ドル円163円台とGold4000ドル攻防|FOMC・豪CPIと中東再緊張【2026年7月29日】

FOMCの政策判断を示す光のゲートと、下落したGold・Silver・Platinum、中東再緊張を表す市況イメージ 昨日の振り返りと今日の見通し

TL;DR

昨日の振り返り

  • ドル円は163円台後半の狭い範囲で推移し、原油安と米金利低下でも下値は限定されました。
  • GoldはFOMC前の利上げ警戒とドル高で反落し、早朝の現物価格は4,020ドル近辺まで下落しました。
  • WTI原油は79.26ドルへ4.06%下落し、米2年債と10年債の利回りもそろって低下しました。

 

 

今日の見通し

  • 日本時間30日午前3時のFOMCでは据え置きが中心予想ですが、約3割の利上げ織り込みが残るため急変に注意します。
  • 豪CPIの下振れで豪ドル米ドルは0.6950ドル近辺へ下落し、豪ドルはRBA利上げ観測の後退が上値を抑えます。
  • Goldは4,000ドル、Silverは56ドル台、Platinumは国内価格9,500円近辺を基準に、米金利と原油の方向を確認します。

 

 

FOMCと豪CPI、中東再緊張がドル円とGoldを動かす

ドル円は163円台後半で膠着していますが、FOMCが利上げを見送るか、声明と会見がどの程度タカ派になるかで均衡が崩れる可能性があります。Goldは4,000ドル台を維持する一方、原油は前夜の急落から中東情勢の再緊張を受けて反発しており、金利・ドル・地政学の三方向を分けて確認する必要があります。    

 

 

ドル円は163円台後半、FOMC前に値幅縮小

7月28日のNY市場では、ドル円が163.65円付近まで下落した後、163円台後半へ戻しました。米国とイランの攻撃停止継続、原油安、米国債利回り低下はドル売り材料でしたが、日米金利差と164円を意識した押し目買いが下値を支えました。

東京時間午前のドル円も163円台後半を中心に推移しています。ドル円の理論価格は163.55円、三菱UFJ銀行の公表仲値は163.69円でした。スポット価格が理論価格と仲値に近いため、FOMC前は短期的な方向感よりイベント後のレンジ離脱を待つ地合いです。

ドル円の確認水準 市場での意味
164.00円 心理的節目、介入警戒が強まりやすい水準
163.70円前後 東京午前の中心帯と公表仲値
163.55円 理論価格
163.20円前後 前日の押し安値に近い支持帯
162.75円 下方向へ値幅が広がる場合の次の確認帯

オプション市場ではドル円の1週間物ボラティリティーが7%台へ上昇しました。スポットの値幅が小さい一方、FOMCと日銀会合を含む1週間の予想変動は大きくなっています。現在の膠着だけを見てポジションを大きくすると、イベント後の急変に対応しにくくなります。

 

     

米金利は低下、FOMCは据え置きと利上げ観測が併存

米国債市場では2年債利回りが4.277%、10年債が4.602%、30年債が5.090%へ低下しました。原油安によってインフレ再加速への警戒が和らいだことが主因です。10年物期待インフレ率も2.196%へ小幅低下しました。

米国債 利回り 前営業日比
2年債 4.277% -4.6bp
10年債 4.602% -4.7bp
30年債 5.090% -4.7bp
10年物期待インフレ率 2.196% -0.7bp

FOMCの結果発表は日本時間30日午前3時です。政策金利据え置きが中心予想であるものの、短期金融市場には約3割の利上げ確率が残っています。通常より見通しが分かれているため、政策金利そのものに加えて、声明のインフレ評価と今後の利上げ余地が重要です。

据え置きでも声明がタカ派で、9月利上げ観測が高まれば、米2年債利回りとドルが上昇しやすくなります。反対に、原油安を受けてインフレ懸念が後退したとの評価が示されれば、ドル円は163円台前半へ調整し、Goldには金利面の追い風となる可能性があります。    

 

 

Goldは4,020ドル近辺、国内3金属も下落

シンガポール時間7時16分時点の現物Goldは4,018.58ドルと0.3%下落し、前の取引日にも1.1%下げていました。Silverは56.88ドルと0.5%安で、前日には2%を超えて下落しています。PlatinumとPalladiumも軟調でした。

東京時間10時41分には、COMEX金先物12月限が4,080.00ドルと0.45%安、東京金先物が1グラム21,635円と0.76%安でした。限月と取引時間が異なるため現物価格と直接比較はできませんが、東京時間も売りが優勢です。

国内地金 店頭小売価格 前営業日比 店頭買取価格
23,510円/グラム -221円 23,153円
340.67円/グラム -4.62円 323.62円
プラチナ 9,527円/グラム -47円 9,104円

国内価格はGold、Silver、Platinumがそろって下落しました。円安が国内価格を支えているにもかかわらず下落しているため、海外価格の軟調さが優勢です。FOMC後に米金利が上昇すれば、利息を生まないGoldには追加の下押し要因となります。

一方、Goldは6月下旬以降、4,000ドル近辺で押し目買いが入りやすいと報じられています。4,000ドルを維持し、米2年債と10年債の利回りが低下する場合は反発余地があります。ただし中東情勢の悪化が原油高と利上げ観測につながる場合、安全資産需要があってもGoldが上昇するとは限りません。    

 

 

原油は急落後に82ドル台へ反発

WTI原油は前営業日に4.06%安の79.26ドルへ下落しました。米国とイランの攻撃停止が続き、ホルムズ海峡の航行再開へ向けた協議への期待がインフレ懸念を和らげました。

しかし東京時間には、イランがヨルダンの米軍基地へミサイルを発射したとの報道を受け、WTIが82.54ドルまで4.14%反発しました。24日の攻撃停止後で初めての攻撃とされ、戦闘再開への警戒が急速に戻っています。

原油のシナリオ 為替への影響 貴金属への影響
停戦維持で80ドル割れ 米金利低下、ドル上値抑制 Goldの金利面には追い風
衝突再開で83ドル超え 有事のドル買い、円買いの競合 Gold需要と金利上昇が競合
原油反発と米金利上昇 ドル円を支えやすい Gold・Silverに逆風
原油反発と株安拡大 豪ドルや工業金属に逆風 Silver・Platinumが弱くなりやすい

原油価格が一晩で大きく往復しているため、82ドル台への反発だけで上昇トレンドへ戻ったとは判断できません。米国の対応とイラン側の追加行動を確認する必要があります。    

 

 

豪CPI下振れで豪ドル下落、ASX200は上昇

オーストラリアの6月CPIは前年比3.8%となり、前月の4.0%から低下し、市場予想も下回りました。RBAが重視するトリム平均は前年比3.6%で、予想の3.7%を下回っています。インフレは依然として2%から3%の目標を上回っていますが、8月利上げの緊急性は低下しました。

発表後、豪ドル米ドルは約0.3%下落して0.6950ドル近辺となりました。一方、利上げ観測の後退を好感してASX200は11時19分時点で1.25%上昇しました。通貨と株価が逆方向に反応している点が重要です。

豪州関連 確認値 市場の受け止め
6月CPI 前年比3.8% 予想を下回る
トリム平均CPI 前年比3.6% 予想3.7%を下回る
AUDUSD 0.6950ドル近辺 利上げ観測後退で下落
ASX200 +1.25% 金利上昇懸念の後退で上昇

豪ドルはRBAの追加利上げ観測が後退したため、0.7000ドルの回復が難しくなりました。ただし原油や資源価格が再上昇し、株価が堅調を維持すれば、0.6950ドル割れで一方向に下落するとも限りません。

 

     

アジア株は二極化、工業金属は韓国・台湾株を注視

アジア市場では香港ハンセン指数とASX200が上昇する一方、韓国と台湾が大幅下落しました。韓国ではSKハイニックスの決算が過去最高益でも市場予想に届かず、韓国中銀の追加利上げ姿勢や中国半導体企業との競争も重荷となっています。

アジア株価指数 11時19分時点 騰落率
香港ハンセン指数 25,685.29 +1.48%
上海総合指数 3,788.94 -0.64%
台湾加権指数 40,413.37 -2.86%
韓国総合株価指数 5,652.65 -6.16%
豪ASX200指数 9,059.80 +1.25%

SilverとPlatinumは工業用途が大きいため、韓国・台湾のハイテク株安が世界景気や設備投資への警戒へ広がる場合、Goldより戻りが鈍くなる可能性があります。香港と豪州の上昇が続き、韓国株の下げが止まるかが相対強弱の確認材料です。    

 

 

 

本日のトレード戦略

外国為替の戦略

ドル円の基本レンジは163.20円から164.20円です。FOMC発表前は163.55円から163.90円の中間帯で方向を決めず、発表後に米2年債利回りと同じ方向へレンジを離れるか確認します。

条件 条件付き戦略 目標の目安 無効化条件
164.00円を上抜け、米2年債も上昇 164円を支持へ転換できるか確認 164.20円、164.50円 163.70円割れ
163.20円を下抜け、米金利も低下 戻りが163.20円以下か確認 163.00円、162.75円 163.55円回復
原油急騰でドルと円が同時に買われる ドル円より豪ドル円を監視 直近安値 原油反落と株価反発
FOMC直後に上下へ往復 初動を追わず15分程度待つ 二度目の離脱方向 発表前レンジへ回帰

豪ドル米ドルは0.6950ドルから0.7000ドルを観察帯とします。0.6950ドルを割り、豪金利も低下する場合は0.6920ドル方向を警戒します。反対に0.7000ドルを回復し、ASX200と資源価格が上昇する場合は、CPI後の売りが一巡した可能性があります。    

 

 

貴金属の戦略

Goldは4,000ドルから4,100ドルを短期判断帯とします。4,000ドルは心理的支持、4,020ドル近辺はシンガポール早朝の現物価格、4,080ドルは東京時間のCOMEX12月限です。限月差があるため、同じ価格系列内で上抜け・下抜けを判定します。

銘柄 上昇シナリオ 下落シナリオ 無効化条件
Gold FOMC据え置き、米金利低下、4,000ドル維持 タカ派FOMC、ドル高、4,000ドル割れ 反対側の節目へ定着
Silver Gold反発とアジア株下げ止まり 56ドル割れと半導体株安継続 57ドル台回復
Platinum ASX・韓国株反発、国内9,500円維持 工業需要懸念、9,500円割れ 国内外価格の同時反発

中東情勢が悪化しても、原油高が米金利とドルを押し上げればGoldの上昇は抑えられます。したがって「有事だからGold買い」と単純化せず、原油、米2年債利回り、ドル指数のうち少なくとも二つが同じ方向を示すか確認します。

FOMC発表前後はSilverとPlatinumの流動性低下やスプレッド拡大にも注意が必要です。発表直後の価格だけで判断せず、Goldの4,000ドル維持、米金利の方向、アジア株の翌朝の反応まで確認する条件付き戦略が適しています。    

 

 

引用文献

 

 

免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。

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