TL;DR
昨日の振り返り
- 8日のドル円は154.36円で始まり、152.89円まで急落した後に154.42円まで戻し、153.98円で引けました。日本の賃金統計とGDP改定値を受けた日銀利上げ観測、円キャリー巻き戻し、米財務長官発言への警戒が引き続き円買いの背景です。
- 貴金属はGoldが調整色を強めました。OANDAの金CFDは8日終値が4355.705ドルで3営業日続落、NY金12月限は4439.0ドルと前日比37.6ドル安でした。一方でSilverは66ドル台、Platinumは1817ドル台が意識され、Goldほどは崩れていません。
- 中国8月CPIは前年比0.8%、PPIは3.8%となり、原油高を背景に物価圧力が残ることを確認しました。中東情勢を受けてBrent原油は100ドル手前まで上昇しており、為替・貴金属ともにインフレと金利を通じた影響を受けやすい地合いです。
今日の見通し
- ドル円は153円台後半で東京朝を迎えています。短期的な行き過ぎ修正で反発しても、前日に割り込んだ155円台を回復できておらず、154円台では戻り売りが出やすいとみます。目先は154.64円が上値の分岐、153.11円と152.23円が下値の分岐です。
- Goldは4300ドル台後半から4400ドル近辺、Silverは66ドル台、Platinumは1800ドル台前半が焦点です。米CPI前で追いかけづらい一方、ドル安が再開すればGoldの下値は一定程度支えられやすく、SilverとPlatinumは相対的な底堅さを点検したい局面です。
- 本日は米CPI前のポジション調整に加え、中国物価指標の市場消化、原油高の継続、豪州関連では中国指標を通じたAUDへの波及を見ます。ヘッドラインで振られやすいため、飛びつきよりも押し・戻り待ちが基本です。
ドル円は急落後の戻りをこなしつつ、なお上値が重い
事実
8日のドル円は、みんかぶFXの四本値で始値154.36円、高値154.42円、安値152.89円、終値153.98円でした。東京時間に152円台まで急落したあと、ロンドン時間には154円台を回復しましたが、結局は155円台へ戻し切れず153円台で引けています。9日朝時点でも、みんかぶFXでは153.70円台、外為どっとコムでも153円台後半での推移とされており、反発しても上値の重さが残る状態です。
背景として、外為どっとコムは日本7月毎月勤労統計の強さを挙げています。現金給与総額は前年比4.7%と市場予想を上回り、実質賃金は前年比2.4%で7カ月連続のプラスでした。4~6月期GDP改定値も年率1.4%へ上方修正され、日銀の追加利上げ観測を完全には後退させませんでした。さらに同記事では、中国8月貿易収支が1190.9億ドルの黒字と、4カ月連続で1000億ドル超になったことも確認されています。
加えて、Reutersは9日のアジア時間に、円が7カ月ぶり高値圏を維持し、ドル指数は98.15近辺まで低下したと伝えています。円高の背景として、日銀利上げ観測、国内投資家の資金還流観測、そしてワシントンからの円安けん制が挙げられています。
分析
大事なのは、今回のドル円下落が単なるドル全面安だけではなく、円固有の材料で押し下げられている点です。8日のように一度152円台まで走ったあと154円台へ戻す動きが入るのは、短期的な円ロングの利食いと原油高による円売り圧力が混在しているためです。ただし、155円を明確に回復できていない以上、相場の主導権はまだ戻り売り側にあります。
みんかぶFXのピボットでは、ドル円のピボットが153.76円、抵抗1が154.64円、支持1が153.11円、支持2が152.23円です。154.64円を明確に超えるならショートカバーが広がりやすい一方、153.11円を再度割り込むなら、152.23円やその下の151円台を試す流れも残ります。日中は方向感が出ても、米CPI前でポジションを大きく傾ける参加者は限られやすく、値幅はあっても継続性は乏しい可能性があります。

貴金属はGoldの調整とSilver・Platinumの底堅さが同居
事実
Goldはやや弱含みです。OANDAの9日付レポートでは、商品CFDとしての金(XAU)の8日終値は4355.705ドルで、3営業日続落とされています。一方、みんかぶ先物では9日早朝時点のNY金12月限が4439.0ドルで前日比37.6ドル安でした。数値に差があるのは、CFDのスポット系価格とCOMEX先物の限月価格という商品の違いによるものです。
SilverとPlatinumは、Goldほど一方向には崩れていません。9日朝の市場整理ではSilverが66ドル台、Platinumが1817ドル台を目安とする状態です。Platinumについては、みんかぶ先物の関連レポートでも「ドル建て現物は1817ドル台」とされており、1800ドル台前半で下げ渋る構図が確認できます。
材料面では、Reutersが9日、中国8月CPIを0.8%、PPIを3.8%と報じました。エネルギー価格上昇が物価を押し上げており、これは原油高と合わせてインフレ再加速懸念につながります。Reutersの別記事では、Brent原油が99ドル台後半まで上昇し、100ドル接近が意識されているとされています。
分析
Goldにとっては、ドル安は追い風ですが、原油高を通じたインフレ懸念と米金利高は逆風です。そのため、「ドル円が下がっているからGoldも必ず上がる」という単純な相関ではなく、ドル・金利・原油の三つ巴で動きやすくなっています。現時点では4300ドル台後半から4400ドル近辺が攻防ゾーンで、4,400ドルを明確に回復できるかどうかが短期の分岐です。
SilverはGoldより値動きが大きく、工業需要の期待も織り込みやすい商品です。中国の物価指標が弱いデフレ再燃ではなく、むしろエネルギー由来のインフレ圧力を示したことは、景気懸念だけでなく資源・素材価格の底堅さも連想させます。Platinumは1800ドルを明確に維持できるかが重要で、ここを保つ限りはGoldより相対的にしっかりした印象を持ちやすいでしょう。
アジア・豪州材料と本日確認したいポイント
事実
本日のアジア材料として大きいのは、中国8月の物価指標です。ReutersによればCPIは前年比0.8%、PPIは3.8%で、いずれもエネルギー価格上昇の影響を受けました。外為どっとコムの本日付レポートでは、中国8月貿易黒字が1190.9億ドル、輸出は前年比25.0%とされており、中国関連のデータは引き続きアジア通貨全体に影響しやすい状態です。
豪州については、Reutersが9日のアジア株概況で、豪州株が軟調である一方、豪ドルとNZドルは底堅いと伝えています。またWestpacの9月消費者信頼感指数は84.4へ低下しました。豪州の内需には重さがあるものの、中国関連指標と資源価格がAUDを支える構図は続いています。
一方で、原油高は豪ドルにとって一概に追い風とは言えません。鉄鉱石のような中国景気連動材料が強ければAUDは支えられますが、中東情勢起点のリスクオフが広がると対円ではAUDJPYが押されやすくなります。日本円の変動が大きい局面では、AUDそのものの強弱より円主導の値動きが勝ることがあります。
分析
今日のポイントは、円高の持続、Goldの下値確認、そして原油高を市場が「インフレ再燃」とみるのか「供給不安による一時的上昇」とみるのかです。前者なら米金利が上がりやすく、ドル円は円高でもGoldは伸び切れない可能性があります。後者ならドル安と安全資産需要が優勢になり、Goldや円が同時に買われやすくなります。
AUDを見る場合も、単純に豪州材料だけでなく、中国指標と円のボラティリティを同時に確認する必要があります。とくにAUDJPYは、豪ドル要因よりも円のショートカバー・円ロング再開の影響を強く受けやすいので、AUDUSDとUSDJPYを分けて追う方が判断しやすいでしょう。市場全体としては、米CPI前で方向感が出ても一方向に走り続ける相場ではなく、ヘッドラインで振られたあとに元のレンジへ戻る展開を想定しておくのが実務的です。
本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円は戻り売り優勢の判断を維持します。ただし、153円台前半や152円台を追いかけて売るのは、短期的なショートカバーに巻き込まれやすいため避けたい局面です。154.30円から154.64円に戻す場面があれば、上値の失速を見ながら売り場を探るのが基本です。154.64円を明確に超えて定着するなら、いったん売り目線を弱め、155円台回復の有無を確認します。
下方向では153.11円が最初の焦点です。ここを割り込んで戻りも鈍いなら、152.23円を次の目安として下値余地を見ます。AUDJPYは円ボラティリティの影響が大きいため、通常よりサイズを落とし、AUDUSDと分けて考える方が無難です。ヘッドライン主導の急変が起きやすいので、薄い時間帯のブレイク追随は慎重に対応します。
貴金属の戦略
Goldは4300ドル台後半から4400ドル近辺の攻防を前提に考えます。4,400ドルを回復して維持するなら、ドル安再開を確認しながら短期の押し目買いを検討します。逆に4,300ドル台半ばを明確に割るなら、米金利高継続を警戒していったん様子見に傾けます。
Silverは値幅が大きいため、Goldと同じ感覚でロットを張らないことが重要です。66ドル台を維持できるか、Goldに比べて戻りが強いかを確認します。Platinumは1800ドルを維持できるかがシンプルな判断基準です。1800ドルを保てば相対的強さを評価、割り込むなら貴金属全体の調整圧力に警戒します。

本日は為替も貴金属も、方向感そのものより「どの水準で追わずに待つか」が重要です。飛びつきではなく、押し・戻りを待って、ストップ幅とサイズを先に決める方針で臨みます。
引用文献
- Reuters: Yen stands tall as dollar wobbles, oil’s run towards $100 chills sentiment
- Reuters: Oil heads for $100, Asia stocks subdued as Middle East tensions escalate
- Reuters: Oil nears $100 as fresh Middle East strikes raise supply risks
- Reuters: Rising energy costs lift China’s producer, consumer inflation in August
- 外為どっとコム: ドル/円今日の見通し|NY勢復帰も155円回復ならず 米財務長官の発言が重しに
- 外為どっとコム: 今日のドル円 昨日の振り返りと今日のドル円相場見通し
- OANDA: 金(XAU)見通し:金価格は3営業日続落し4355ドル|米国の利上げの可能性が影響している模様
- みんかぶFX: 8日の為替市場の四本値(ドル円・ユーロドル・ユーロ円)
- みんかぶFX: 東京市場 ピボット分析(主要国通貨)
- みんかぶFX: 本日の見通し 行き過ぎた動きに警戒感も、ドル安円高継続を意識
- みんかぶ先物: NY金12月限は37.6ドル安の4439.0ドルで推移
- みんかぶ先物: 純プラチナ投資信託・ポイント解説
免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。


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