2026年3月23日 昨日の振り返りと今日の見通し

有事のドル買いで金急落、ドル円160円接近|ホルムズ海峡危機と中東緊張

TL;DR

昨日(週末)の振り返り

  • 中東でのイラン・イスラエル紛争が緊迫化する中、トランプ大統領がホルムズ海峡の48時間以内の解放を要求するという超強硬姿勢を示したことで、市場には有事のドル買いが猛烈な勢いで流入しました。
  • 米連邦公開市場委員会(FOMC)後のタカ派的な再評価が進み、利下げ観測の後退と利上げの可能性が意識されたことで、金利を生まない金スポット価格は5,000ドルの大台を割り込み、歴史的な急落を記録しました。
  • ドル円は「有事のドル買い」と利回り上昇を背景に一時159.39円まで上昇し、東京市場が休場(春分の日)の間に円安ドル高が一段と加速する展開となりました。

 

 

今日の見通し

  • トランプ大統領の最後通牒に対するイラン側の報復警告により、地政学リスクが原油高を通じたインフレ懸念を増幅させ、ドルの独歩高が継続しようとしています。
  • 貴金属市場では、週明けもパニック的な売りが続いており、東京市場ではサーキットブレーカーが発動される中、金価格が4,300ドル台を維持できるか、あるいは4,200ドル台へさらなる下落を見せるかが焦点です。
  • 為替市場では、三村財務官による「あらゆる方面で対応する」という牽制発言が出ているものの、日米金利差とエネルギーコスト増大という実需要因から160円の大台突破が強く意識されています。

 

 

 

グローバル市場分析:地政学の激化とマクロ経済のパラダイムシフト

2026年3月23日、極東およびアジアの金融市場は、週末に発生した劇的な地政学的展開と、主要国の中央銀行による金融政策の見通し変更という二つの巨大な波に直面しています。市場の流動性が高まるアジア時間の取引において、投資家は「価値の保存」という概念を再定義しようとしており、これまで安全資産とされてきた金(ゴールド)から、圧倒的な流動性と利回りを備えた米ドルへと資金が集中する現象が顕著になっています。

 

 

中東情勢の緊迫化と有事のドル買い

トランプ大統領の最後通牒とホルムズ海峡の危機

週末の国際情勢における最大の焦点は、ドナルド・トランプ大統領がイランに対して突きつけた最後通牒です。トランプ大統領は、イランが支配を強めるホルムズ海峡を48時間以内に解放しなければ、イラン国内の主要なエネルギー施設や発電所に対して軍事攻撃を行うと警告しました。これに対し、イラン側も「攻撃が行われた場合は、ペルシャ湾全域の米国およびイスラエルのエネルギーインフラを標的にし、同海峡を無期限に閉鎖する」と猛反発しています。

この緊張状態を受け、市場では伝統的な「有事の金買い」ではなく、より即効性の高い流動性資産である「有事のドル買い」が加速しました。ドル円相場は、先週末の東京休場中に157円台から一気に159.39円まで値を切り上げ、週明けの取引でもその高値圏を維持しています。原油価格が100ドル近傍で推移し、エネルギーコストの増大が予測される中で、エネルギー輸入国である日本にとっては円安圧力が一段と強まる構造となっています。

インフレ再燃懸念と主要中銀のタカ派姿勢

地政学リスクがもたらす原油高は、単なる不安材料にとどまらず、世界的なインフレの再燃を招いています。ニューヨーク市場では、原油高からインフレが再び加速し、米連邦準備制度(FRB)が利下げに踏み切るどころか、逆に追加利上げを検討せざるを得ないという論理が定着しつつあります。実際、ウォラーFRB理事の利下げに慎重な発言を受け、市場が算出する「年内の利上げ確率」は12.4パーセント、一部のデータでは30パーセントを超える水準まで上昇しており、これが米10年債利回りを4.4パーセント台へと押し上げています。

欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BoE)、そして日本銀行(BoJ)も、インフレ圧力が持続する場合には引き締めを継続する、あるいは緩和の縮小を急ぐシグナルを発しており、金利を生まない資産である貴金属にとっては、極めて厳しいマクロ経済環境が構築されています。

 

 

貴金属市場の歴史的な急落とサーキットブレーカーの発動

金スポット価格のパニック売りとテクニカル的崩壊

2026年3月23日、国際金価格は衝撃的な売り浴びせに見舞われました。日本時間の月曜日朝、金価格は4,300ドル台まで急落し、1週間前まで維持していた5,000ドルの心理的節目を大幅に割り込んだ状態が続いています。先週1週間だけで金価格は10パーセント以上下落しており、これは1983年以来最大の週落率を記録しています。

この急落を主導したのは、アルゴリズム取引を用いるCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー)などの超短期筋です。金利上昇とドル高という逆風の中で、主要なサポートラインが突破されたことで、機械的な売り注文が連鎖的に発動しました。午前中の東京市場では、売買が極端に荒くなり、取引所では「サーキットブレーカー」が発動し、一時的な取引中断を余儀なくされる場面もありました。

アジアにおける現物市場の動向と小売価格への影響

日本国内の貴金属市場もこの暴落を直撃しています。三菱マテリアルや田中貴金属が本日発表した小売価格によれば、金は前日比で2,378円の大幅安となる25,197円、プラチナは889円安の10,908円となりました。

貴金属銘柄店頭小売価格(税込・1gあたり)前日比
25,197円-2,378円
プラチナ10,908円-889円
391.38円-52.03円

一方で、価格の急落を受けて、シンガポールや香港などのアジア主要都市では現物購入を求める動きも見られます。シンガポールでは、金価格が5,000ドルを突破した際の過熱感から一転し、押し目買いを狙う個人投資家が行列を作っています。しかし、中国の金ETFからの資金流出や、世界的なリサイクル売り(売却)の急増も報告されており、需要と供給のバランスは依然として供給過多に傾いています。

 

 

外国為替市場:160円を巡る攻防と実需の対立

ドル円相場の上昇要因と円安地合いの継続

ドル円相場は、有事のドル買いと日米金利差という二つのエンジンによって駆動されています。2026年3月23日時点の主要通貨レートは以下の通りです。

通貨ペア現在値前日比変動率
USD/JPY159.444+0.14%
EUR/USD1.15587-0.12%
GBP/USD1.33382-0.02%
USD/CNY6.91116+0.07%

三菱UFJ銀行が発表した公表仲値は159.52円となり、心理的節目の160円が眼前に迫っています。市場では、円の売り持ちポジションが2024年7月以来の高水準に積み上がっており、投機的な円売りが相場を押し上げている側面も指摘されています。これに対し、財務省の三村財務官は「原油市場の投機的な動きが為替に影響を与えている可能性」に言及し、いかなる時もあらゆる方面で対応する準備があるとして、介入への警戒感を最大限に高めています。

アジア市場の反応と経済指標の影響

アジア株市場も、中東紛争の激化を受けて全面安の展開となっています。香港のハンセン指数は午前中の取引で2パーセント以上下落し、紫金鉱業(Zijin Mining)などの産金関連株が5パーセントを超える下げを記録しました。日本市場においても、日経平均株価が大幅に下落しており、リスクオフ(回避)の姿勢が鮮明になっています。

本日の経済指標としては、米国で1月の建設支出、シンガポールで2月の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。特にシンガポールのCPIは、アジア圏のインフレ状況を占う上で重要視されています。また、翌日24日には日本の2月消費者物価指数の発表を控えており、これが日銀の追加利上げ判断にどのような影響を与えるかが注目されています。

 

 

シルバーおよびプラチナ市場の動向

銀(シルバー)の激しいボラティリティ

銀市場も、金と同様に厳しい売りにさらされています。3月23日のスポット価格は66.71ドルと、前日比で1.32パーセントの下落となりました。銀は金と比較して工業需要の割合が高いため、原油高による世界経済の減速懸念が、金利上昇による投資魅力の低下に追い打ちをかけています。テクニカル的には70ドルのサポートラインが完全に決壊しており、さらなる下値を模索する展開となっています。

プラチナの需要減退と供給過剰感

プラチナは、貴金属の中でも特に大きな下落率を記録しており、本日は1,847.70ドル(前日比マイナス6.23パーセント)から一時1,826.20ドルまで値を下げました。プラチナの主要な用途である自動車用触媒の需要が、電気自動車(EV)へのシフト加速によって減少していることが背景にあります。

銘柄本日価格前日比変動率
金(Gold)4,408.33ドル-1.79%
銀(Silver)66.71ドル-1.32%
プラチナ(Platinum)1,847.70ドル-6.23%

欧州でのリサイクル供給の増加により市場の需給逼迫が緩和しつつあることも、価格の下押し要因となっています。投資需要もETFからの資金流出により大幅に減少すると予測されており、反発のきっかけが見えにくい状況です。

 

 

テクニカル分析と市場の心理状態

主要なサポートおよびレジスタンスレベル

現在の金価格における最重要サポートは4,472ドルのフィボナッチ0.618戻しレベルでしたが、足元でこれを割り込む動きを見せています。ここを日足終値で維持できない場合、次の目標値は4,214ドルのサポートゾーンになると予想されます。一方で、反発があった場合のレジスタンスは、かつてのサポートラインであった200日移動平均線(4,643ドル付近)となります。

ドル円に関しては、エリオット波動分析に基づくと第5波の形成過程にあり、159.86円が重要な転換点(ピボット)となっています。このレベルを明確に突破し、定着した場合は、161.00円から163.00円までのさらなる円安加速が予測されます。一方、このレベルを維持できずに調整に入った場合は、156.07円から155.17円付近までの押し目が想定されます。

相場観のパラダイムシフト:有事の金から有事のドルへ

市場参加者の間では、これまでの「地政学リスク=金買い」という公式が崩れようとしています。紛争がインフレを引き起こし、それが中央銀行による高金利の維持を正当化するという現在のメカニズムでは、金利を生まず、かつ保有コストのかかる金よりも、高い利回りを享受できるドル建て資産の方が選好される傾向にあります。この考え方の変容こそが、足元の急激な価格変動の根底にあります。

しかし、長期保有を目的とする中央銀行や一部の機関投資家は、現在の暴落を「過剰な期待に対する調整」と捉え、買い持ちを継続しています。中国人民銀行が16ヶ月連続で保有高を積み増している事実は、ドルの覇権に対抗するための長期的な戦略としての金の重要性が依然として高いことを示唆しています。

このように、2026年3月23日の市場は、極めて高い緊張感の中で推移しており、トランプ大統領の「48時間」という期限が迫る中で、ボラティリティはさらに増大することが予想されます。

 

 

 

2026年3月23日のトレード戦略

本日の為替および貴金属市場における戦略的判断は、地政学的なヘッドラインニュースへの即時対応と、テクニカル的な重要節目での攻防を軸に組み立てる必要があります。

ドル円(USD/JPY)における介入警戒型トレード ドル円は159.40円前後で推移しており、160.00円の大台を試す展開が想定されます。しかし、三村財務官による強い牽制発言が出ていることから、160円を超えた瞬間に政府・日銀による円買い介入が発動されるリスクが非常に高まっています。戦略としては、押し目買いを基本としつつも、介入による155円方向への急落に備え、タイトな逆指値注文(ストップロス)を158.80円付近に設定することが推奨されます。特にニューヨーク時間に向けて流動性が低下する場面での急騰には注意が必要です。

貴金属(XAU/USD)における底値模索とリバウンド狙い 金スポット価格は4,400ドルの攻防となっています。RSIなどの指標では売られすぎ(オシレーターの低位推移)を示していますが、インフレ懸念と利上げ観測というファンダメンタルズが改善しない限り、安易なロングポジションの構築は控えるべきです。4,472ドルのフィボナッチレベルを回復し、1時間足レベルで定着するのを確認してから、4,580ドル付近をターゲットとした短期のリバウンド狙いに徹するのが賢明です。もし4,400ドルを明確に割り込んだ場合は、4,214ドルまでのフリーフォールを想定した追随売りも検討の余地があります。

プラチナおよび銀のヘッジ戦略

プラチナの下げ幅は金よりも大きく、市場の地合いは極めて弱気です。銀についても、70ドルのサポートが崩れたことで、下落トレンドが鮮明になっています。これらの銘柄については、無理に底値を拾うのではなく、ポートフォリオ全体のダウンサイドリスクをヘッジするために、ショート(売り)を継続するか、あるいは現金比率を高めて地政学的な混迷が落ち着くのを待つ「静観」の姿勢が求められます。特にアジア時間終盤から欧州時間入りにかけての戻り売りを検討してください。 

 

 

 

免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。

 

 

 

引用文献

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  2. Hong Kong stocks tumble with Asia as Strait of Hormuz crisis deepens, https://www.scmp.com/business/china-business/article/3347522/hong-kong-stocks-tumble-asia-strait-hormuz-crisis-deepens
  3. 金、サーキットブレーカー発動|アーカイブ一覧|豊島逸夫の手帖 …, https://gold.mmc.co.jp/toshima_t/2026/03/4270.html
  4. Gold – Price – Chart – Historical Data – News – Trading Economics, https://tradingeconomics.com/commodity/gold
  5. 今日のFX予想: FRBに利上げ観測浮上! ドル円は円安地合い続く …, https://www.gaitame.com/media/entry/2026/03/23/091302
  6. ドル円理論価格 1ドル=160.98円(前日比+1.41円) – 2026年03月 …, https://fx.minkabu.jp/news/361926
  7. Yen Gains Ground As BoJ Expected to Adopt Hawkish Tone. Forecast as of 18.03.2026, https://www.litefinance.org/blog/analysts-opinions/usd-jpy-price-prediction/yen-gains-ground-as-boj-expected-to-adopt-hawkish-tone-forecast-as-of-18032026/
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  14. 本日の予定【経済指標】 – 2026年03月23日07:20|為替ニュース – みんかぶFX, https://fx.minkabu.jp/news/361905
  15. 経済指標カレンダー(03月23日) | OANDA FX/CFD Lab-education(オアンダ ラボ), https://www.oanda.jp/lab-education/calendar/
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  18. Gold Crashes 15% From Peak: Is $4470 the Last Line of Defense Before a $4200 Freefall?, https://www.fxleaders.com/news/2026/03/22/gold-crashes-15-from-peak-is-4470-the-last-line-of-defense-before-a-4200-freefall/
  19. USD/JPY: Elliott Wave Analysis and Forecast for 20.03.26–27.03.26, https://www.litefinance.org/blog/analysts-opinions/usd-jpy-price-prediction/usdjpy-elliott-wave-analysis-and-forecast-for-200326-270326/
  20. China gold market update: Resilient demand in a festive month, https://www.gold.org/goldhub/gold-focus/2026/03/china-gold-market-update-resilient-demand-festive-month
  21. USD/JPY Forecast: Yen shrugs off jawboning as pressure builds on BOJ, https://www.forex.com/en-us/news-and-analysis/usd-jpy-forecast-yen-shrugs-off-jawboning-as-pressure-builds-on-boj/
  22. Chart alert: Gold medium-term downtrend triggered as $4,960 support broke, https://www.marketpulse.com/markets/chart-alert-gold-medium-term-downtrend-triggered-as-4960-support-broke/

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