TL;DR
昨日の振り返り
- ドル円は157.57円で始まり、157.54円を安値に159.36円まで反発し、159.29円で引けました。協調介入後の円高を半分近く戻した形です。
- WTI原油9月限は82.13ドルと5.05%上昇し、輸入負担とインフレ警戒を通じて円と米金利の双方に影響する材料になりました。
- Goldはニューヨーク時間に上昇し、11日アジア時間も現物4411.77ドル、Silver66.16ドル、Platinum1763.60ドルと三金属がそろって上昇しました。
今日の見通し
- 東京市場は山の日で休場し流動性が薄いため、ドル円は159円台の戻りと160円接近時の介入警戒がぶつかりやすい局面です。
- 13時30分JSTのRBAは政策金利据え置き予想が中心で、インフレ警戒を残すか、住宅・物価の鈍化を重視するかが豪ドルの分岐点です。
- 米CPIを翌日に控え、原油高によるインフレ懸念と弱い米雇用による利上げ観測後退のどちらが米金利を動かすかを確認します。
ドル円159円台、Gold4400ドルとRBAを読む
11日の結論は、ドル円の戻りが続いても159.36円から160円では介入警戒が強まりやすく、薄商いの追随は慎重にしたいということです。豪ドルはRBA声明、Gold・Silver・Platinumは原油と米金利の組み合わせが主役です。米CPI前日のため、価格水準だけでなく材料が同じ方向にそろうかを確認します。
介入後の円高は一服、ドル円は159円台へ
10日のドル円は157.57円で始まり、157.54円を安値に159.36円まで上昇し、159.29円で取引を終えました。協調介入で一時155.20円まで円高が進んだ後、介入前の安値圏から半分近く戻した状態です。介入は短期の投機的な円売りを巻き戻しましたが、日米金利差と低い為替変動率という円安の背景を直ちに解消したわけではありません。
米商品先物取引委員会の統計を使ったロイターの集計では、8月4日までの週に円のネット売り越しは88億6500万ドル減少し、36億400万ドルになりました。減少幅は12年超で最大です。投機筋のポジション整理は大きかった一方、売り越し自体は残っています。円高が続かなかった事実と、円売りが減った事実を分けて考える必要があります。
| 10日の主要通貨 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| USDJPY | 157.57 | 159.36 | 157.54 | 159.29 |
| EURUSD | 1.1558 | 1.1567 | 1.1540 | 1.1543 |
| EURJPY | 182.36 | 183.94 | 182.02 | 183.89 |
| AUDJPY | 111.22 | 112.45 | 111.18 | 112.38 |
ドル円の上昇と同時にEURUSDが小幅に下落しているため、10日の動きは円だけでなくドル側の強さも含んでいました。AUDJPYは111.22円から112.38円へ上昇し、円安とRBA会合前の豪ドル底堅さが重なりました。ただし、11日は日本の祝日で東京の現物債市場も休場です。取引量が薄い時間帯には、通常より小さな注文で159.50円や160円へ振れ、その後戻る可能性があります。
原油5%高は円安とGoldの両方向に作用
WTI原油9月限は10日に82.13ドルで引け、前日比3.95ドル、5.05%上昇しました。11日アジア時間はBrentが88.00ドル、WTIが82.45ドル付近で、いずれも7月31日以来の高値圏です。ホルムズ海峡の再開を巡る米国とイランの協議が難航しているとの報道が供給不安を残しました。
日本にとって原油高は輸入額を押し上げやすく、貿易収支と実需のドル需要を通じて円安材料になり得ます。米国ではガソリンや輸送費を通じてインフレ懸念を強めれば、利上げ観測と米金利を押し上げ、ドル円を支える可能性があります。この二つが重なると、弱い米雇用を受けたドル安圧力が相殺されます。
一方、Goldには地政学的な不確実性が安全資産需要を生む支えがあります。ただし、原油高が米金利上昇につながれば、利息を生まないGoldには逆風です。原油上昇だけをGold買いの根拠にせず、米2年債利回りとドル指数が上がるか下がるかを同時に確認します。
Gold・Silver・Platinumはそろって上昇
11日アジア時間の現物Goldは4411.77ドルと0.5%高で、6月5日以来の高値を付けました。米Gold先物は4472.10ドルと1.2%高です。Silverは66.16ドル、Platinumは1763.60ドルで、ともに0.6%上昇しました。GoldとSilverが同時に上昇し、Platinumも追随しているため、少なくとも11日午前はGoldだけに安全需要が集中した相場ではありません。
| 貴金属 | 11日アジア時間の参考値 | 前日比 | 主な確認材料 |
|---|---|---|---|
| Gold現物 | 4411.77ドル | +0.5% | 米金利、ドル、地政学 |
| Silver現物 | 66.16ドル | +0.6% | Gold、工業需要、アジア株 |
| Platinum現物 | 1763.60ドル | +0.6% | 自動車・工業需要、中国景気 |
前週の弱い米雇用は9月の米利上げ観測を後退させ、Goldの支えになりました。しかし12日の米CPIは総合が前月比0.1%上昇、コアが0.2%上昇と予想されています。予想を上回れば9月利上げ観測が再び強まり、Goldが4400ドル台を維持していても利益確定が増える可能性があります。
国内の貴金属小売価格は祝日のため、当日公表でない前営業日の価格を混ぜません。円建て価格を考える場合、海外Goldが上昇し、ドル円も円安へ進めば上昇要因が重なります。逆に介入で円高が再開すれば、ドル建てGoldが上がっても国内価格の上昇幅が縮む可能性があります。
RBA据え置き後は声明の温度差が焦点
RBAは11日13時30分JSTに政策判断を発表します。市場予想は政策金利4.35%の据え置きが中心です。オーストラリアのインフレはなお高いものの、中東情勢によるエネルギー価格の上昇は一時的な可能性があり、住宅と基調的な物価の鈍化を見極める余地があるとみられています。
11日午前のAUDUSDは0.7057付近で8週間ぶりの高値圏、ABCの市場更新では0.7054付近でした。ASX200は0.1%高の9244、鉄鉱石は0.4%高の95.40ドル、現物Goldは4404ドル付近と報じられています。豪ドルと資源価格はともに底堅いものの、RBA据え置き自体は広く予想されているため、政策金利の数字だけでは方向を決めにくい状況です。
声明がインフレの粘着性と追加利上げの選択肢を強調すれば、豪金利の上昇を通じてAUDUSDを支えやすくなります。反対に、住宅・消費・基調インフレの鈍化を重視し、政策を据え置く余裕を示せば、0.70米ドル台後半で利益確定が出やすくなります。AUDJPYではRBA要因に加え、159円台のドル円と介入警戒があるため、AUDUSDの方向をそのまま当てはめません。

香港・シンガポール時間は薄い円市場を補う
日本が休場でも、香港・シンガポールを中心とするアジア市場では為替と商品取引が続きます。MSCIアジア太平洋株指数の日本除く指数は0.2%高、韓国KOSPIは0.3%高で、極端なリスク回避には傾いていません。米S&P500先物は0.1%高、Nasdaq先物は0.28%高でしたが、前日の米株現物は下落しており、株式の方向も一枚岩ではありません。
香港・中国株、人民元、鉄鉱石がそろって上昇すれば、豪ドル、Silver、Platinumの工業需要期待を支えます。Goldだけが上昇し、豪ドルと工業金属が下落する場合は、安全資産需要の比重が高いと判断できます。東京休場で円の実需フローが少ないため、香港時間にドル円が159.36円を超えても、欧州勢参加後まで上抜けが維持されるかを確認します。
今日から米CPIまでの二つのシナリオ
ドル円の上昇シナリオは、RBA後もアジア市場が安定し、原油高と米金利上昇が続き、159.36円を明確に上回る場合です。159.80円から160.00円が次の確認帯になります。ただし、介入後の戻り局面で160円へ近づくほど当局発言や再介入のリスクが高まるため、上昇速度が速いほどポジションを小さくします。
下落シナリオは、159円を維持できず、米金利が低下し、158.90円を割る場合です。158.30円、次に157.80円を確認します。追加介入や日銀利上げ観測が出れば下落が速まる可能性がありますが、原油高が続く間は円高の持続性を過信しません。
Goldの上昇シナリオは、4400ドルを維持し、ドルと米金利が低下し、原油高による地政学需要が続く場合です。4412ドル付近を保てば先物4472ドル方向が意識されます。下落シナリオは、米CPI警戒で利回りとドルが上昇し、4400ドルを割る場合です。SilverとPlatinumはアジア株や豪ドルが弱ければ、Goldより調整幅が大きくなる可能性があります。
本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円の主な観察レンジは158.50~160.00円です。159.36円を上回り、米国債先物安と原油高が続く場合は159.80円、次に160.00円を確認します。上昇シナリオは158.90円割れで無効とします。反対に158.90円を割り、米金利も低下する場合は158.30円から157.80円を想定し、159.50円回復で下落シナリオを無効とします。介入関連の見出しが出た場合は水準より流動性を優先します。
AUDUSDの観察レンジは0.7000~0.7120ドルです。13時30分JSTのRBA声明がインフレ警戒と追加利上げ余地を強調し、0.7057を維持する場合は0.7100方向を確認します。強気シナリオは0.7030割れで無効です。声明が成長・住宅の弱さを重視し、0.7030を割る場合は0.7000を確認し、0.7080回復で弱気シナリオを無効とします。
AUDJPYは111.50~113.00円を観察帯とします。前日高値112.45円を超えても、ドル円が159円を割る場合は豪ドル高だけで上昇が続くとは判断しません。RBA直後は最初の反応を追わず、AUDUSDと豪2年金利の方向が15~30分維持されるかを確認します。米CPIは12日であり、本日は発表前のポジション調整が欧米時間の主なリスクです。
貴金属の戦略
Goldは4370~4475ドルを主な観察帯とします。4400ドルを上回り、ドル指数と米2年債利回りが低下する場合は4412ドルの維持、次に4450~4472ドルを確認します。強気シナリオは4370ドル割れで無効です。4400ドルを割り、米金利上昇が重なる場合は4370ドル方向を警戒し、4420ドル回復で弱気シナリオを無効とします。
Silverは65.20~67.00ドルを観察帯とします。66.16ドルを維持し、Goldと香港・中国株が同時に上昇する場合は66.80~67.00ドルを確認します。強気の無効化は65.20ドル割れ、弱気の無効化は66.80ドル超えです。Goldのみが上昇する場合は、Silverの追随を前提にしません。
Platinumは1735~1790ドルを中心に見ます。1763.60ドルを維持し、豪ドル、鉄鉱石、アジア株が安定する場合は1780~1790ドルを確認します。強気の無効化は1735ドル割れ、弱気の無効化は1780ドル超えです。三金属とも、原油高が安全需要を高める効果と米金利を押し上げる効果が逆向きに働くため、ドルと利回りを必ず併せて確認します。
引用文献
- ドル円・ユーロドル・ユーロ円の10日四本値
- 豪ドル円などクロス円の10日四本値
- ドル円159円台、介入効果は半分近く失う
- 金利差と低ボラティリティーが円の重荷
- 米金融当局者の利上げ見通しは分かれる
- WTI原油9月限は82.13ドル、5.05%高
- 山の日で東京市場のニュース配信を休止
- Goldは3日続伸、米CPIとPPIを注視
- 原油は7月末以来の高値、米CPI前のアジア市場
- 円は158円台後半、RBA会合に注目
- 豪州市場とRBA会合の当日ライブ
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