ。増やすほど判断が増える 価格データ 移動平均 RSI MACD ボリンジャー 学習中は移動平均線1〜2本。足すなら1つだけ。多数決ではなく役割を決める
インジケーターを増やしても、元の情報は同じ値動き。増えるのは迷いと後付け解釈

だからこのコースの推奨は変わりません。常用は移動平均線1〜2本。オシレーターを足すなら1つまで。 4つ目のインジケーターを探し始めたら、それは手法探しの旅(リスク管理第3回)の入り口です。 インジケーターの知識はこれで「他人の解説が読める」水準に達しています。次に増やすべきは道具ではなく検証の例数です。

実戦:2週間でどれか1つに絞る

  1. 1週目:MACDを表示して毎日1行記録する:「0ラインの上/下・ヒストグラム伸び/縮み」と、その日の相場分類。
  2. 2週目:ボリンジャーバンドに入れ替えて同じことをする:「幅が広い/狭い・バンドウォークの有無」。
  3. 2週間後、常用を決める:移動平均線のみ/+RSI/+MACD/+ボリンジャーのどれかに決めて、以後固定します。決めた理由を1行、日誌に書いてください。

チェックリスト

補講修了前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. MACD線の正体は?

MACD=短期EMA(12)−長期EMA(26)。2本の移動平均線の間隔を折れ線にしたものです(Cの説明はRSI)。

Q2. ボリンジャーバンドの±2σの帯が表しているのは?

帯は「最近の変動ペース」の物差しであって、壁ではありません。相場の分布は教科書どおりではないため「95%収まる」も文字どおりには成立しません。

Q3. 強い上昇トレンドで「+2σタッチで逆張り売り」を繰り返すとどうなりやすい?

トレンドではバンド自体が広がって傾き、レートは±2σに沿って進み続けます(バンドウォーク)。タッチ逆張りが機能しうるのはレンジ相場です。

Q4. 補講2回を終えた後の、このコースの推奨構成は?

元データが同じなので多数決に意味はなく、入れ替え続けるのは手法探しの旅です。少数を固定し、増やすのは道具ではなく検証の例数です。