ドル円158円台、Gold4300ドル攻防|米雇用統計・原油反発【2026年8月7日】

米雇用統計を示す光のデータ列と、円盤状のGold、流動するSilver、リング状のPlatinumを配した2026年8月7日の為替・貴金属市況 日々の相場見通し

TL;DR

昨日の振り返り

  • ドル円は157.75円で始まり、米金利上昇と原油反発を背景に158.55円まで上昇し、158.43円でニューヨーク市場を終えました。
  • COMEX金12月限は4299.60ドルと前日比0.13%安で終了し、SilverとPlatinumもアジア早朝時点では前日比マイナス圏でした。
  • WTI原油は77.29ドルへ2.75%上昇し、ホルムズ海峡再開を巡る合意の実効性への疑念がエネルギー価格とインフレ期待を押し上げました。

  

 

今日の見通し

  • 21時30分の米雇用統計が最大材料で、雇用者数だけでなく失業率、平均時給、前月分の改定を合わせて確認する必要があります。
  • ドル円は158円台を維持できれば上値試しが続きやすい一方、介入警戒と200日移動平均線付近の攻防により急反落にも備えます。
  • Goldは4300ドル近辺、Silverは61ドル台、Platinumは1700ドル台の値固めを注視し、米金利とドルが同方向に動く局面では追随を急がない方針です。

  

 

 

ドル円158円台回復とGold4300ドル攻防をどう読むか

7日の焦点は、ドル円が158円台を保てるか、そしてGoldが4300ドル近辺で下げ止まれるかです。前日は原油と米国債利回りがそろって上昇し、ドルを支えました。一方、本日の米雇用統計は利上げ観測を大きく変え得るため、発表前後で「ドル高・金安」または「ドル安・金高」という単純な関係が一時的に崩れる可能性もあります。    

 

 

前日の外国為替は米金利上昇でドルが優位

みんかぶのニューヨーク市場データによると、ドル円は157.75円で始まり、157.56円を安値に158.55円まで上昇し、158.43円で引けました。ユーロドルは1.1553ドルから1.1525ドルへ下落し、ドル高が対円だけではなかったことを示します。米10年債利回りは4.672%へ5.9bp、2年債利回りは4.243%へ6.2bp上昇しました。短期と長期がそろって上がったため、ドル円の反発は単なる円売りではなく、米金利側の支援を伴う動きだったと整理できます。

市場 始値 高値 安値 終値・参考値 前日比・方向
USDJPY 157.75 158.55 157.56 158.43 ドル高・円安
EURUSD 1.1553 1.1560 1.1515 1.1525 ドル高
AUDJPY 111.35 111.49 111.07 111.41 小幅な円安
米2年債利回り 4.243% +6.2bp
米10年債利回り 4.672% +5.9bp

ドル円が200日移動平均線付近を回復したことはテクニカル面では支えです。ただし、財務省が公表した4月30日の円買い介入額は6.28兆円と過去最大の1日規模でした。市場が158円台で介入可能性を再評価しやすいことは、通常の金利差だけでは測れない下振れリスクです。1週間物のドル円インプライド・ボラティリティーが高止まりしている点も、急変への保険需要が続いていることを示します。    

 

 

原油反発は円と貴金属に異なる経路で波及

WTI原油9月限は77.29ドルで終了し、前日比2.07ドル、2.75%上昇しました。アジア時間にはBrent原油も83ドル台へ上昇しています。背景には、ホルムズ海峡を巡る提案の実施方法、制裁下での料金支払い、保険契約などに未解決部分が残り、正常化への確信が弱いことがあります。したがって「交渉進展が止まったから原油が上がった」と一つの原因に固定するより、供給経路の不確実性に対するリスクプレミアムが戻ったと見る方が適切です。

日本はエネルギー輸入国であるため、原油高は貿易条件を通じて円の重荷になりやすい一方、米国ではインフレ期待と国債利回りを押し上げる可能性があります。この組み合わせはドル円を支えやすいです。Goldには地政学的な需要が追い風になる反面、米実質金利とドルの上昇は逆風です。SilverとPlatinumには安全資産要因だけでなく、製造業・自動車需要への懸念も作用します。原油高の影響は三金属で同一ではありません。    

 

 

Gold・Silver・Platinumは高値圏で利益確定が優勢

COMEX金12月限は4299.60ドルと前日比5.60ドル、0.13%安で終了しました。アジア早朝の現物Goldは4235ドル台、Silverは61.26ドル、Platinumは1720.75ドル付近で、SilverとPlatinumはいずれも前日比マイナスでした。その後は買い戻しも入り、日中の方向は固定していません。週次でGoldが大幅高となっているため、米雇用統計前にポジションを軽くする動きが出ても不自然ではありません。

国内では田中貴金属の7日9時30分公表価格が、Gold小売23,947円で前日比121円安、Silver小売357.50円で1.98円安、Platinum小売9,897円で83円安でした。円建て価格はドル建て相場とドル円の双方で決まるため、海外金が下がっても円安が下落幅を和らげ、反対に円高が進めば国内価格の下げが増幅されます。

貴金属 海外市場の参考値 前日比 国内小売価格 国内前日比
Gold COMEX 12月限 4299.60ドル -0.13% 23,947円/g -121円
Silver 現物 61.26ドル付近 -0.4%前後 357.50円/g -1.98円
Platinum 現物 1720.75ドル付近 -0.5%前後 9,897円/g -83円

相対強弱では、Goldは安全資産需要と金融政策期待の影響が中心です。SilverはGoldに連動しつつ値幅が拡大しやすく、61ドル台の維持力が重要です。Platinumは1700ドル台を保っていますが、工業需要の見通しや中国景気の影響が大きく、Goldだけを根拠に上昇を想定するのは避けたいところです。  

 

   

アジアとオーストラリア市場が示す慎重姿勢

7日午前のアジア株は方向感に欠け、日経平均は0.9%安、韓国KOSPIは0.5%安、中国CSI300は0.2%高でした。株安とドル高が同時に進む場面では、円が必ずしも安全資産として買われるとは限りません。原油高による日本の交易条件悪化や、米金利上昇が円買いを相殺し得るためです。

オーストラリアではASX200が0.2%安、豪ドルは0.7029米ドル付近、鉄鉱石は95.10ドルで0.6%安と報じられました。豪ドルが70セント台を保つ一方、鉄鉱石の下落は資源通貨としての上値を抑える材料です。37人のエコノミスト全員が翌週のRBA会合で据え置きを予想しており、当面は米雇用統計と中国指標の方がAUDUSDの短期変動を左右しやすいとみます。    

 

 

米雇用統計は雇用者数以外も確認

日本時間21時30分に米7月雇用統計が発表されます。市場予想は非農業部門雇用者数が前月比8.0万人増、失業率4.2%、平均時給が前月比0.3%増、前年比3.5%増です。雇用者数が予想を上回っても、失業率上昇や前月分の下方改定が同時に出れば、最初のドル高が反転する可能性があります。逆に雇用者数が弱くても、平均時給が強ければインフレ懸念から米金利低下が限られることがあります。

発表前の利上げ織り込みは約5割で、結果次第で米短期金利が大きく動きやすい状態です。発表直後の数十秒は流動性が薄く、スプレッド拡大や滑りが起きやすいため、最初の方向だけで判断しないことが重要です。23時のカナダIvey指数もUSDCADとクロス円に二次的な影響を与えます。    

 

 

雇用統計後の値動きを三段階で確認

発表後は、第一段階として雇用者数、失業率、平均時給の組み合わせを確認します。強弱が同じ方向なら初動に持続性が出やすい一方、雇用者数だけが強く失業率や賃金が弱い場合は、ドル高の持続を前提にしない方が安全です。前月・前々月の改定も重要で、新規発表値が市場予想を上回っても、過去分が大幅に下方修正されれば労働需要の基調は見かけほど強くありません。

第二段階では米2年債利回りを見ます。雇用統計は金融政策見通しを通じて短期金利へ反映されるため、ドル円の初動と2年債利回りが同じ方向なら信頼度が高まります。ドル円だけが上がり、2年債利回りが発表前の水準を下回るなら、薄い流動性やポジション調整が主因の可能性があります。Goldでは反対に、ドル安でも実質金利が上昇していれば上値が抑えられるため、ドルだけで判断しません。

第三段階は株式、原油、貴金属の横断確認です。強い雇用が景気安心感として受け止められれば、株高とSilver・Platinumの買いが同時に進む可能性があります。しかし、強い賃金が利上げ懸念を高めれば、株安、金利上昇、ドル高が重なり、三金属すべての重荷になり得ます。同じ「雇用統計が強い」という事実でも、市場が成長とインフレのどちらを重視するかで反応は変わります。

また、本日は原油が前日の急反発後にあるため、雇用統計が弱くても原油高が続けば、米金利低下が限定される場合があります。Goldには景気懸念と地政学リスクが支えとなる一方、SilverとPlatinumには製造業需要の不安が残ります。Goldが上昇してもSilverやPlatinumが追随しない局面は、安全資産需要が中心で、工業需要への信頼が十分に戻っていないという分析が可能です。

日本時間の深夜にかけては、発表直後の高値・安値を一度更新した後に反転する展開にも注意します。米国市場の参加者が結果を再評価し、債券と株式の方向が固まるまでには時間差があります。短時間の急騰・急落をトレンドと決めつけず、少なくとも5分足の終値、米2年債利回り、ドル指数の三つが整うかを確認する方針が合理的です。

時刻(日本時間) 材料 市場予想・注目点
14:00 日本6月景気動向指数 先行116.5、一致118.1
15:00 ドイツ6月鉱工業生産・貿易収支 生産前月比+0.3%、収支+173億ユーロ
21:30 米7月雇用統計 NFP+8.0万人、失業率4.2%、時給前月比+0.3%
21:30 カナダ7月雇用統計 雇用+1.0万人、失業率6.5%
23:00 カナダ7月Ivey PMI 前回56.2、予想未提示

 

 

上昇シナリオと下落シナリオ

ドル円の上昇シナリオは、米雇用・賃金が総合的に予想を上回り、米2年債利回りが前日の上昇を維持する場合です。158.55円を明確に上抜けば159.00円、次に159.50円が視野に入ります。ただし介入警戒が強いため、上昇速度が速いほど反落幅も大きくなり得ます。

下落シナリオは、雇用者数の弱さに加えて失業率上昇や過去分の下方改定が確認され、米短期金利が低下する場合です。158.00円を割り、157.55円付近も下抜けば157.00円から156.50円を試す余地があります。突発的な円買い介入が加わる場合、通常のテクニカル水準は一時的に機能しない可能性があります。

Goldの上昇シナリオは、米雇用統計が弱くドルと実質金利が低下し、同時に地政学リスクが残る場合です。COMEXで4300ドルを回復・維持できれば、直近高値圏を再度試しやすくなります。下落シナリオは、強い雇用・賃金で利上げ観測が高まり、4300ドルを回復できない場合です。SilverとPlatinumはGoldより工業需要の影響が大きいため、中国・豪州の景況感悪化が重なると相対的に弱くなる可能性があります。      

 

  

 

本日のトレード戦略

外国為替の戦略

ドル円の想定レンジは157.20~159.30円です。発表前は158.00円と前日高値158.55円を軸に、レンジ内の追随を控えます。158.55円を上回った状態で米2年債利回りも上昇するなら159円方向を検討できますが、158.20円割れを無効化条件とします。反対に157.55円割れと米2年債利回り低下がそろえば157円方向を想定し、158.10円回復で下落シナリオを無効とします。

EURUSDは1.1500~1.1580ドルを目安とします。1.1515ドルの前日安値を割れば1.1500ドルが焦点ですが、米雇用統計後に1.1560ドルを回復するならドル高継続の前提を外します。AUDUSDは0.7000~0.7060ドルを想定し、鉄鉱石安とRBA据え置き観測を背景に、0.7000ドル割れでは下値拡大を警戒します。0.7060ドル超えと商品市況の改善が同時に確認できれば弱気シナリオは無効です。

21時30分は米国とカナダの雇用統計が同時発表されるため、USDCADやCADJPYは二つの国の結果が混在します。方向が定まるまで待つか、取引量を抑えることが現実的です。介入の有無は価格だけで断定せず、急変時は当局発言と公表情報を確認します。    

 

 

貴金属の戦略

GoldはCOMEX4300ドルを分岐点とします。4300ドルを回復し、ドル指数と米実質金利が低下するなら押し目形成を検討できます。反対に4300ドルを下回ったまま米10年債利回りが4.70%方向へ上昇する場合、買い急ぎは避けます。上昇シナリオの無効化は4250ドル割れ、下落シナリオの無効化は4325ドル超えを目安としますが、雇用統計直後は値幅拡大を前提にします。

Silverは61.00~62.50ドルを主な観察帯とします。Goldの上昇と株式・工業金属の安定がそろえば62ドル台回復を試しやすい一方、61ドル割れと株安が重なる場合は相対的な下落が加速し得ます。強気の無効化は60.80ドル割れ、弱気の無効化は62.60ドル超えです。

Platinumは1700~1750ドルを中心に見ます。1735ドル前後を回復し、中国株と豪ドルが底堅ければ上値試しを想定できます。1700ドル割れ、または中国関連資産の同時安では見送りを優先します。強気の無効化は1695ドル割れ、弱気の無効化は1755ドル超えです。三金属とも、原油高だけを買い材料とせず、ドル・米金利・地政学・工業需要の組み合わせで判断します。  

 

  

引用文献

 

 

免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。

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