ミス1:ロット過大

最も破壊力が大きいミスです。前回の計算式を使わず、「早く増やしたい」でロットを決めると、 数回の負けで口座の大部分を失います。しかも厄介なことに、ロット過大は最初のうち「うまくいく」ことがある。 たまたま勝てば口座は急増し、成功体験として記憶されます。そして同じロットで負けたとき、増えた分ごと消えます。

対策はすでに学びました。1回のリスクを口座の1%に固定し、損切り幅からロットを逆算する。 「今日は自信がある」は、ロットを変える理由として認めない。自信の強さと的中率が無関係なことは、記録をつければすぐ分かります。

ミス2:損切りルール違反

置いた損切りを動かす、そもそも置かない、切った直後に入り直す。第1回でやった内容の違反すべてがここに入ります。 なぜ分かっていて破るのか。損失を確定させる痛みが、含み損を抱え続ける痛みより大きく感じられるからです(人間の標準仕様で、あなたが弱いのではありません)。

だから対策は精神論ではなく、判断の余地を消すことです。エントリーと同時に逆指値をサーバーに置く。 できれば注文時にセットで入れる(IFO注文)。「あとで置こう」は置かないのと同じです。

ミス3:ポジポジ病

常にポジションを持っていないと落ち着かず、根拠のない場面でもエントリーしてしまう状態です。 1回1回の損は小さくても、スプレッドと小さな負けが積み重なり、月末に「なぜか減っている」口座になります。

原因ははっきりしています。「エントリーする条件」だけがあって「エントリーしない条件」がないからです。 チャートコースで学んだ道具は、すべて「入らない理由」としても機能します。

トレードの仕事の大半は「待つ」です。見送った相場を記録して「入らなくて正解だったか」を検証すると、 見送りが損ではなく技術だと実感できます。

ミス4:リベンジトレード

負けた直後、「取り返したい」の一心で根拠の薄いエントリーを繰り返す行動です。 ロット過大と組み合わさりやすく(取り返すには大きく張る必要があるため)、口座が一晩で壊れるときのほぼ定番の経路です。

リベンジ中の自分を、その場で自覚するのはほぼ不可能です。だから前回決めた停止ルール(2連敗で当日終了など)を機械的に使います。 「今は冷静だから大丈夫」と感じているときこそルールどおりに止まる。冷静さの自己申告は当てになりません。

ミス5:検証不足のまま手法を乗り換える

手法Aで数回負ける→「この手法はダメだ」→手法Bを探す→また数回負ける→手法Cへ……。 この「手法探しの旅」は、初心者が数年単位で足止めされる沼です。

問題は2つあります。第一に、数回の結果では手法の良し悪しは判定できません。勝率5割の手法でも5連敗は普通に起きます(前回参照。実際の分布はドローダウン計算機で確認できます)。 第二に、乗り換えるたびに経験がリセットされ、どの手法にも習熟しません。

対策は、1つの型(たとえばチャートコースでやった押し目買い)を、まず過去チャートで50〜100例検証してから使うこと。 そして実戦では、手法の成績ではなく「ルールを守れた率」を先に評価することです。 ルールを守れていないなら、その成績は手法の成績ではなく、ミス1〜4の成績です。検証の具体的なやり方は、検証コースで扱います。

負けトレード発生 ルールを守れていたか? いいえ 規律の問題 ミス1〜4を塞ぐ はい 検証データに記録 50例たまるまで 手法は評価しない 数回の負け → 手法を乗り換え この経路は通行止め
負けの原因を「規律」と「手法」に仕分ける。仕分けなしの乗り換えが沼の入り口
ロット過大 1回が重い 損切り遅れ 予定が消える 取り返しトレード 判断が雑になる どこか1つを止めるだけで、連鎖は切れる
資金管理の失敗は単発では終わらず、次の悪い判断を呼びやすくなります。

実戦:自分の穴を特定する

読んで終わりにしないための課題です。

  1. 直近の負けトレード10回を書き出す(デモ・実口座どちらでも。まだ取引経験がなければ、この項目は将来の宿題として保存)。
  2. それぞれに5つのミスのラベルを付ける:「ロット過大」「損切り違反」「ポジポジ」「リベンジ」「検証不足(そもそも検証していない型で入った)」「該当なし(ルールどおりの負け)」。
  3. 最多のラベルが、あなたの塞ぐべき穴:対策は本文のとおり、すべて「事前のルール化」です。自分の穴に対応するルールを1行で書き、次のトレードから適用します。

「該当なし」が大半なら、あなたはすでに初心者を抜けています。その負けは手法の検証データであって、直すべきミスではありません。

チェックリスト

コース修了前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。

ミニテスト

最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。

Q1. 「ロット過大」が特に危険な理由として、本文が挙げたのは?

すぐ失敗すれば学べますが、ロット過大は「うまくいってしまう」ことがあるのが罠です。増えた口座は、同じ行動を続ける限り同じ倍率の負けで消えます。

Q2. ポジポジ病の根本原因として本文が挙げたのは?

入る条件しかなければ、どんな相場もどこかしら「入れそう」に見えます。分類できない相場・候補地から遠い場所・待てない位置・時間外、という「入らない条件」が歯止めになります。

Q3. リベンジトレードへの対策として本文が推奨したのは?

リベンジ中の自分をその場で自覚するのはほぼ不可能なので、感情と無関係に作動する事前ルールで遮断します。冷静さの自己申告は当てになりません。

Q4. 手法Aで4連敗した。正しい対応は?

4連敗は勝率5割でも普通に起きる範囲で、手法の評価はできません。まず規律の問題か手法のデータかを仕分け、評価は例数(50例以上)がたまってからです。