サポートとレジスタンスとは
チャートを見ると、レートが同じ価格帯で何度も止められている場所が見つかります。
- サポート(支持帯):下落してくるたびに買いが入り、下から支えられる価格帯
- レジスタンス(抵抗帯):上昇してくるたびに売りが出て、上から抑えられる価格帯
前回のレンジの「下限」がサポート、「上限」がレジスタンスです。トレンド相場でも、過去の高値・安値、 キリのいい数字(150.00のようなラウンドナンバー)などが同じ役割を果たします。
なぜ同じ場所で反応するのか
魔法ではなく、そこに注文が集まる理由があります。
- 記憶:「前回ここで反発した」を大勢が覚えていて、同じ場所に買い(売り)の指値を置く。
- 後悔と損益分岐:前回の高値で買って捕まった人は、「同じ値段に戻ってきたら逃げたい」と考える。その決済売りが同じ水準に並ぶ。
- キリのいい数字:150.00のような数字には、心理的にも実務(オプションや企業の注文)的にも注文が集まりやすい。
つまりサポート・レジスタンスは「大勢の注文が置かれやすい場所」の可視化です。 だからこそ、自分だけに見える複雑な線より、誰が見ても分かる単純な水準の方が機能しやすいのです。
引き方:反応の回数とゾーン
実際に引くときのルールを3つに絞ります。
- 2回以上反応した水準にだけ引く:1回だけの反発はただの折り返しです。2回、できれば3回反応している水準は、市場が意識している可能性が高くなります。
- ヒゲか実体かで悩んだら、ゾーンにする:反発のたびにヒゲの先端は数pipsずれます。1本の線でピタリと当てようとせず、ヒゲの先端と実体の端を含む「幅」で引きます。値動きが反応するのは1本の線ではなく、幅を持った帯だと考えてください。
- 上位足から引く:日足で目立つ水準がいちばん強い候補です。日足→4時間足→1時間足の順に引き、下位足だけに見える細かい線は消します。
水平線を10本引いたチャートは、何も引いていないチャートと同じです(どこかの線には必ず当たるので、検証不能になります)。 1つのチャートに引くのは、いま意識される可能性がある上下2〜4本まで。それ以外は消してください。
トレンドラインを解説しない理由
このコースでは、斜めに引くトレンドラインを売買判断の道具として解説しません。 水平のサポート・レジスタンスでさえ、どの高値・安値を採用するか、ヒゲと実体のどちらを見るか、ゾーンをどこまで広げるかによって、引く場所が人ごとにかなり違います。
トレンドラインでは、さらに基準にする2点を選ぶ必要があります。2点の組み合わせが変われば傾きも変わるため、選択の自由度と難易度が上がり、 結果として自分しか引いていない線ができやすくなります。値動きに合わせて後から引き直せば、どのチャートにも当たっている線を作れてしまい、検証も難しくなります。
初心者のうちは、誰が見ても分かりやすいキリ番と、過去に複数回反応した水平のサポート・レジスタンスだけを意識できれば十分です。 これは「トレンドラインでは勝てない」と断言するものではありません。使う場合は、採用する2点と引き直しの条件を先に決め、誰が引いても同じ線になるところまでルール化してください。
サポレジ転換:破られた線の再利用
サポートやレジスタンスは、いつか破られます。破られた線は無意味になるのではなく、役割が入れ替わることが多くなります。 これをサポレジ転換(ロールリバーサル)と呼びます。
理由は前の章と同じで、注文と心理の並び替えです。抜けた水準は「買い遅れた人の押し目買い」「戻ってきたら買い増したい人」の注文が集まる場所に変わります。 「破られた線は消さずに、色を変えて残す」が実務的な扱い方です。
よくある勘違い
「サポートに来たから買い」の即断
サポートは「反発しやすい場所」であって、「必ず反発する場所」ではありません。 破られる日は必ず来ます。ゾーンに来たことはエントリーの理由の一部でしかなく、 反発の兆候(前回のローソク足の話)や損切り位置とセットで初めて判断になります。
線をぴったり1本で引こうとする
「ヒゲの先端か実体か」で延々と悩むのは、線に精度がある前提の悩みです。ゾーンで引けばこの悩みは消えます。 そのぶん、損切りは「ゾーンを明確に抜けた場所」に置く発想になります。
反応した回数が多いほど、次も必ず反発すると考える
何度も守られた線ほど、破られたときの動きは大きくなりがちです(それだけ多くの注文と期待が裏切られるため)。 「強い線」は「破れたら大きく動く線」でもあります。両面で覚えてください。
実戦:3本だけ引く練習
チャートソフトでドル円の日足を開き、次の手順で線を引いてください。
- 直近3か月で、2回以上反応している水準を探す:高値側・安値側それぞれで。
- 最大3本(ゾーン)に絞る:迷ったら「より多く反応している方」「より最近反応している方」を残します。
- 翌日、答え合わせをする:引いたゾーンの近くでレートがどう振る舞ったかを毎日確認します。反応すれば線の根拠が強まり、素通りされたら線を見直します。
この「引く→翌日確認する」の繰り返しが、水平線の上達方法のすべてです。1週間で、自分の線が機能する感覚と、機能しない線の特徴が見え始めます。
水平線で止まるかだけでなく、その外側に損切りやブレイク注文が集まるという見方があります。BSL・SSL、前日高安、EQH/EQLはICT / SMC入門「流動性の地図」で図解しています。
チェックリスト
次の記事に進む前に、以下が自分の言葉で説明できるか確認してください。
- サポートとレジスタンスの定義
- 同じ価格帯で何度も反応が起きる理由(2つ以上)
- 線ではなくゾーンで引く理由
- 何回反応した水準に引くべきか
- サポレジ転換とは何か
- 「強い線が破られたとき」に起きやすいこと
ミニテスト
最後に4問だけ確認です。不正解なら別の選択肢を選び直せます。正解すると解説が表示されます。
Q1. レジスタンス(抵抗帯)の説明として正しいのは?
上から抑えるのがレジスタンス、下から支えるのがサポートです。レンジの上限・下限はそれぞれの代表例です。
Q2. 水平線を引くべき場所は?
2回以上反応した水準を、ヒゲと実体を含むゾーンで、少数だけ。線だらけのチャートはどこかに必ず当たるため、検証も判断もできなくなります。
Q3. サポレジ転換とは?
破られた線は役割が入れ替わりやすい、という現象です。上に抜けた抵抗帯まで戻ってきたときの反発は、押し目買いの代表的な候補地点になります。
Q4. 「何度も守られてきた強いサポート」について正しいのは?
強い線ほど多くの注文と期待が乗っているため、破られたときの動きも大きくなりがちです。「必ず」はどの線にもありません。損切りとセットで使います。