この連載は研究用です。 読み物として楽しんでもらえれば。あなたもじゃんじゃんばらばら実践しよう!というものではありません。
きっかけ
最近Xでちょこちょこ見る、チャート一面にぎょうさん売買矢印が並ぶスクショ。最初はよくあるナンピンかと思ったけど、よく見ると買いと売りが入り混じっていて、普通のナンピンじゃないっぽい。
こういうやつ。

これはたぶん両建てグリッド(Hedged Grid)ですな(全然違うロジックだったらごめんw)。
両建てグリッドは昔も検討したことがありまして・・・。そのときはリアルマネーを入れるほどのものはできませんでした。ただ、「最近のGold(XAUUSD)は日中の値幅がかなり大きい。このボラならワンチャンいけるんか?」ということで、ゼロから組み立てて確かめてみることに。
いろんな型がありまして
「両建てグリッド」と一口に言っても、海外のYouTubeやフォーラム(Expert4x、Blackwave FX(今見たら掲示板じゃなくなってる汗)、Forex Factory など)で紹介されているやり方はけっこう違います。調べた範囲では、だいたい次の6つに分けられました。そういえば、Redditチェックするの忘れてた。後で覗いてみよ。

- ① 同時両建て型:グリッドの線に触れるたびに買いと売りを両方建てる。勝った側だけ利確し、負けた側は残す。
- ② ロック型:逆行したら同じ量の反対玉を建てて、損益をその場で固定する。固定しただけで損は消えていない。
- ③ 段階ヘッジ型:同じロットでナンピンしていき、5本目・7本目など決まった本数で反対玉を足す。
- ④ 挟み直し型:上下に逆指値を置き、両方約定したら勝ち側を全部、負け側を一部閉じて、もっと狭い幅で挟み直す。
- ⑤ 剥がし型:利益の出た玉(サブ玉)の利益で、一番深い含み損の玉(メイン玉)を1本ずつ相殺して消していく。Xで見たのはたぶんこれです。
- ⑥ ゾーンリカバリー:一定の幅を往復するたびにロットを倍にして、ゾーンを抜けた瞬間に全部閉じる。中身はマーチンゲールです。
どの型も一方向に走られると損が2乗で増える
型は違っても、弱点は同じです。値段が一方向に走り続けると、残った玉の含み損は段数の2乗で増えていきます。だからこそ工夫が必要。
いちばん素直な①同時両建て型で計算してみます(0.01ロット、1段=5ドル)。

- 勝った側の確定益は、1段ごとに5ドルずつ比例で増える。
- 残った負け玉の含み損は、1段目の玉が一番深く、2段目、3段目…と重なるので2乗で増える。
- 合計すると、4段で−30ドル(1段の6倍)、8段で−140ドル。
式で書くと、n段進んだときの合計は −5 × n(n−1)/2 ドルです。②〜⑥の型は、この2乗の損を「固定する」「途中で切る」「利益で少しずつ消す」「ロットを上げて一気に取り返す」など、どう抑え込むかの違いだと言えます。抑え込めているのか、見えにくくしているだけなのかは、この連載で確かめます。
今回作る型:剥がし型
6つ全部をいきなり作ると、どこが効いているのか分からなくなります(あと、僕が大変w)。なので本編では、Xで見かける⑤剥がし型だけを、部品を1つずつ足しながら組み立てます。

- 第1回:ADXで1本だけ入り、±5ドルで決済する単発エントリー
- 第2回:逆行したら同量の反対玉でロック(②ロック型もここで扱います)
- 第3回:抜けた方向に追加し、合計がプラスになったらまとめて決済
- 第4回:回収用の玉(サブ玉)で深い玉(メイン玉)を1本ずつ剥がす。ここで剥がし型が完成し、Xのスクショのような売買の並びになります
- 第10〜12回:部品を少しずつ賢くした完成版を作り、エントリーのテクニカルや設定値を替えて比べる(番外編のあと)
足すたびに、成績が良くなったのか悪くなったのかを同じ条件のバックテストで確認します。うまくいかなかった版も載せます。
本編のあとは番外編として、残りの型(①③④⑥)も同じ条件で回します(予定。その時にもう飽きてたらやらない)。
検証の条件
すべての回で、次の条件にそろえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄 | XAUUSD(MT5 デモ口座、USD建て) |
| 期間 | 2025-01-01〜2026-07-01 |
| モデル | リアルティック |
| ロット | 0.01(戦略変更で増やす可能性あり) |
| 初期証拠金 | 50,000 USD(途中で破綻させず、DDの深さを最後まで見るため) |
| 最大DD | 含み損を含めた有効証拠金で測る |
- 初期証拠金を大きくしているのは、途中で口座が飛んで「どこまで掘ったか」が見えなくなるのを避けるためです。実際の口座サイズで耐えられるかは、最大DDの金額で判断してください。
- バックテストは回すほど「たまたま良い結果」を引きやすくなります。なので、何回目の試行か(試行回数N)を毎回書き、それで割り引いた評価(DSR)を載せます。
- 試行回数は 第1回の N=16 から始まります。連載を始める前の下調べで、剥がし型のEAをすでに15回回しているからです。どれも採用できる結果は出ていませんが、回した回数はなかったことにできないので、その続きから数えます。
| 下調べで変えたもの | 回数 | 例 |
|---|---|---|
| 基準の設定と負けの処理 | 6 | 基準の設定(2つの口座で1回ずつ)、利食いやナンピンの金額を大きくする、最初の玉を両建てせずに損切りする、まとめ決済に損切りを入れる、ナンピン幅を価格に合わせて広げる |
| 入り方と手仕舞い | 4 | 直近の高値を抜けたら入る(損切りあり・なし)、決まった時間で手仕舞う(5分・30分) |
| エントリーのテクニカル | 5 | EMA・MACD・RSI・ボリンジャーバンド・ストキャスティクス(第11回で、この連載の完成版で比べ直します) |
- N が大きいほど「たまたま良い結果が出ただけ」の可能性が高くなるので、DSR の合格ラインは上がります。N=1 から数え直すと、実際より合格しやすく見えてしまいます。
予定(は未定)
| 回 | 内容 |
|---|---|
| 0 | 両建てグリッドの6つの型(この記事) |
| 1 | 単発エントリー(ADX、±5ドル) |
| 2 | 逆行したらロック |
| 3 | 抜けた方向に追加+まとめて決済 |
| 4 | サブ玉で剥がす(剥がし型の完成) |
| 5 | 番外編:①同時両建て型 |
| 6 | 番外編:③段階ヘッジ型 |
| 7 | 番外編:④挟み直し型 |
| 8 | 番外編:⑥ゾーンリカバリー |
| 9 | 損切り+再エントリーと比べる |
| 10 | 完成版を回す |
| 11 | 完成版のエントリーのテクニカルを替えて比べる |
| 12 | 完成版の設定値を変えて回す |
| 13 | 数式で見る:どんな値動きなら勝ち、どんな値動きで破綻するか |
| 14 | 人工的に作ったGoldの値動きで回す |


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