週間相場振り返り 2026/09/06 – 09/12

今週の気になった値動き、データ、ニュース、論文などをまとめます。

今週の相場を動かした3つの軸

1.原油100ドルと中東の供給リスク

 イランを巡る緊張、ホルムズ海峡の通航制限、フーシ派によるサウジのエネルギー施設・海上交通への攻撃が重なり、9月10日のブレントは6.34%高の107.63ドル、WTIは6.69%高の102.48ドルとなりました。週末には協議期待から反落しましたが、週間では8%を超える上昇です。

原油高は産油国通貨を支える一方、日本の交易条件悪化を通じて円高を抑制。米欧では期待インフレと政策金利見通しを押し上げ、国債安・株安へ波及しました。Reuters

2.米インフレと「次は利上げ」の織り込み

8月の米PPIは前月比0.4%、前年比5.4%、CPIは前月比0.4%、前年比3.4%。コアCPIは前月比0.3%と市場予想の0.2%を上回りました。エネルギー価格上昇が財価格へ波及し始めたことから、9月FOMCでの0.25ポイント利上げ確率は約85~90%へ上昇しました。

米2年・10年債利回りとドルが上昇しましたが、CPI発表後は材料出尽くしのドル売りも入り、ドル円は154.48円付近から153.24円付近まで反落しました。米労働統計局・PPI米労働統計局・CPI

3.円キャリー巻き戻しと日米当局の円安けん制

週初に156円台だったドル円は、持ち高調整と円キャリー取引の巻き戻しで9月8日に152.89円まで下落。9日にはベッセント米財務長官の投機的円売りへの警告、10日には日銀・増委員の利上げ継続発言が円を支えました。

ただし、原油高と米長期金利上昇が日本の輸入コストと日米金利差を意識させ、ドル円は週後半に154円台を回復。円高材料と円安材料が衝突する値動きになりました。

 

 

今週の外為市場

【7日】

●東京

ドル円は156円前後で始まり、一時156.28円まで上昇しましたが、実需の円買いと持ち高調整で155.81円へ下落。156.20円台へ戻した後、終盤には155.55円付近まで売られました。クロス円も上値を抑えられました。

●ロンドン

米国のレーバーデーを控えて薄商いとなるなか、ストップを巻き込み円買いが加速しました。ドル円は155円台から154.06円まで下落し、2月以来の安値を付けた後、154円台半ばへ戻しました。ユーロ円は179円台、ポンド円は208円台まで下落しました。

●NY

レーバーデーで米国市場は休場でした。

 

 

【8日】

●東京

円キャリー取引の巻き戻しが続き、ドル円は154.30円台から152.89円まで急落しました。売り一巡後は153.60~90円へ反発。ユーロ円は177.86円、ポンド円は207.10円付近まで下落しました。

●ロンドン

中東情勢を受けた原油高と米10年債利回りの4.8%超えを背景にドル円は154.42円まで反発しました。ユーロ円は179.29円、ポンド円は209円超へ戻し、東京市場の円高が一部巻き戻されました。

●NY

ドル円は154円台で上値を抑えられました。FRBのタカ派姿勢と日銀の利上げ観測が交錯し、ユーロドルは1.16ドル台、ポンドドルは21日移動平均線付近で上値の重い展開でした。

 

 

【9日】

●東京

ベッセント米財務長官が投機的な円売りをけん制したことから、ドル円は154.01円付近から153.25円へ下落しました。153.80円へ戻した後、ロンドン勢の参入に伴って再び152円台へ下落。ユーロ円は178円台前半、ポンド円は207円台半ばまで軟化しました。

●ロンドン

ドル円は152.95円まで下げた後、153.70円付近へ反発しました。短期間で約7.5円下落していたため売られ過ぎが意識された一方、原油高による円売りも入り、153円台前半で方向感を欠きました。

●NY

米財務省が10~20年債を最大60億ドル買い戻すと発表しましたが、市場の期待を下回ったと受け止められました。米金利とドルが上昇し、ドル円は153円台後半へ。ただし154円付近では売りが強く、ユーロドルは1.16ドル台、ポンドドルは1.35ドル台で推移しました。

 

 

【10日】

●東京

ドル円は153.70円から、日銀・増委員の利上げ継続発言を受けて153.29円まで下落しました。その後、米国の財政を巡る発言で米10年債利回りが4.84%付近へ上昇すると153.60円台へ反発。増委員の会見が講演ほどタカ派的でないと受け止められ、153.68円付近まで戻しました。

●ロンドン

原油が97ドル付近、米10年債利回りが4.865%付近まで上昇し、ドル円は154.18円まで上昇しました。ユーロドルは1.162ドル、ポンドドルは1.353ドル付近へ下落。クロス円は円売りに支えられました。

●NY

強い米PPIで利上げ観測が高まり、ドル円は154.65円まで上昇。原油も100ドルを突破しました。ECBは予想どおり0.25ポイント利上げし、ラガルド総裁の発言もタカ派的だったため、ユーロドルは1.15ドル台から1.16ドル台へ反発しました。

 

 

【11日】

●東京

原油反落で日本の交易条件悪化懸念が和らぎ、ドル円は154円を割って153.96円付近へ下落しました。ユーロ円は178.80円、ポンド円は208.10円付近。RBNZのタカ派姿勢を背景にNZドル円は89.99円付近まで上昇しました。

●ロンドン

IEAによる需要見通し引き下げやホルムズ海峡を巡る協議期待で原油が下落し、円とドルがやや買われました。ドル円は153円台、ユーロ円は178円台半ば、ポンド円は208円割れ。フランスの財政懸念もユーロの上値を抑えました。

●NY

米CPIはおおむね予想どおりでしたが、コア前月比が予想を上回り、ドル円は154.00円付近から154.48円へ上昇しました。その後は材料出尽くしで153.24円まで反落し、153円台半ばで終了。ユーロドルは1.1569ドルまで下げた後、1.161ドル付近へ反発しました。

 

    

   

今週の重要ニュース

1位 中東情勢の悪化で原油が100ドル突破

発生日時:2026年9月10日~11日JST

概要:ホルムズ海峡の通航低迷に加え、イラン系フーシ派によるサウジ施設や紅海航路への攻撃が激化。9月10日にブレントは107.63ドル、WTIは102.48ドルで取引を終えました。11日にはサウジの東西パイプラインも一時停止しました。

為替・金融市場への影響:原油は週間で8%超上昇。期待インフレと世界の長期金利を押し上げ、円などエネルギー輸入国通貨の重荷になりました。ハイテク株や長期債にも売りが波及しました。

今後の注目点:ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の通航、サウジの供給能力、イランと湾岸諸国の暫定協議です。

情報源:Reuters・9月10日の原油急騰Reuters・サウジ東西パイプライン停止

 

 

2位 米PPI・コアCPIが強く、9月利上げ観測が約9割へ

発表日時:PPI=2026年9月10日21:30 JST、CPI=11日21:30 JST

概要:8月PPIは前月比0.4%、前年比5.4%。エネルギーは前月比4.2%上昇し、ディーゼルは24.1%急騰しました。CPIは前月比0.4%、前年比3.4%、コア前月比は予想を上回る0.3%でした。

為替・金融市場への影響:米利上げ確率は約85~90%へ上昇し、米2年債利回りとドルが上昇。ただしCPI発表後は利食い売りも強く、ドル円は往って来いとなりました。

今後の注目点:FOMCが実際に利上げするか、原油高を一時的な供給ショックと判断するか、政策金利見通しがどこまで上方修正されるかです。

情報源:米労働統計局・PPI米労働統計局・CPIReuters

 

 

3位 円キャリー取引が巻き戻され、ドル円は一時152.89円

発生日時:2026年9月7~9日JST

概要:ドル円は週初の156円台から約3.4円下落しました。投機筋の円売り縮小、日銀利上げ観測、米国側の円安けん制が重なり、クロス円でも円買いが進みました。

為替・金融市場への影響:CFTCでは円先物の投機筋ネットポジションが1週間で約10.3万枚改善し、円売り越しから円買い越しへ転換しました。ただし原油高と米金利上昇により、ドル円は152円台を維持できませんでした。

今後の注目点:日銀が1.25%へ利上げするか、152~153円台で円キャリーの巻き戻しが再開するか、米国の円安けん制が続くかです。

情報源:みんかぶFXCFTC・円先物

 

 

4位 ECBが0.25ポイント利上げ、預金金利は2.50%

発表日時:2026年9月10日21:15 JST

概要:ECBは主要3金利を0.25ポイント引き上げ、預金ファシリティー金利を2.50%、主要リファイナンス金利を2.65%としました。2026年のインフレ見通しは3.0%、成長率は0.9%です。

為替・金融市場への影響:発表直後のユーロは売られましたが、ラガルド総裁が物価リスクを強調すると反発。ドイツ10年債利回りは3.5%台へ上昇しました。

今後の注目点:10月以降の追加利上げ、エネルギー価格の賃金・サービス物価への波及、フランス財政不安です。

情報源:ECB・金融政策決定ECB・政策声明

 

 

5位 世界的な国債売り、米10年債利回りが5%に接近

発生日時:2026年9月9~11日JST

概要:米財務省は10~20年債を最大60億ドル買い戻すと発表しましたが、規模が市場期待を下回りました。原油高、インフレ、財政赤字、国債・社債の大量発行も重なり、世界的に長期債が売られました。

為替・金融市場への影響:米10年債利回りは一時4.979%、30年債は5.38%台へ上昇。ドイツ10年債は3.5%台、日本10年債は約2.99%となりました。世界株式ファンドからは9月9日までの週に155億ドルが流出しました。

今後の注目点:米10年債の5%突破、FOMC後の金利見通し、国債入札需要、財務省の買い戻し増額です。

情報源:Reuters・世界的な国債売り米財務省買い戻し報道

 

 

 

ファンダ

投機筋ポジション

CFTCデータは2026年9月8日火曜日時点です。9~11日のPPI、CPI、ECB理事会、原油急騰は反映されていません。

対象先物非商業ロング非商業
ショート
ネットネット前週差読み方
Japanese Yen178,791枚167,995枚+10,796枚+103,023枚先週の−92,227枚から円買い越しへ急転換。円キャリー解消の規模が大きい
UST 10Y NOTE558,175枚1,392,958枚−834,783枚+74,492枚大幅売り越しは継続。ただしショートが78,854枚減り、弱気ポジションは縮小
Gold261,007枚29,047枚+231,960枚+3,836枚金買い越しが小幅拡大。地政学・インフレ・財政不安へのヘッジ需要を示唆

  

JPY

 

米10年債

 

Gold

 

 

重要経済指標・休場

今週
ほぼ事前予想通りでした。

 

来週
米英日の政策金利発表があります。米日ともに利上げが予想されています。

FOMCの日程は9月15~16日であることをFRB議事要旨でも確認できます。Investing.com経済カレンダーFRB・FOMC議事要旨

  

 

 

来週注目のシナリオ

1.FRBが利上げし、追加利上げ余地も残す

想定材料:0.25ポイント利上げに加え、経済見通しや議長会見がタカ派的。
反応しやすい資産:ドル、米2年・10年債、金、グロース株。
確認条件:米10年債が5%を明確に突破し、ドル円が154.50~155円を回復するか。
崩れる条件:利上げしても声明が「一時的な供給ショック」重視となり、追加利上げを示唆しない場合。

 

 

2.日銀利上げと円キャリーの再巻き戻し

想定材料:日銀が1.25%へ利上げし、植田総裁が追加正常化を示唆。
反応しやすい資産:円、クロス円、日本国債、銀行株、輸出株。
確認条件:ドル円が152.89円を割り、150円方向へのストップを誘発するか。
崩れる条件:利上げが完全に織り込み済みで、総裁が今後の利上げに慎重な姿勢を示す場合。

 

 

3.原油供給不安が再燃

想定材料:ホルムズ海峡や紅海での通航悪化、サウジ施設への追加攻撃。
反応しやすい資産:原油、円、カナダドル、ノルウェークローネ、世界長期債。
確認条件:ブレントが107.63ドルを上回り、米10年債が5%へ再接近するか。
崩れる条件:イランと湾岸諸国が通航確保で具体的に合意し、100ドルを割り込む場合。

 

 

4.英CPIとBOEの組み合わせ

想定材料:英CPIが上振れし、BOEが据え置きながら追加利上げを示唆。
反応しやすい資産:ポンド、英国債、ポンド円。
確認条件:ポンドドルが1.36ドル台を回復するか。
崩れる条件:CPI下振れまたはBOEが景気減速を優先する場合。 

 

 

  

週間マーケット・ダッシュボード

サマリ

基準は、為替が9月7日の東京市場序盤と9月11日のNY終値付近、株式・商品・金利・暗号資産が9月11日の各市場終値または確認できた直近値です。

資産週初・週間レンジ週末水準
USD/JPY約156.00、レンジ152.89~156.28約153.5~153.7
EUR/USD主に1.15~1.16台1.1597
GBP/USD主に1.35ドル台1.3525
S&P50077177,656.98
NASDAQ総合26,52826,333.03
NYダウ53,11552,573.29
日経平均65,60064,011.34
米10年債利回り一時4.979%約4.975%
日本10年債利回り2.914%約2.985%
Gold4,422ドル約4,390ドル
Brent原油92ドル104.61ドル
WTI原油92ドル100.05ドル
Bitcoin80,303ドル約77,230ドル

情報源:Reuters・米国株と週間騰落率Reuters・原油週間実績Trading Economics・市場一覧

 

 

各指数

今週も軒並み軟調。NASDAQはなんとか持ちこたえているが、ここが崩れると一旦下げトレンドになりそう。

 

 

Gold

どの通貨建てもちょい下げとなりました。ちょい上げになるかと思ってたんですが。来週も$4,300-$4,400のレンジを予想しています。

 

  

FX通貨ペア

今週はとにかく円が買われましたね。米ドルも上げているので米ドルが売られたわけではない。ベッセントの口先介入は中二病を思わせるが、今のところキャリーの巻き戻しを起こし、シカゴ投機筋ポジもネットロングになるなど今のところ効いている。

 

 

各国国債利回り

ECBが0.25%の利上げをしましたが、ラガルド総裁がタカだったので市場の折り込みが進みEU国債利回りは上昇へ。

 

  

ヒートマップ(週間騰落)

米株
今週は軟調でした。%はそこまでではないもののちょっとトレンド転換が心配になるレベル。

  

世界株
こちらも軟調でした。

  

日本株
ここまで真っ赤なのは久しぶり。キオクシアとソフバンは頑張ってる。

  

クリプト
まあ通常運転。

  

 

 

MQL5.com新作

Daily Zone Recovery EA mt5 for GOLD 

ナンピンは全くおすすめしないが、作ったことがない人は見てみるのも良いとは思います。運用はしないほうがいい。

 

 

 

AI関連

1.OpenAIが長時間稼働するクラウドエージェント向け「Agents API」を公開

公開日:2026年9月10日
発表主体:OpenAI

技術・サービスの概要:Codexで使われているエージェント実行基盤をAPIとして提供するパブリックベータです。コンテキストの自動圧縮、必要なツール定義だけを読み込むツール検索、プログラム的なツール呼び出し、サブエージェントによる並列作業、長時間セッションを統合しています。

従来技術との違い:開発者が独自にプロンプトチェーン、状態保存、ツール調停、再試行、サンドボックスを組み立てる代わりに、OpenAI管理のCodexハーネスを利用できます。実行環境はOpenAIホスト、自社環境、提携サンドボックスから選択できます。

なぜ重要なのか:モデル単体ではなく、「何時間・何日も仕事を続けるエージェント実行基盤」がAPI化されたことで、企業システムへの導入障壁が下がります。

限界:パブリックベータで仕様変更の可能性があります。顧客事例のコスト削減、速度、評価点改善は各社による初期評価で、共通条件の独立ベンチマークではありません。

公式発表:OpenAI「Introducing the Agents API」

 

 

2.Anthropic、AIエージェントがサイバー攻撃をほぼ自律実行した事例を報告

公開日:2026年9月10日
発表主体:Anthropic Threat Intelligence

概要:2025年12月~2026年8月に検出・遮断した悪用事例を、サイバー攻撃、影響工作、監視、詐欺、生物、兵器、モデル蒸留の7分野で報告しました。あるShinyHunters関連事例では、AIエージェントが環境調査、スクリプト作成、権限拡大、データ窃取をほぼすべて実行。別の攻撃では1TB超のデータが盗まれたとしています。

従来との違い:人間が一つずつ攻撃手順を指定するのではなく、人間は大まかな目標を与え、AIが対象環境を理解して試行錯誤を繰り返す「vibe hacking」が実運用段階へ進みました。

なぜ重要なのか:高度な技術者が少なくても、複雑な侵入やマルウェア改変を高速・大規模に実行できる可能性を示します。

限界:Anthropic自身の利用記録と調査に基づき、全事例を第三者が監査したものではありません。紹介された事例は典型例ではなく、特に重大・新規なものを選んでいます。

公式報告:Anthropic「Countering misuse of AI: September 2026」

 

 

3.全二重音声モデル「GPT‑Live‑1」をAPI提供

提供開始日:2026年9月10日
発表主体:OpenAI

概要:聞く処理と話す処理を同一モデルで同時に行い、利用者の割り込み、相づち、沈黙、背景音へリアルタイムに対応します。複雑な推論やツール利用はGPT‑6 Astraなどのバックエンドモデルへ委譲できます。

従来との違い:音声認識、LLM、音声合成を直列接続する方式に比べ、中間処理の遅延や会話ターンの不自然さを抑えます。電話対応にも利用できます。

重要性:予約、顧客対応、教育、遠隔支援などで、人間の会話に近い音声エージェントを構築しやすくなります。

限界:Full Duplex Benchで従来モデルを30ポイント上回ったとの結果や、Speakで割り込みを約80%削減したとの結果は、OpenAIまたは顧客による評価です。独立した多言語・実環境評価はまだ限定的です。料金は音声フロントエンドだけで毎分0.05ドルで、バックエンドモデル等は別料金です。

公式発表:OpenAI「GPT‑Live‑1 in the API」 

 

 

 

健康

夜間の明るい光は、数年後の心臓の構造・機能変化と関連

公開日:2026年9月9日
研究主体:英国・オーストラリアなどの国際研究チーム
研究デザイン:UK Biobankを使った前向き観察研究
対象者:成人11,071人。手首センサーで7日間の光曝露を測定し、約3年後の心臓MRIと比較

主な結果:夜間に3ルクスを超える光を多く浴びていた人ほど、左心室壁が厚く、心室腔が小さく、心筋ストレインが低い傾向がありました。右心室や心房の指標にも関連がみられました。

なぜ重要なのか:夜間照明を睡眠時間だけでなく、将来の心臓リモデリングと結び付けた大規模な客観測定研究です。

実生活への示唆:寝室を暗くし、就寝中の照明や画面光を減らすことは、睡眠衛生に加えて心血管面でも合理的な習慣となる可能性があります。

研究上の限界:観察研究であり、夜間光が心臓変化を引き起こしたとは断定できません。光の測定は1週間だけで、生活習慣、交代勤務、騒音、社会経済状況などの残余交絡があり得ます。

原著:European Heart Journal「Nighttime light exposure and cardiac structure and function」 

 

 

その他、ニュース・雑学など

1.2万5,000年前の人類はビンロウジを口に含んでいた

公開日:2026年9月9日

何を調べた研究なのか:インドネシア・スラウェシ島で見つかった約2万5,000~1万6,000年前と約7,600~6,300年前の人骨について、歯の溝、残留化学物質、人工唾液を使った実験を組み合わせ、ビンロウジの利用を調べました。

主な結果:歯の溝から、ビンロウジの有効成分アレコリンと整合する残留物が検出されました。実験では、実を噛まなくても長時間口に含むだけでアレコリンが溶け出すことが確認されました。

どこが面白いのか:歯を道具のように使った痕跡から、先史時代の人が植物による刺激や軽い酩酊感を得ていた可能性を推定しています。

役立つ可能性:薬用・儀式用植物の利用史、植物と人類文化の共進化、歯石・歯表面から古代の行動を復元する技術につながります。

限界:分析対象は少数の人骨で、使用目的が痛み止め、儀式、嗜好品のどれだったかは分かりません。残留物から習慣的使用を完全に証明することもできません。

原著:Science Advances「Betel nut sucking is the earliest recorded evidence for plant drug use」

 

 

2.恐竜の糞の中から、絶滅した水鳥の羽毛が見つかった

公開日:2026年9月10日

何を調べた研究なのか:約6,600万年前のヘルクリーク層から見つかった恐竜の糞化石をCTと鉱物分析で調べました。

主な結果:糞化石の内部から、潜水性水鳥ヘスペロルニス類とみられる保存状態のよい羽毛、骨、魚の鱗が見つかりました。ヘスペロルニス類の羽毛が確認されたのは初めてです。

どこが面白いのか:羽毛そのものではなく、それを食べた恐竜の「うんち」が、絶滅鳥類の外見と当時の食物網を保存していました。

役立つ可能性:現生鳥類型の羽毛がどの系統で進化したか、恐竜絶滅時にどの鳥類が生き残れたかを考える資料になります。

限界:糞化石は1点で、排泄した恐竜の種類は確定していません。羽毛の特徴と大量絶滅時の生存率との関係も仮説段階です。

原著:Current Biology「Bird feathers from a Late Cretaceous coprolite」ワシントン大学 

 

 

今週は以上です。良い週末を!

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