2026年7月17日 昨日の振り返りと今日の見通し

原油高と米金利上昇を背景に、ドル円162円台と4000ドルを割り込んだGoldなど貴金属市場を示すイメージ 昨日の振り返りと今日の見通し

ドル円は162円台、Goldは4000ドル割れ|為替・貴金属見通し【2026年7月17日】

TL;DR

昨日の振り返り

  • 米雇用指標の底堅さ、米国債利回りの上昇、中東情勢を受けたドル買いにより、ドル円は161.99円から162.55円まで上昇しました。
  • 原油高によるインフレ懸念と米金利上昇が安全資産需要を上回り、NY金先物は3,992.10ドル、現物Goldは3,984.64ドルまで下落しました。
  • Silverは3.6%、Platinumは3.1%下落し、国内小売価格でも金、銀、プラチナがそろって前日比マイナスとなりました。

 

 

今日の見通し

  • ドル円は162円台前半を中心とし、162.55円と直近高値162.84円が上値抵抗、162.00円前後が下値の分岐点です。
  • 日本時間21時30分の米住宅着工件数と輸出入物価、22時15分の米鉱工業生産、23時のミシガン大学消費者信頼感指数に注目します。
  • Goldは4000ドルを回復できるかが焦点で、原油、米国債利回り、ドルが同時に上昇する場合は、地政学リスクが高まっても下落が続く可能性があります。

 

 

 

原油高と米金利上昇がドル円とGoldを動かす

ドル円は162円台を維持していますが、短期ボラティリティーは低く、方向感は限定されています。一方、貴金属ではGoldが4000ドルを割り、SilverとPlatinumも3%を超えて下落しました。本日は経済指標に加えて、米国とイラン、米中関係、アジア株安を確認しながら判断する必要があります。

 

 

ドル円は米指標と有事のドル買いで162.55円へ上昇

昨日のドル円は、米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り、労働市場の底堅さが意識されたことで上昇しました。米国によるイランへの攻撃が続き、ホルムズ海峡を通過する船舶が減少していることも、安全資産としてのドル買いにつながりました。

ドル円の日中安値は161.99円、高値は162.55円、終値は162.39円でした。前日に米生産者物価指数が弱い結果となったため、早期利上げ観測は後退していますが、年内の利上げ観測は残っています。

通貨ペア始値高値安値終値
USDJPY162.19円162.55円161.99円162.39円
EURUSD1.1464ドル1.1476ドル1.1431ドル1.1442ドル
EURJPY185.92円186.04円185.72円185.80円

米国債市場では、2年債、10年債、30年債の利回りがそろって上昇しました。インフレ指標は鈍化しているものの、原油高と複数の米連邦公開市場委員会メンバーによるタカ派的な発言が、金利低下を抑えています。

米国債利回り前日比
2年債4.145%+1.1bp
10年債4.555%+0.8bp
30年債5.086%+0.6bp
10年物期待インフレ率2.231%-0.6bp

期待インフレ率は小幅に低下しているため、市場全体がインフレ再加速を確信しているわけではありません。現時点では、原油高と米金融当局者の発言を受けて、金利低下ポジションが調整されている段階と考えられます。

ドル円の1週間物インプライド・ボラティリティーは4.90%と、5%を下回っています。中東情勢や株安が目立つ割に、為替オプション市場が想定する短期変動は大きくありません。このため、通常時はレンジ取引が機能しやすい一方、週末の突発的な軍事報道が出た場合は、オプション市場の想定を超えて値幅が拡大する可能性があります。

 

 

ユーロとポンドは上値追いが慎重に

ユーロドルは一時1.1476ドルまで上昇しましたが、その後はドル買いに押され、1.1442ドルで終了しました。中東情勢による天然ガス価格の上昇は、エネルギー輸入国であるユーロ圏の交易条件を悪化させます。このため、ドルが弱くなってもユーロが一方的に上昇する環境ではありません。

当面は1.1400ドルが下値支持、1.1500ドルが上値抵抗です。1.1500ドルを超えられない場合は、現在の上昇を新しいトレンドではなく、これまでの下落に対する戻りとして扱う方が慎重です。

ポンドドルは1.3460ドル台まで下落し、ポンド円も220円手前から218円台へ調整しました。英国の次期財務相人事を好感したポンド買いは一巡しています。新政権の財源が明確でない以上、財政懸念が再び材料になる可能性があります。

 

 

Goldは安全資産需要より金利上昇が優勢

NY金先物8月限は前日比59.70ドル安の3,992.10ドルで終了しました。現物Goldは一時3,984.64ドルまで下落し、7月1日以来の安値を付けています。

米国とイランの対立が激化しているにもかかわらずGoldが下落した理由は、原油高がインフレ懸念を強め、米国債利回りとドルを押し上げたためです。利息を生まないGoldにとって、金利上昇とドル高の組み合わせは明確な逆風になります。

海外貴金属価格前日比
現物Gold3,984.64ドル/オンス-1.9%
COMEX金先物3,992.10ドル/オンス-59.70ドル、-1.47%
現物Silver55.68ドル/オンス-3.6%
現物Platinum1,621.83ドル/オンス-3.1%
現物Palladium1,260.70ドル/オンス-4.1%

東京時間10時34分時点では、COMEX金先物が3,993.70ドルまで小幅に戻した一方、東京金先物は1グラム=21,347円と前日比130円安でした。円安が国内価格を下支えしているものの、NY金の下落を相殺するほどではありません。

田中貴金属が9時30分に公表した国内小売価格でも、主要3品目がそろって下落しました。

国内地金店頭小売価格前日比店頭買取価格
23,118円/グラム-332円22,762円
332.53円/グラム-12.21円315.48円
プラチナ9,483円/グラム-307円9,060円

SilverとPlatinumの下落率がGoldより大きい点にも注意が必要です。SilverとPlatinumは安全資産だけでなく、工業用金属としての性格を持ちます。世界的なハイテク株安、景気への警戒、ポジション整理が重なると、Goldより値動きが大きくなる傾向があります。

 

 

原油は下落しても高値圏を維持

北海ブレント原油は84.23ドル、WTI原油は78.95ドルで終了しました。前日比では約1%下落しましたが、いずれも6月中旬以来の高値圏です。東京時間にはWTI原油が再び80ドル台へ上昇しました。

イランは、米国がイラン国内の電力設備を攻撃した場合、イエメンのフーシ派に紅海の石油輸送ルートを封鎖する準備を求めたと報じられています。戦争前には、ホルムズ海峡だけで世界の石油とLNG取引の約5分の1が通過していました。

今後、ホルムズ海峡に加えて紅海の輸送にも支障が出れば、供給不安は一段と強まります。ただし、原油高は必ずしもGold高を意味しません。現在は次の経路が優勢です。

原油上昇後の経路為替への影響貴金属への影響
インフレ懸念が強まる米金利上昇、ドル買いGold、Silver、Platinumに逆風
軍事リスクが急拡大するドルと円が買われるGoldに安全資産買い
景気悪化懸念が強まる豪ドルなど資源国通貨が下落Silver、Platinumが弱くなりやすい
停戦期待で原油が下落する米金利とドルが低下する可能性Goldの金利面には追い風

原油、米2年債利回り、ドル指数の三つが同じ方向に動いているかを確認することが重要です。

 

 

アジア市場では株安と豪ドル安が進行

東京時間午前のアジア市場では、ハイテク株を中心にリスク回避が強まりました。日経平均は前場に2,900円安となり、台湾加権指数は3.89%下落しました。香港と上海も下落しています。

アジア株価指数11時10分時点騰落率
香港ハンセン指数24,757.24-1.01%
上海総合指数3,851.47-0.80%
台湾加権指数43,850.35-3.89%
豪ASX200指数8,770.30-0.80%

中国人民銀行は人民元の対ドル基準値を1ドル=6.7934元とし、前日から0.0025元の元安方向に設定しました。米中対立への懸念と株安を受け、豪ドルは対ドル、対円で下落しています。

リスク回避局面ではドルと円が同時に買われることがあるため、ドル円が大きく動かず、豪ドル円などのクロス円だけが下落する場合があります。午前中のドル円が162.40円台でもみ合っているのは、このドル買いと円買いが相殺されているためです。

 

 

本日の経済指標と二つのシナリオ

本日は日本時間21時30分以降に米国の物価、住宅、生産、消費者関連の指標が続きます。

日本時間指標市場予想前回
17:00ユーロ圏経常収支未定157億ユーロ
18:00ユーロ圏HICP確報値前年比2.8%2.8%
21:30米輸入物価指数前月比-0.5%1.9%
21:30米住宅着工件数132.0万件117.7万件
21:30米住宅建築許可件数140.5万件141.0万件
22:15米鉱工業生産前月比0.2%0.1%
22:15米設備稼働率76.2%76.2%
23:00ミシガン大学消費者信頼感指数51.149.5

上昇シナリオでは、米指標が市場予想を上回り、原油も高値を維持します。米2年債利回りが4.145%を上回れば、ドル円は162.55円、続いて162.84円を試しやすくなります。一方、Goldは4000ドルの回復に失敗し、SilverとPlatinumも戻りが限定される可能性があります。

下落シナリオでは、米輸入物価や住宅、生産関連指標が弱く、米国債利回りが低下します。ドル円が162.00円を割れば円高方向へ値幅が広がり、Goldは4000ドルを回復する可能性があります。ただし、株安が加速した場合は有事のドル買いも発生するため、Gold上昇とドル円下落が必ず同時に起こるとは限りません。

 

 

本日のトレード戦略

外国為替の戦略

ドル円の基本レンジは162.00円から162.85円です。午前の値動きと1週間物ボラティリティーの低さを考えると、162.20円から162.50円の中間帯では新規ポジションの期待値が低く、レンジ離脱を待つ方針が適しています。

条件戦略目標の目安無効化条件
162.55円を上抜け、米金利も上昇押し目でドル買いを検討162.84円、163.00円162.30円割れ
162.00円を下抜け、米金利も低下戻りでドル売りを検討161.70円、161.50円162.30円回復
原油だけが急騰初動を追わず金利を確認方向確定後に対応原油と米金利の逆行
株安でドルと円が同時に上昇ドル円より豪ドル円を監視直近安値株価の急反発

162.55円を超えても、直近高値162.84円と163円の心理的節目が近いため、高値での追い買いには注意が必要です。片山財務相は必要であれば果断な措置を取ると発言しており、円安が加速した場合は介入警戒も強まります。

ユーロドルは1.1400ドルから1.1500ドルのレンジを想定します。ユーロ圏HICP確報値だけで大きな方向は出にくいものの、中東情勢に伴う天然ガス高が続く場合、1.1500ドル付近では戻り売りが出やすいでしょう。

21時30分、22時15分、23時の前後はポジションを通常より小さくします。週末をまたぐポジションは、米国とイランの軍事行動による窓開けリスクを考慮する必要があります。

 

 

貴金属の戦略

Goldは4000ドルを中心に、3,984ドルから4,010ドルを短期の判断帯とします。3,984ドルは昨日の現物価格、3,992ドルはCOMEX金先物の終値、4000ドルは心理的節目です。

4000ドルを回復し、米10年債利回りが4.55%を下回り、ドルも下落する場合は短期的な買い戻しを検討できます。上方向では4,010ドルを超えて定着できるかを確認します。4000ドルを回復しても米金利が上昇している場合は、買い戻しが短時間で終了する可能性があります。

反対に3,984ドルを割り、原油、米金利、ドルがそろって上昇する場合は、3,950ドル方向への下落を警戒します。この売りシナリオは、Goldが4000ドルを回復し、米金利が低下した場合に無効です。

Silverは55.68ドルを基準とします。Goldが4000ドルを回復できない状況では、Silver単独の買いは避けたいところです。Goldが安定し、株価も下げ止まった場合に限り、Silverの反発を検討します。

Platinumは1,621.83ドルを基準とします。前日比3.1%の下落後で値幅が大きいため、反発の初動を追うより、Goldと株価の安定を待つ方が安全です。国内小売価格も前日比307円安となっており、円安による下支えだけでは海外価格の下落を吸収できていません。

本日は「中東情勢の悪化=Gold買い」と決めつけず、原油高が米金利とドルを押し上げているかを最初に確認します。また、週末の軍事報道による価格の飛びを考慮し、持ち越す場合は通常よりポジション量を抑えることが重要です。

 

 

 

引用文献

 

免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。

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