TL;DR
昨日の振り返り
- 直前取引日のドル円は163.83円で終了しました。原油高と米金利がドルを支えた一方、164円付近では介入警戒も強く、上値追いは慎重でした。
- 米株はS&P500が0.05%高、ナスダックが0.64%安と方向が分かれました。米10年債利回りは4.68%付近まで低下しましたが、ハイテク株への売りが続きました。
- Goldは4,052ドル付近で週末を迎えました。週明けは米国とイランの攻撃休止、原油下落、ドル安を受けて買い戻しが優勢になりました。
今日の見通し
- ドル円は163.00円から164.00円を基本レンジとします。原油が85ドル前後で落ち着き、米10年債利回りが4.63%台にとどまれば、ドルの上値は重くなりやすいでしょう。
- Goldは4,100ドルを回復し、COMEX時間外では4,168.70ドルまで上昇しました。原油と米金利の低下が続く場合は上値を試しやすい一方、中東情勢の再悪化には反応が複雑になります。
- 日本時間21時30分の米耐久財受注が本日の主要指標です。今週の日銀会合とFOMCを控え、指標後も一方向へ追随せず、金利と原油の反応を確認します。
原油急落でドル円は軟化、Goldは4100ドルを回復
週明けは米国とイランの攻撃休止を受けて原油が急落し、ドル円は163円台前半へ軟化しました。一方、Goldは4,100ドルを回復し、国内の金・銀・Platinum価格もそろって上昇しています。本日は中東情勢だけでなく、原油低下が米金利とドルへ波及する経路を確認することが重要です。
ドル円は163.83円から163.40円台へ軟化
直前取引日のドル円は163.83円で終了しました。週明けの東京市場では163.60円台で始まり、11時30分時点には163.40円台へ下落しています。米国が約2週間続けたイランへの攻撃を停止し、イラン側も報復を控えたことで、有事のドル買いが一部巻き戻されました。
| 為替・金利 | 確認水準 | 時点・変化 |
|---|---|---|
| USDJPY | 163.83円 | 直前取引日終値 |
| USDJPY | 163.40円台 | 7月27日11時30分前後 |
| AUDUSD | 0.6999ドル | 8時31分AEST、+0.26% |
| 米10年債利回り | 4.6304% | 東京時間、約4.7bp低下 |
ドル円下落の主因として確認しやすいのは、原油と米国債利回りの同時低下です。米10年債利回りは4.63%台へ低下しました。金利差だけで方向が決まるわけではありませんが、原油高によるインフレ懸念が後退すれば、ドルを高値で買い続ける理由は弱まります。
一方、円が全面的に買われているわけではありません。中東情勢への警戒後退は株式市場を支え、リスク回避時に積み上がった円買いの巻き戻しにつながる面があります。このため、ドル売りと円売りが同時に起こると、ドル円の下落幅は限定される可能性があります。
高市首相は、為替相場は多様な要因を背景に市場で決まると述べ、金融政策の調整手段は日銀に委ねられるべきとの考えを示しました。直接的な介入警告ではありませんが、164円前後では政府・日銀の姿勢が意識されやすく、上抜け直後の追随には注意が必要です。
WTI原油は83.10ドルまで急落
WTI原油先物9月限は東京時間早朝に83.53ドルまで下落し、安値は83.10ドルでした。その後は85.25ドルへ戻しましたが、前営業日清算値に対して4.55%安です。豪州の市場報道でも、Brent原油とWTI原油の大幅下落が確認されています。
| エネルギー市場 | 確認水準 | 変化 |
|---|---|---|
| WTI原油9月限 | 85.25ドル | -4.06ドル、-4.55% |
| WTI原油日中安値 | 83.10ドル | 東京時間 |
| Brent原油 | 96.78ドル | 豪州時間早朝、-3.9% |
今回の原油安は、需要見通しの急激な悪化より、供給途絶に備えた地政学プレミアムの縮小が中心とみられます。米国とイランは攻撃を休止し、ホルムズ海峡の安全な通航を巡る協議でも前進が報じられました。ただし、紅海ではフーシ派による攻撃が続き、米国がイランへの攻撃を再開する可能性も残っています。
したがって、83ドル台への下落だけで中東リスクが解消したとは判断できません。WTIが83ドルを割って定着すれば、インフレ懸念の後退から米金利とドルへの下押しが強まりやすくなります。反対に88ドルから90ドルを回復すれば、地政学プレミアムの再拡大としてドル買いと金利上昇が戻る可能性があります。
Goldは4100ドルを回復、国内3金属も上昇
Goldは週明け早朝の4,052ドル付近から上昇し、一時4,100ドル近辺へ達しました。東京時間10時23分にはCOMEX金先物12月限が4,168.70ドル、前営業日比0.94%高となっています。米金利とドルの低下が、利息を生まないGoldの買い戻しを支えました。
| 貴金属 | 確認価格 | 前営業日比 |
|---|---|---|
| COMEX Gold 12月限 | 4,168.70ドル/オンス | +39.00ドル、+0.94% |
| 東京金先物 | 22,122円/グラム | +392円、+1.80% |
| 国内金小売 | 23,876円/グラム | +221円 |
| 国内銀小売 | 356.07円/グラム | +9.90円 |
| 国内Platinum小売 | 9,574円/グラム | +103円 |
国内価格ではGold、Silver、Platinumがそろって上昇しました。円高方向へ動いたにもかかわらず上昇したため、海外貴金属の反発が為替のマイナス効果を上回ったと考えられます。ただし、同一時刻・同一定義で確認できるSilverとPlatinumの海外スポット価格は記事に使用せず、国内公表価格を基準にしています。
Gold上昇の背景は、単純な安全資産買いではありません。今回は軍事的緊張の後退で原油と米金利が下がり、ドルも売られたことが追い風です。この組み合わせでは、中東リスクが後退してもGoldが上昇し得ます。反対に戦闘が再開され、原油高が米金利とドル高を伴えば、安全資産需要があってもGoldの上値が抑えられる可能性があります。
SilverとPlatinumはGoldに連動する面に加え、工業需要と株式市場の影響を受けます。豪ASX200指数は1.02%高、香港ハンセン指数は0.43%高でしたが、韓国と台湾の株価指数は下落しました。半導体株の調整が続く場合、GoldよりSilverとPlatinumの上昇が鈍くなる可能性があります。
豪ドルは0.70ドルが分岐点
豪ドルは0.6999ドルと、0.70ドルの心理的節目に接近しました。原油安は資源通貨に逆風となる場合がありますが、本日は中東リスクの後退とASX200の上昇が豪ドルを支えています。鉄鉱石は直前取引日に0.1%安の98.10ドルと小幅な変化にとどまりました。
豪州では今週、4~6月期の消費者物価指数が予定されています。RBAの判断に影響するため、豪ドルは0.70ドルを超えても、インフレ指標を前に上値追いが限定される可能性があります。0.7000ドルを明確に上回り、資源価格と株価も安定すれば上昇継続を検討できます。0.6950ドルを割る場合は、今回の上昇が短期的なリスク回避後退にとどまった可能性が高まります。
本日の経済指標と二つのシナリオ
本日は米耐久財受注が最大の定時材料です。今週は日銀とFOMCの政策判断を控えるため、指標が市場予想から大きく外れなければ、持続的なトレンドよりポジション調整が中心となる可能性があります。
| 日本時間 | 経済指標 | 市場予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| 14:00 | 日本・景気動向指数確報値 | 先行116.8、一致118.5 | 同値 |
| 17:00 | ドイツIfo景況感指数 | 未定 | 85.6 |
| 21:30 | 米耐久財受注 | 前月比1.3% | -4.5% |
| 21:30 | 米耐久財受注・輸送除く | 前月比0.9% | 1.4% |
ドル上昇シナリオは、米耐久財受注が予想を上回り、米10年債利回りが4.68%方向へ戻る場合です。WTIも88ドルを回復すれば、ドル円は163.80円、続いて164.00円を試しやすくなります。Goldは4,150ドルを維持できるかが焦点です。
ドル下落シナリオは、米指標が弱く、WTIが83ドル台、米10年債利回りが4.63%以下で推移する場合です。ドル円が163.20円を割れば163.00円、次いで162.80円が意識されます。Goldは4,170ドルを超えれば4,200ドル方向を試す余地があります。
本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円の基本レンジは163.00円から164.00円です。東京午前の下落後に163.40円台で推移しているため、レンジ中央で方向を固定せず、原油と米金利の確認を優先します。
| 条件 | 条件付き戦略 | 目標の目安 | 無効化条件 |
|---|---|---|---|
| 163.80円を上抜け、米10年債が4.68%方向へ上昇 | 押し戻し後の下値維持を確認 | 164.00円、164.20円 | 163.50円割れ |
| 163.20円を下抜け、米10年債が4.63%以下 | 戻りが163.20円以下に抑えられるか確認 | 163.00円、162.80円 | 163.50円回復 |
| WTIが88ドルを回復 | ドル買いの再開を通貨横断で確認 | 163.80円以上 | WTI85ドル割れ |
| AUDUSDが0.7000ドルを上抜け | ASXと資源価格の安定を確認 | 0.7030ドル | 0.6970ドル割れ |
21時30分前後は注文の滑りと急反転に注意します。米指標が強くても原油が下落を続ければ、ドル買いが長続きしない場合があります。また164円付近では介入警戒が強まりやすいため、価格だけでなく値動きの速度も確認します。
貴金属の戦略
Goldは4,100ドルから4,200ドルを短期の判断帯とします。4,150ドルを維持し、米10年債利回りが4.63%以下、ドルも下落する場合は、4,170ドルから4,200ドルへの上昇を検討できます。4,100ドルを割り、原油と米金利が反発する場合は4,050ドル方向への調整を警戒します。
| 銘柄 | 上昇条件 | 下落警戒条件 | 無効化条件 |
|---|---|---|---|
| Gold | 4,170ドル超え、米金利低下 | 4,100ドル割れ、ドル反発 | 反対側の節目へ定着 |
| Silver | 国内356.07円維持、株価安定 | Gold反落、ハイテク株安 | 国内価格が前営業日水準へ低下 |
| Platinum | 国内9,574円維持、ASX・香港株上昇 | 工業需要懸念、豪ドル反落 | 国内価格9,471円割れ |
SilverとPlatinumは海外価格の時刻差を避け、国内公表価格とGold、豪ドル、アジア株の組み合わせで判断します。Goldだけが上昇し、韓国・台湾株の下落が広がる場合は、SilverとPlatinumの追随を前提にしません。
本日は原油下落が金利低下とドル安につながる限り、貴金属には追い風です。ただし、原油急落が景気不安へ変化した場合は、工業用途を持つSilverとPlatinumがGoldより弱くなる可能性があります。週初の窓を伴う値動きであるため、初動を追わず、米国時間に節目を維持できるかを確認します。
引用文献
- 本日の見通し ドル円は中東情勢警戒やや後退も163円台を中心としたしっかりした推移となりそう
- 朝のドル円は163.60円台、先週末終値からややドル安円高
- ドル売り優勢、ドル円163.40円台に軟化
- NY原油 時間外取引 中東情勢警戒一服で軟調
- 米10年債利回り低下、4.63%台
- 東京金 中東情勢警戒一服で強い
- アジア株 韓国株は下落、CXMT上場
- 本日の予定 経済指標
- 田中貴金属 貴金属価格情報
- Gold climbs after pause in US-Iran strikes eases oil prices and inflation fears
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免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。


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