FVGの厳格な3本足定義

FVGは、連続する3本のローソク足の幾何学的な関係によって機械的に定義されます。

種類 正式名称 定義(空白の範囲) 市場の内部状態
上昇FVG
(Bullish FVG)
SIBI (Sell-side Imbalance
Buy-side Inefficiency)
1本目の高値 〜 3本目の安値 の間の隙間 2本目で強烈な買いが殺到し、売り注文が板から消滅したため、売りが提供されなかった「買いの不均衡」
下落FVG
(Bearish FVG)
BISI (Buy-side Imbalance
Sell-side Inefficiency)
1本目の安値 〜 3本目の高値 の間の隙間 2本目で強烈な売りが殺到し、買い注文が板から消滅したため、買いが提供されなかった「売りの不均衡」
上昇FVG(CE: 50% = 167.5) 1本目 2本目:変位(Displacement) 3本目 1本目高値 3本目安値
2本目の急激な大陽線により、1本目の高値と3本目の安値の間に「取引が成立しなかった空白領域(FVG)」が生じる

もし2本目の足がどれほど長くても、1本目の高値と3本目の安値のヒゲ同士が触れ合っていれば、そこにはFVGは存在しません。 ヒゲ同士が重ならない「価格帯のギャップ」が残って初めて、アルゴリズムが再訪すべき不均衡として登録されます。

回補(Mitigation)とCE(50%水準)の力学

相場は不均衡を嫌い、効率的な取引を回復しようとする性質(Rebalancing)を持ちます。 そのため、一度急進してFVGを残した価格は、しばしばその隙間を埋めるように引き戻されます。これを「回補(Mitigation / リバランス)」と呼びます。

CE(Consequent Encroachment)とは

FVGの上限と下限のちょうど中央値(50%の水準)を、ICTではConsequent Encroachment(CE)と呼びます。 CEはFVGの中で最も強力な反発・支持ラインとして機能します。

① CE(50%)で反発・推進 CE 50% CEで綺麗に反発して続伸! ② 終値で完全貫通 → IFVG転換 IFVG(レジスタンス化) 裏面テストで戻り売り転換!
FVGに価格が入ってきた時の反応:CE(50%)で綺麗に反発するか、終値で貫通して役割が逆転するかを監視する
回補の深さ 価格の挙動 強さの示唆 トレーダーの判断
浅い回補 FVGの端にわずかに触れただけで急反発 トレンドが極めて強い 絶好の順張りシグナル。乗り遅れに注意
CE(50%)回補 CEまで潜り込んでヒゲで反発 最も理想的な押し目/戻り 指値をCEに置くのがICTの王道エントリー手法
完全回補(100%) FVGを完全に埋め尽くす やや勢いが鈍化している 1本目高値を下回って終値確定しないか注視
貫通・無効化 実体(終値)がFVGを完全に突き抜ける そのFVGはサポートとして死亡 IFVG(逆向きの抵抗帯)として再定義する

IFVG(Inverse FVG)への転換と無効化

「FVGを割られたから損切りして終わり」ではありません。 ICTの高度な戦略では、破られたFVGこそが次の絶好のエントリーポイントになります。これをInverse FVG(IFVG: 反転FVG)と呼びます。

初心者が陥る典型的な3大誤認

1. 「FVGを見つけたら即エントリー」で損切り貧乏

チャート上には無数のFVGが存在します。1分足や5分足を開けば、数本おきに小さなFVGが見つかるでしょう。 そのすべてで逆張りや順張りを仕掛ければ、あっという間に口座が破産します。 「上位足の流動性(BSL/SSL)回収」→「下位足の構造転換(MSS)」の後に発生したFVGだけを厳選してください。

2. 「FVGは必ず埋まる」という信仰による無限ナンピン

強烈な一方通行のトレンド相場では、FVGは一切埋められることなく数千pips突き進むことが多々あります(いわゆるRunaway Gap)。 「いつか埋まるはずだから」と逆張りを続け、ナンピンを重ねるのは自滅行為です。何本以内に回補されなければ諦めるかという時間制限ルールを設けてください。

3. ブローカーごとの気配値のズレを考慮しない

FX業者のスプレッドや配信サーバーの違いにより、数ポイント〜1pip程度の微小なFVGは、あるブローカーでは存在し、別のブローカーではヒゲが重なって消えている場合があります。 ノイズに惑わされないよう、最低でもスプレッドの2倍以上、あるいはATRの10%以上の幅がある明確なFVGだけを対象にしてください。

FVGをフィルタリングする実務ルール

  1. 上位足(1時間足〜4時間足)のFVGを先に描く:下位足のノイズに惑わされず、まずは大口が注目する大きな不均衡ゾーンを特定する。
  2. Displacementとの合致:そのFVGを生み出したローソク足が、直近の主要スイング(BOSまたはMSS)を破壊しているかを確認する。
  3. CE(50%)に指値を配置:FVGの上限(下限)ではなく、CE水準にリミット注文を置き、リスクリワード比を1:2〜1:3以上に引き上げる。

実戦課題

USD/JPYまたはXAU/USD(ゴールド)の15分足チャートで検証してください。

  1. 過去1週間のチャートから、明確なDisplacement(大陰線または大陽線)によって生まれたFVGを5つ見つけてマークする。
  2. それぞれのFVGが「CE(50%)で反発したか」「完全に埋まったか」「貫通してIFVGになったか」を記録する。
  3. 貫通されたFVGが、その後の戻りで実際にレジスタンス/サポート(IFVG)として機能した事例を1つ見つけてノートに記録する。

チェックリスト

ミニテスト

Q1. 上昇FVG(Bullish FVG)の正確な価格帯の定義は?

正解はBです。上昇FVGは、急伸した2本目の足の両隣にある「1本目の高値」と「3本目の安値」が重なり合わずに残された不均衡空間を指します。

Q2. FVGにおけるCE(Consequent Encroachment)とは何のこと?

正解はAです。CE(Consequent Encroachment)はFVGの上限と下限のちょうど半値(50%)であり、注文の再均衡が達成される極めて重要な水準です。

Q3. FVGのバックテスト検証で、後付けバイアスを防ぐために最も不可欠な条件は?

正解はCです。無期限に待てばいつかは価格が戻るため、「いつまでに埋まらなければ失敗とするか」という時間制限を固定しなければ客観的な勝率を算出できません。

Q4. IFVG(Inverse FVG)の正しい理解は?

正解はBです。IFVGはサポートとして破られた上昇FVGがレジスタンスに転換するなど、サポレジ転換を果たした元FVGを指します。