TL;DR
昨日の振り返り
- 7日のドル円は156.04円で始まり、156.28円を高値に154.06円まで急落、154.36円で終了しました。155円の節目を割ったことでストップロスを巻き込み、円買いが加速しました。
- 円高の主因は、日銀の利上げペース加速観測、国内投資家のレパトリエーション観測、円キャリー取引の巻き戻しです。米国はレーバーデーで休場だったため、薄商いも値動きを増幅しました。
- 貴金属は強い米雇用統計を受けた利上げ観測が上値を抑える一方、ドル安と中東情勢が下値を支えました。Goldは4,400ドル近辺で方向感を探る展開が続いています。
今日の見通し
- ドル円は朝方に154円を割り込み、その後152.88円付近まで下落しました。円高トレンドが明確になっており、戻り売り優勢を基本としつつ、急落後のショートカバーには注意します。
- Goldは4,400ドル台前半、Silverは66ドル台、Platinumは1,800ドル台で推移しています。ドル安は貴金属の支援材料ですが、Fedの9月利上げ観測が約60%まで高まっていることは上値抑制要因です。
- 本日は日本のGDP改定値・実質賃金、中国8月貿易統計が重要です。今週後半の米PPI・CPIを控え、米金利とドルの方向が変わればGoldを含む貴金属も大きく反応する可能性があります。
ドル円は155円を割り込み、円高局面が一段進行
7日のドル円は156.04円で始まり、高値156.28円、安値154.06円、終値154.36円となりました。前営業日まで重要なサポートだった155円を明確に割り込んだことが最大のポイントです。
155円割れ後はストップロスを巻き込み、円買いが加速しました。外為どっとコムは、日銀の早期追加利上げ観測、GPIFなど機関投資家による国内資産への資金シフト、キャリー取引の巻き戻しを背景として挙げています。先週3日の急激な円高について市場では「ステルス介入」も噂されましたが、日銀当座預金の予想からは大規模な公的介入を示す明確な兆候は確認されず、実需やポジション調整による円高との見方が強まっています。
本日も円買いは止まっていません。朝方に154円を割った後、東京午前には152.88円付近まで下落し、今年2月以来の円高水準を更新しました。Reutersによると円は一時153.53円まで上昇し、先週初めの1ドル160円前後から約4%上昇しています。その後さらに円高が進んだ形です。
今回の円高で重要なのは、「米ドルが全面的に弱いからドル円が下がっている」だけではないことです。ドル指数は98.8台まで低下していますが、円は主要通貨の中でも特に強く、みんかぶの短期トレンドでも円が最上位となっています。日銀の金融政策正常化と円ショート解消という円固有の材料が大きく作用しています。

日本GDPと実質賃金が日銀利上げ観測を後押し
本日朝の日本経済指標も円買いを後押ししました。Reutersは、日本の4-6月期GDPが速報値から上方修正され、実質賃金も前年比2.4%増と強い伸びを示したと報じています。景気と賃金がともに底堅ければ、日銀が追加利上げを急ぐ余地が広がります。
市場では9月の日銀会合で25bp利上げする可能性が強く意識されています。来週にはFOMCと日銀会合が連続して予定されており、日米金融政策の方向性が同時に再評価される重要な局面です。
もっとも、円高が短期間に進みすぎている点には注意が必要です。先週初めの160円台から本日午前の152円台まで約7円下落しており、短期筋の円ショート解消が一巡すれば反発も大きくなりやすい状態です。方向としては円高でも、安値を追いかけてドル円を売る戦略はリスクリワードが悪化しています。
前営業日のピボット分析では、ドル円のピボットが154.90円、支持1が153.52円、支持2が152.68円でした。本日午前には支持1を明確に割り、支持2に接近しています。152.68円を維持できるか、それともさらに151円台へ下落するかが次の焦点になります。
Goldは4,400ドル台、ドル安と米利上げ観測の綱引き
Goldは本日アジア時間に上昇しています。Reutersによると現物Goldは0.6%高の4,429.89ドル。The Business Timesがシンガポール時間7時18分に確認した価格は4,409.68ドルでした。その後ドル安が進むにつれて買いが優勢になっています。
Goldにとって現在の材料は明確に二方向へ分かれています。プラス材料はドル安と地政学リスクです。ドル指数は2週間ぶりの低水準まで下落しており、ドル建てGoldを米国外の投資家が買いやすくなっています。また米国とイランを巡る緊張が続き、安全資産需要も残っています。
一方のマイナス材料は米金利です。先週の米雇用統計が市場予想を大きく上回ったことで、Fedが9月に利上げする確率は約60%まで上昇しました。Reutersによると米10年債利回りは4.788%付近です。利息を生まないGoldにとって実質・名目金利の上昇は基本的に逆風です。
このため、Goldは4,400ドルを中心とした綱引きが続きやすいと考えます。今週後半には米PPIとCPIが発表されます。インフレが上振れれば9月利上げ観測がさらに高まりGoldには下押し圧力、逆にインフレ鈍化なら利上げ観測が後退してGold上昇という反応が基本シナリオです。
SilverとPlatinumはGoldより底堅い
Reutersによると本日アジア時間のSilverは1%高の66.78ドル、Platinumは0.4%高の1,834ドルです。Goldだけでなく主要貴金属がそろって上昇しており、ドル安が広範囲に支援材料となっています。
SilverはGoldよりも工業需要の影響が大きいため、米景気の強さは必ずしも悪材料ではありません。強い雇用統計が「景気の底堅さ」と評価されるなら工業需要期待が支えになる一方、「Fed利上げ」として評価されれば金利上昇が重石になります。そのためGold以上に値動きが荒くなりやすい局面です。
Platinumは1,800ドル台を維持しています。国内では円高によって円建てGoldが下落している一方、田中貴金属の9時30分価格ではGold小売価格が前日比424円安の24,178円、Silverが3.96円安の373.23円だったのに対し、Platinumは41円高の10,212円でした。ドル建てPlatinumの強さが急激な円高を吸収していることが分かります。
この相対的な強さが続くかを見るため、Platinumは1,800ドルを短期的な基準としておきます。1,800ドルを維持する限りはGoldより強い状態、明確に割れば貴金属全体の調整局面入りを警戒します。
原油97ドル台と中東情勢にも注意
ReutersによるとBrent原油は本日97.04ドルまで上昇し、3営業日続伸しています。イランがペルシャ湾岸の米国エネルギー施設への報復を警告したことで、中東情勢への警戒が再び強まっています。
原油高は為替とGoldの両方に複雑な影響を与えます。日本にとっては交易条件悪化につながるため本来は円安材料ですが、現在は日銀利上げ観測とキャリー巻き戻しがそれを上回っています。
Goldについても、地政学リスクそのものは安全資産買いの材料ですが、原油高がインフレを押し上げればFedの利上げ観測が強まり、米金利上昇を通じてGoldの逆風になります。「中東緊張=Gold買い」と単純化せず、原油と米金利が同時にどう動くかを見る必要があります。
豪ドルとアジア市場
本日のアジア株はまちまちです。ReutersによるとMSCIアジア太平洋株指数(除く日本)は0.2%高、韓国KOSPIは1.2%高。一方、豪州株は消費者心理の悪化を受けて0.6%下落しました。
豪ドルは大きく崩れていません。中国人民元も約3年半ぶりの高値圏にあり、本日発表予定の中国8月貿易統計が次の材料です。中国のドル建て貿易黒字は1,200億ドル程度が予想されています。輸出が強ければ中国景気への安心感からAUDにはプラスですが、巨額の貿易黒字は米中摩擦を再び意識させる可能性があります。
豪州ではWestpac消費者信頼感とNAB企業景況感も発表されます。AUDJPYを取引する場合、豪ドルそのものよりも現在は円側の変動が圧倒的に大きいため、AUDUSDとUSDJPYを分けて確認する方が状況を把握しやすいでしょう。
今日確認しておきたい材料
本日は中国8月貿易統計がアジア時間の重要材料です。日本では14時に8月景気ウォッチャー調査が発表され、現状判断46.1、先行き判断46.3が予想されています。強い結果なら日銀利上げ観測を補強し、円高材料として反応する可能性があります。
米国ではFRB高官がブラックアウト期間に入っているため、金融政策を直接動かす発言は限定的です。その分、市場の視線は今週後半の米物価統計に集中しています。現在は9月利上げ確率が約60%まで上昇しているため、インフレ指標の小さな上振れ・下振れでも米金利とドルが大きく反応する可能性があります。
今日の市場では、円のキャリー巻き戻し、中東情勢、原油、中国貿易統計の4点を優先して確認します。
本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円は戻り売りを基本とします。ただし152円台まで短期間で下落しているため、現在値から安値を追いかける売りは避けます。前営業日の支持2である152.68円付近で下げ止まるかをまず確認し、反発した場合は153.50円、さらに154円台への戻りがどこで止まるかを見ます。
152.68円を明確に割り、戻しても回復できない場合は151円台への下落余地が広がります。一方、154円を回復し、155円方向への戻りが始まる場合は短期的な円ショートカバーを警戒します。円高トレンド自体が崩れたと判断するには、少なくとも155円台の回復を確認したいところです。
AUDUSDは中国貿易統計と豪州指標を確認してから判断します。AUDJPYについては円側のボラティリティが高いため、通常よりポジションサイズを抑えます。
貴金属の戦略
Goldは4,400ドルを最重要ラインとします。4,400ドル上を維持し、4,430~4,450ドルを明確に上抜けるなら短期的な押し目買いを検討します。反対に4,400ドルを割り、戻りでも回復できない場合はロングを控えます。
Silverは66ドル台を維持できるかを確認します。Goldより値動きが大きいため、同じ損失許容額ならGoldよりポジションサイズを小さくします。Platinumは1,800ドルを維持する限り相対的な強さを評価します。

今日は円相場のボラティリティが非常に高いため、ドル円・クロス円では通常よりストップ幅とポジションサイズのバランスを重視します。Goldはドル安だけを見て買わず、米10年債利回りと原油を同時に確認する方針です。
引用文献
- Reuters「Yen extends rally to new seven-month high; dollar subdued ahead of CPI」2026-09-08
- Reuters「Gold gains as dollar eases with US inflation data on radar」2026-09-08
- Reuters「Asia stocks waver as yen surges, Iran warns of retaliation」2026-09-08
- The Business Times「Gold steadies as traders weigh Mideast tensions, US dollar moves」2026-09-08
- 外為どっとコム「今日のドル円 昨日の振り返りと今日のドル円相場見通し」2026-09-08
- 外為どっとコム「東京為替見通し=ドル円、利上げ加速観測と国内指標を注視」2026-09-08
- みんかぶFX「円買い継続、ドル円154円大台割り込む」2026-09-08
- みんかぶFX「東京市場 ピボット分析(主要国通貨)」2026-09-08
- みんかぶFX「円全面高、来週の日銀会合に向けて円買い止まらず」2026-09-08
- みんかぶ先物「本日の見通し 貴金属=金が軟調、円高が圧迫」2026-09-08
- 田中貴金属「貴金属価格情報」2026-09-08
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