TL;DR
昨日の振り返り
- 10日のドル円は153.56円で始まり、153.29円まで下げたあと154.67円まで上昇し、154.42円で終了しました。米PPIが前月比0.4%となり、来週のFOMCで利上げする確率が約70%まで上昇。米金利高とドル買いが円高の流れをいったん押し戻しました。
- 貴金属はGold・Silver・Platinumがそろって下落しました。NY金12月限は4407.30ドルで1.20%安。11日アジア時間の現物Goldは4324.79ドル、Silverは63.39ドル、Platinumは1773.93ドルで、金利上昇の逆風がはっきり出ています。
- 原油は中東の供給不安で急騰し、Brentは108~110ドル近辺、WTIも103ドル台へ上昇。米10年債利回りは4.97%付近まで上がり、インフレ再加速への警戒が株・債券・Goldに同時に重くのしかかりました。
今日の見通し
- ドル円は154円台半ばで推移しています。米金利高はドル円を押し上げる一方、日本の企業物価が前年比7.6%となり、来週の日銀会合で1.25%へ利上げするとの観測が円を支えています。155円手前では上値が重くなりやすいとみます。
- Goldは4300ドル台前半が焦点です。米CPIが強ければ米10年債利回り5%突破とドル高が意識され、4300ドル割れを試す可能性があります。逆にCPIが弱ければ、金利低下を伴う4325~4350ドル回復を確認したいところです。
- 本日21:30の米8月CPIが今週最大のイベントです。23:00にはミシガン大学消費者信頼感指数も予定されています。発表直後の1本を追うより、米金利・ドル・Goldが同じ方向を維持するか確認してから参加する方針が適しています。
10日のドル円は154円台へ反発、米PPIでドル高
事実
10日のドル円は、みんかぶFX配信の四本値で始値153.56円、高値154.67円、安値153.29円、終値154.42円でした。前半は153円台で推移しましたが、米PPI発表後に米金利が上昇し、ドル買いが強まって154円台後半まで上昇しました。
Reutersによると、11日アジア時間のドル指数は99.081付近で、ドル円は154.615円前後。米8月PPIは前月比0.4%となり、Fedが来週25bp利上げする確率は約70%まで高まりました。原油高によるインフレ懸念もあり、「日銀利上げで円高」という単純な相場から、「日米ともに利上げ観測」という難しい局面へ移っています。
分析
前日高値154.67円を超えられるかが最初の確認点です。10日の高値・安値・終値から計算したピボットは154.13円付近、抵抗1は154.96円、支持1は153.58円です。現在値はピボットより上にあり、短期的にはドル買い優勢ですが、154.95~155.00円は心理的にもテクニカルにも重いゾーンになります。
上方向は155円を明確に抜け、押し戻されても154.95円を維持できれば155.50円方向を試しやすくなります。反対に154.13円を割り、153.58円も維持できなければ、PPI後のドル高が剥落し、153円前半へ戻る可能性が高まります。
ただし、来週の日銀利上げ観測が強いため、ドル円の上昇をそのまま「円安トレンド再開」とみるのは早いでしょう。日銀は来週25bp利上げして政策金利を1.25%へ引き上げる見通しとReutersが報じています。さらに片山財務相は、為替市場について米国と緊密な意思疎通を続ける方針を改めて示しました。円売りを積み上げるには心理的なハードルが残ります。

Gold・Silver・Platinumは金利高でそろって下落
事実
Goldは再び下方向です。みんかぶ先物によるとNY金12月限の10日終値は4407.30ドル、前日比53.40ドル安、1.20%下落でした。11日アジア時間のReutersでは現物Goldが4324.79ドルで0.2%高となっていますが、週間では2%超下落し、3週連続安に向かっています。先物と現物で水準が異なるのは限月プレミアムなど商品の違いによるものです。
Silverは63.39ドル、Platinumは1773.93ドルで、ともに小幅安。前日早い時間のみんかぶ先物ではNY銀12月限が64.855ドル、NYプラチナ1月限が1818.2ドルまで下落しており、貴金属全体に金利高の圧力が波及しました。
分析
Goldは安全資産需要だけでは上昇できない相場になっています。中東情勢は本来Gold買いの材料ですが、現在は中東情勢→原油高→インフレ警戒→米金利上昇という経路が強く、結果としてGoldの逆風になっています。
4300ドルは心理的な節目です。CPI前に4300ドルを維持できるなら下値売りはやや慎重にしたいところですが、CPI上振れと米10年債5%突破が同時に起きれば、4300ドル割れの加速に注意します。逆にCPI下振れで米金利が低下するなら、まず4350ドル、次に4400ドルの回復を確認します。
Silverは63ドル、Platinumは1750ドルを短期の下値目安とします。Goldより値幅が大きいため、Silverは特にサイズを落とす必要があります。Platinumは1800ドルを回復できれば売られ過ぎ修正が意識されますが、現状はGoldと同様に戻りの確認が必要です。
原油109ドルと米10年債5%接近が市場の主役
事実
本日の横断材料は原油です。ReutersによるとBrent原油は108.68~108.96ドル付近、WTIは103.45ドル付近まで上昇しています。Brentは週間で約13%高となり、4カ月ぶりに週末を100ドル超で終える可能性が高まっています。
背景は中東の供給不安です。親イラン武装勢力によるイエメンの港湾掌握や紅海・ホルムズ周辺での攻撃が続き、原油輸送への障害が長期化するとの警戒が強まっています。OPECの8月生産もReuters調査で64万バレル/日減少しており、需要面より供給面が相場を押し上げています。
同時に米10年債利回りは4.9708%まで上昇し、5%が目前です。豪州や日本の国債利回りも複数年ぶりの高水準へ上昇し、世界的に債券売りが広がっています。
分析
今は「原油を見ることが、為替とGoldを見ること」に近い局面です。原油が110ドルを越えて定着すれば、米CPIが多少弱くてもインフレ懸念が簡単には消えず、長期金利が下がりにくくなります。これはGoldにとって上値抑制要因です。
ドル円では逆方向の力が働きます。高い米金利はドル高、原油高は日本の交易条件悪化を通じて円安材料です。一方、日本のインフレ上昇と日銀利上げ観測は円高材料です。そのためドル円は155円を一気に上抜けるより、154~155円で材料を消化する可能性が高いと考えます。
日本の企業物価7.6%、来週の日銀1.25%利上げ観測
事実
11日朝に発表された日本の8月企業物価指数は前年比7.6%上昇し、市場予想7.4%を上回りました。Reutersによると、円ベースの輸入物価は前年比24.8%上昇しており、中東情勢による燃料高と過去の円安の影響が企業コストに強く残っています。
Reutersはまた、日銀が来週の会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げる方向と報じています。実現すれば3カ月で2回目の利上げとなり、金融政策正常化のペースは従来より速くなります。
分析
この材料は中期的には円買いですが、短期では原油高が相殺します。企業物価7.6%は日銀に利上げを促す一方、同じ原油高が日本の輸入代金を増やし、円売り需要も増やすからです。このため「企業物価が強い=すぐドル円売り」とは限りません。
日銀会合までは、155円を超えるドル円上昇では利上げ前の円買いが入りやすく、153円前半まで下がれば原油高と高い米金利を理由にドル買いが入りやすい、という往復が起きやすいと考えます。方向より水準を重視したい局面です。
本日21:30の米CPIが今週最大のイベント
事実
みんかぶFXの経済指標カレンダーでは、本日21:30に米8月CPI、23:00にミシガン大学消費者信頼感指数が予定されています。Reutersのエコノミスト調査では、CPIは前月比で総合0.4%、コア0.2%が中心予想です。
PPI後にFed利上げ確率が約70%まで上昇しているため、CPIが市場予想からわずかにずれるだけでも、米金利・ドル・Goldの反応が大きくなる可能性があります。
分析
見る順番はCPIそのものより、米10年債利回り→ドル指数→ドル円・Goldです。CPI上振れでも米10年債が5%を突破できずに反落するなら、ドル高やGold安を追わない方がよいでしょう。逆にCPIが予想内でも、長期金利が5%を超えて定着するなら、Goldは弱い状態が続きやすくなります。
CPI下振れでは米金利低下・ドル安・Gold高が基本ですが、ドル円には日銀利上げ観測もあるため、他のドルストレートより下方向へ動きやすい可能性があります。発表直後はスプレッド拡大と往復が起きやすいので、最初の1本を追わず5~15分程度のリテストを待つ方針が適しています。

本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円は154.13円を短期の中心、154.95~155.00円を上値の分岐、153.58円を下値の分岐として見ます。CPI前は154円台でのレンジを想定し、155円手前で上値が止まるなら戻り売り、154.13円を維持して154.95円を抜けるなら短期的なドル買いを検討します。
CPI上振れ後に154.95円を明確に上抜け、米10年債利回りも5%を超えて維持するなら155.50円方向を意識します。ただし来週の日銀利上げ観測があるため、155円台では利益確定を早めます。反対にCPI下振れで153.58円を割り、戻しても同水準を回復できなければ153円前半から152円台への再下落を警戒します。
AUDやクロス円も、今日は個別材料より米CPIと原油の影響が大きくなります。AUDJPYは円要因が強いため、AUDUSDとUSDJPYを分けて確認してから判断します。
貴金属の戦略
Goldは4300ドルを最重要ラインとします。4300ドルを維持し、CPI後に米10年債利回りが低下するなら4350ドル回復を狙う短期ロングを検討します。4350ドルを超えた後に押し目が崩れなければ4400ドルが次の目標です。
一方、CPI上振れ・米10年債5%超・ドル高が同時に揃い、Goldが4300ドルを明確に割る場合は逆張り買いを避けます。Silverは63ドル、Platinumは1750ドルを短期支持として確認し、支持割れではGold以上の値幅拡大に警戒します。
今日は「CPIの数字」ではなく「CPIを受けた米金利の方向」を最優先します。数字だけを見て飛びつかず、米金利・ドル・Goldが同方向を維持することを確認してから入る方針です。
引用文献
- Reuters「Dollar holds gains, yen slips as Mideast energy shock deepens」2026-09-11
- Reuters「Gold on track for third weekly loss as US inflation data looms」2026-09-11
- Reuters「Oil prices set to end week over $100 for first time in nearly 4 months」2026-09-11
- Reuters「Global bonds buckle as surging oil prices inflame inflation risks」2026-09-11
- Reuters「Japan’s wholesale inflation stays elevated in August, boosts case for rate hike」2026-09-11
- Reuters「BOJ set to lift rates next week but offer few clues on terminal, sources say」2026-09-11
- Reuters「Japan to maintain close communication with US on currency markets, Katayama says」2026-09-11
- Reuters「US CPI, where the significant and the silly collide」2026-09-11
- みんかぶ先物「金は1.20%安=NY金終値」2026-09-11
- みんかぶ先物「NY金12月限は54.6ドル安の4406.1ドルで推移」2026-09-11
- みんかぶFX「経済指標カレンダー」2026-09-11
- ライブドアニュース(みんかぶFX配信)「10日の為替市場の四本値(ドル円・ユーロドル・ユーロ円)」2026-09-11
免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。


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