貴金属と為替の相関が逆回転する日|金4,900ドル割れとドル高が示す「調整の本質」
TL;DR
昨日の振り返り
- 2026年2月17日の市場では、米国とイランによる核問題協議に一定の進展が見られたことで地政学的リスクが和らぎ、安全資産とされる金や銀が大幅に売られる展開となりました。
- タカ派とされるケビン・ウォーシュ氏の次期連邦準備制度理事会(FRB)議長への指名を背景に、外国為替市場でドル高が進行し、ドル建てで取引される貴金属価格を強く圧迫しました。
- ニューヨーク先物市場の金価格は前営業日比で140.4ドル安の4,905.9ドルと大幅に反落し、銀やプラチナも連鎖的に値を下げる歴史的な調整局面を迎えました。
今日の見通し
- 2026年2月18日の金相場は、前日までの大幅な下落を受けて4,880ドル付近で下げ渋る動きを見せており、安値圏での押し目買い(ディップ・バイイング)による安定化が試みられています。
- 中国の春節(旧正月)に伴う市場の休場が続いており、アジア時間における流動性の低下が価格のボラティリティを増幅させやすい「流動性の真空」状態に注意が必要です。
- 為替市場では、FRB高官の金利据え置きを示唆する発言を受けてドルの堅調さが維持される見通しですが、週末の経済指標を控えた様子見ムードも広がっています。
貴金属市場の構造的変化とマクロ経済指標の相互作用
現在の貴金属市場は、これまでの記録的な上昇トレンドから一転し、極めて重要な価格調整の段階に入ろうとしています。2026年2月18日の取引において、スポット金価格は1トロイオンスあたり4,880ドルから4,920ドルのレンジで推移しており、前日の激しい売り浴びせから回復の兆しを模索している状況です。この市場の動きは、単なる利益確定売りにとどまらず、主要国の金融政策や地政学的枠組みの再編を反映した多層的な要因によって引き起こされています。
連邦準備制度の政策見通しと通貨価値の再定義
金価格の動向を左右する最大の要因は、依然として米国の金融政策にあります。2026年2月18日に公表された当局者の見解によれば、FRB内部では今後の金利パスについて慎重な議論が続いています。マイケル・バーFRB副議長は、インフレ率を2パーセントの目標値へ確実に定着させるためには、現在の高い金利水準を「当面の間」維持することが適切であるとの認識を強調しました。このタカ派的なスタンスは、金利を産まない資産である金にとっては強力な向かい風となります。
一方で、シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁は、現在のインフレ鈍化傾向が継続することを前提に、2026年後半の追加利下げの可能性を否定していません。このように当局者間で意見が分かれていることが、市場参加者に迷いを生じさせ、金価格が5,000ドルの大台を割り込んだ後も方向感を欠く一因となっています。
為替市場におけるドル高圧力の継続
外国為替市場では、米ドルが主要通貨に対して買い戻される動きが鮮明になっています。2026年2月17日に発表された2月のニューヨーク連銀製造業景気指数が市場予想を大幅に上回る強気の結果となったことで、米経済の堅調さが再確認されました。これにより、ドルインデックスが上昇し、ドル建てで価格が決定される金や銀の実質的な取得コストを押し上げています。
ドル円相場についても、日本の第4四半期国内総生産(GDP)の弱含みを背景とした円売りと、FRBの利下げ期待後退に伴うドル買いが交錯し、153円台を中心とした推移が続いています。テクニカル分析の視点からは、154円付近に厚い売り注文が確認される一方で、150円の心理的節目には強い買い意欲も残っており、当面はこの狭いレンジ内での神経質な展開が予想されます。
地政学的リスクの緩和と安全資産需要の減退
2026年2月18日の市場におけるもう一つの注目点は、地政学的緊張の緩和です。スイスのジュネーブで開催された米国とイランの核協議において、両国が将来的な合意に向けた主要な原則について一定の理解に達したとの報道がなされました。これにより、中東情勢の悪化を懸念して金に流入していた避難資金の一部が流出し、価格の下押し要因となっています。
また、ロシアとウクライナの間でも米国の仲介による和平交渉に向けた進展が報じられており、これまで金価格を支えてきた「有事の金買い」というテーマが一時的に後退しようとしています。ただし、これらの交渉には依然として未解決の課題が多く残されており、決裂の兆しが見えれば再び安全資産への回帰が起きる可能性も排除できません。
中国の春節休暇と流動性の欠如
現在のアジア市場、特に貴金属取引において無視できないのが中国の存在です。2026年2月16日から23日まで、中国大陸、香港、シンガポールなどの主要市場が春節の連休により休場、あるいは短縮取引となっています。中国は世界最大の金消費国であり、上海黄金交易所(SGE)の取引停止は、市場から大きな流動性を奪っています。
この「流動性の真空」状態においては、通常時よりも少ない取引量で価格が大きく変動しやすくなります。現在、金価格が4,880ドルのサポートレベルをテストしているのも、買い支えの手が薄いアジア時間での動きが影響しています。中国の投資家が市場に戻る来週以降、溜まっていた需要がどのように価格に反映されるかが、今後のトレンドを決定づける鍵となるでしょう。
銀市場の歴史的暴落と産業需要のジレンマ
銀市場では、2026年初頭の記録的な急騰に対する反動が極めて激しいものとなっています。2026年2月18日の銀スポット価格は1オンスあたり73ドル付近で推移していますが、これは1月下旬に記録した120ドル超の最高値から約4割近くも下落した水準です。
銀は金としての側面だけでなく、太陽光パネルや電気自動車(EV)、AI半導体などのクリーンエネルギーおよび先端技術分野における不可欠な産業資材としての側面を持っています。しかし、短期間での過度な価格高騰は、製造業者にとって耐え難いコスト増を招きました。中国の調査報告によれば、一部の太陽光パネルメーカーは銀の使用量を削減する技術への転換や、銅などの代替素材へのシフトを加速させており、この「脱銀化」の動きが投機的な買いポジションの解消を促した可能性があります。
プラチナおよびパラジウムの動向
プラチナ族金属(PGM)も、貴金属市場全体の調整ムードの影響を受けています。2026年2月18日のプラチナ価格は1オンスあたり2,042ドル前後で安定を保っていますが、一時は2,000ドルの節目を割り込む場面も見られました。プラチナは南アフリカやロシアなどの主要生産国における供給制約という構造的な下支え要因があるものの、景気減速に伴う自動車触媒需要の減退懸念が重石となっています。
以下に、2026年2月18日時点での主要な貴金属統計をまとめます。
| 項目 | 現在価格 (USD) | 前日比 (%) | 月間騰落率 (%) | 年間騰落率 (%) |
| 金 (Gold) | 4,887.92 | +0.18 | +4.49 | +66.51 |
| 銀 (Silver) | 73.25 | +0.25 | -22.63 | +123.98 |
| 銅 (Copper) | 5.68 | +0.68 | -3.67 | +24.79 |
| プラチナ (Platinum) | 2,042.50 | +0.00 | +1.20 | 未公表 |
国内貴金属市場と為替の影響
日本の国内市場における貴金属価格も、海外相場の下落を反映して大幅に調整されています。2026年2月18日午前の公表価格では、金価格が1グラムあたり569円安という大幅な値下がりを記録しました。これは、海外の金ドル価格の急落が、為替のドル高円安による押し上げ効果を完全に打ち消した結果です。
三菱マテリアルや田中貴金属工業が発表した当日の小売価格は、前日の27,000円近い水準から26,600円台まで低下しており、高値圏で購入を控えていた実需層による買い戻しの動きも見られます。
2026年2月18日の日本国内における主要価格推移は以下の通りです。
| 貴金属種類 | 店頭小売価格 (税込/g) | 前日比 (円) | 店頭買取価格 (税込/g) |
| 金 (Gold) | 26,623 | -569 | 26,266 |
| プラチナ (Platinum) | 11,225 | -33 | 10,802 |
| 銀 (Silver) | 403.81 | -15.07 | 386.76 |
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国内の投資家動向を見ると、特に銀や金貨への関心が依然として高い状態が続いています。金貨の1オンス小売価格は878,439円に達しており、資産分散の手段として根強い需要があることが示唆されています。また、インドや中国などのアジア諸国では、価格の調整局面を絶好の購入機会と捉える向きも多く、実物資産としての貴金属への信頼は依然として強固です。
今後の展望とマクロ経済の不確実性
短期的には、金価格が4,800ドルのサポートラインを維持できるかどうかが焦点となります。もしこの水準を割り込めば、次の下値目処である4,670ドル付近までのさらなる下落が現実味を帯びてきます。一方で、5,000ドルの心理的抵抗線を再び突破するためには、FRBの利下げに向けた明確なシグナルや、地政学的リスクの再燃といった新たな材料が必要となるでしょう。
今後の注目材料としては、今週末に予定されている米国のFOMC議事要旨の公開や、PCE物価指数の発表が挙げられます。これらの指標がインフレの持続性を示す内容となれば、ドル高がさらに進み、貴金属価格への下押し圧力が継続する可能性があります。投資家は、過度なレバレッジを避けつつ、市場の流動性が回復するタイミングを慎重に見極めるべき局面と言えます。
本日(2026年2月18日)のトレード戦略
現在の極めて高いボラティリティと、中国市場の休場に伴う流動性低下を考慮すると、本日のトレード戦略は「慎重な待機と重要水準での反応確認」を基本とすべきです。
金(XAU/USD)に関しては、4,880ドルから4,900ドルのレンジが現在の重要な攻防ラインとなっています。この水準での価格の下げ止まりを確認できた場合に限り、短期的な自律反発を狙ったロング(買い)ポジションを検討できますが、ターゲットは4,950ドル付近に留め、タイトなストップロスを設定することが不可欠です。5,000ドルの大台回復には強い材料が不足しているため、上昇局面では利益確定を優先すべきです。
銀(XAG/USD)については、金以上に価格変動が激しくなっているため、積極的なエントリーは控えるのが賢明です。71ドルから72ドルのサポートエリアまで引きつけた上での打診買いは検討の余地がありますが、産業需要の減退懸念というファンダメンタルズの悪化を考慮し、ポジションサイズは通常よりも大幅に縮小する必要があります。
為替(USD/JPY)では、153.50円付近での小動きが予想されます。154円の大台接近では輸出企業のドル売り・円買いが控えている一方、152円台への調整があれば日銀の政策期待を背景とした円買い戻しが入りやすくなっています。レンジ内での逆張り戦略が有効ですが、米国の経済指標やFRB当局者の突発的な発言による急変動には厳重な警戒が必要です。
総じて、本日は大きなトレンドを追いかけるよりも、資産の保全を最優先し、市場の流動性が完全に回復する来週月曜日以降の本格的な動きに向けた準備期間として活用することを推奨します。
免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。
引用文献
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- Gold price prediction for February 2026: US-Iran talks, Russia-Ukraine meeting, US Federal reserve details to drive gold rate this month https://m.economictimes.com/news/international/us/gold-price-prediction-for-february-2026-us-iran-talks-russia-ukraine-meeting-us-federal-reserve-details-to-drive-gold-rate-this-month/articleshow/128465559.cms
- マーケット情報 – 三菱マテリアル https://gold.mmc.co.jp/market/
- Gold and silver forecast February 2026: From record highs to historic crush – CFI Trading https://cfi.trade/en/blog/commodities/gold-and-silver-forecast-february-2026-from-record-highs-to-historic-crush
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- NY貴金属引け速報=総じて大幅反落、ドル高を嫌気し投げ売り増加 – ヒロセ通商 https://hirose-fx.co.jp/contents/news/MaView?hrsCrpNo=187648&hrsCrpIdx=0&from=2
- 金と銀が大暴落、ビットコインも急落した理由とは?2月は波乱の幕開け。投機色が一段と強まる金融市場|「勝者のゲーム」と資産運用入門 – ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/zai/articles/-/1062792
- Gold – Price – Chart – Historical Data – News – Trading Economics https://tradingeconomics.com/commodity/gold
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- USD/JPY Price Forecast: Extends Japan’s weak Q4 GDP-inspired recovery to 153.25 area https://www.mitrade.com/au/insights/news/live-news/article-1-1478977-20260216
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- China gold market update: A strong start to 2026 | Post by Ray Jia https://www.gold.org/goldhub/gold-focus/2026/02/china-gold-market-update-strong-start-2026
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- Commentary: Silver and gold hit record highs – then crashed. Here’s what you need to know https://www.channelnewsasia.com/commentary/silver-and-gold-price-crash-what-investors-need-know-5900721
- Gold poised to continue shining in 2026 amid central bank demand, geopolitical flashpoints https://www.straitstimes.com/business/companies-markets/gold-poised-to-continue-shining-in-2026-amid-central-bank-demand-geopolitical-flashpoints
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- 金価格推移:純金積立なら三菱マテリアル GOLDPARK(ゴールドパーク) https://gold.mmc.co.jp/market/gold-price/
- 【毎日更新】今日の1gあたりの金価格・相場推移 – ゴールドプラザ https://goldplaza.jp/gold/rate
Gold Price Outlook: Options Sentiment Extreme as Bears Target 4800 https://www.forex.com/en-sg/news-and-analysis/gold-price-outlook-options-sentiment-extreme-as-bears-target-4800/


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