今週の気になった値動き、データ、ニュース、論文などをまとめます。
今週の外為市場
【10日】
●東京
前週末の弱い米雇用統計による急落の反動でドル円は買い戻され、157円台半ばから158.40円台まで上昇しました。株高を背景としたリスク選好の円売りが主導し、ユーロ円やポンド円も堅調でした。一方、ドルストレートは小動きでした。
●ロンドン
東京市場の流れを引き継いで円売りが続き、ドル円は158.89円付近まで上昇しました。介入後の反動や円キャリー取引の再開が意識され、クロス円も上昇しました。ユーロドル、ポンドドルは方向感に乏しい展開でした。
●NY
ドル円の買い戻しがさらに進み、159円台を回復しました。日銀の「主な意見」はタカ派的でしたが、日米金利差が大きく円高は続きませんでした。ユーロ円、ポンド円も上昇し、160円再挑戦が意識されました。
【11日】
●東京
山の日の振替休日で休場でした。アジア時間は市場参加者が少なく、ドル円は159円前後で小動きでした。翌日の米CPIを控え、全体的に様子見ムードが強まりました。
●ロンドン
中東リスクによる原油高と米金利上昇を背景にドル買いがやや優勢となり、ドル円は159.39円付近まで上昇しました。ただしCPIを控えて上値追いは限定的で、ユーロドルやポンドドルは小幅安となりました。
●NY
米CPIを翌日に控えて様子見が続き、ドル円は159円台前半の狭いレンジで推移しました。160円が意識される一方、再介入への警戒も強く、積極的な売買は控えられました。
【12日】
●東京
ドル円は159.46円付近まで上昇しましたが、米CPIを控えて小動きでした。日本の2年債利回りが31年ぶりの高水準となり、9月利上げ観測が進んだものの円買いは限定的で、クロス円も底堅く推移しました。
●ロンドン
ドル円は159.30円付近から158.60円付近まで急落しました。米金利低下や原油安、介入警戒、大口オプションなどが重なったとみられます。ただし売り一巡後は159円台へ急反発し、神経質な往来相場となりました。
●NY
米CPIはコア前年比2.5%と落ち着いた内容で、発表直後はドル売りとなりました。しかしドル円は158円台からすぐ159円台半ばへ買い戻され、日米金利差とキャリートレードを背景とした下値の堅さが改めて確認されました。
【13日】
●東京
ドル円は159円台前半から半ばでもみ合いました。「高市政権が日銀の追加利上げを支持」との報道で一時159.18円まで下落しましたが、追随する円買いは弱く、すぐ159.40円台へ戻しました。
●ロンドン
ドル円は159.30~40円付近で方向感を欠きました。英GDPは予想を上回った一方、鉱工業生産が弱く、ポンドは一時売られました。ユーロは米金利低下を背景にやや底堅く推移しました。
●NY
米PPIもインフレ鈍化を示し、序盤はドル売りとなりました。しかしドル円はすぐに159円台半ばまで戻し、160円を意識する展開を維持しました。インフレ指標が弱くてもドルの下値は堅い状態でした。
【14日】
●東京
「日銀が早ければ9月利上げを想定」との報道を受け、円買いが強まりました。ドル円は159.15円付近まで下落し、ユーロ円やポンド円も軟調となりました。一方、米利上げ観測後退を背景にユーロドルやポンドドルは上昇しました。
●ロンドン
前日までのドル買いに対する調整からドル売りが優勢でした。ただし夏枯れと週末前で値動きは限定的で、ドル円は159円台前半、ユーロドルは1.15ドル台、ポンドドルは1.35ドル前後で推移しました。
●NY
米小売売上高とミシガン消費者信頼感指数が弱く、ドル円は一時158.60円付近まで下落しました。ただし下値では押し目買いが強く、159円台へ戻しました。米利上げ期待は後退しましたが、円安基調は完全には崩れませんでした。
今週の重要ニュース1位 米インフレ鈍化と小売売上高減少、9月利上げ観測が急後退
発表日時:
- CPI:2026年8月12日21:30 JST
- PPI:8月13日21:30 JST
- 小売売上高:8月14日21:30 JST
概要:
7月の米CPIは前月比0.1%、前年比3.4%、食品・エネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%、前年比2.5%でした。PPIは市場予想の前月比0.2%上昇に対して横ばいとなり、前年比も5.5%から4.7%へ鈍化しました。
さらに小売売上高は市場予想に反して前月比0.6%減少。9カ月ぶりのマイナスで、減少率は14カ月ぶりの大きさでした。GDP算出に使われるコア小売売上高も0.4%減少しました。
為替・金融市場への影響:
9月FOMCの利上げ確率は週初の約52%から31~33%へ低下。ドル指数は99.7前後まで下落し、ユーロとポンドは数カ月ぶりの高値を付けました。S&P500は一時7,816.70の最高値を記録し、米国債にも資金が流入しました。
今後の注目点:
FRBが景気・雇用の減速を重視するのか、依然として3%を超える物価上昇を重視するのかが焦点です。次のPCE価格指数と8月雇用統計が、9月据え置きを確定させるかを確認する必要があります。
情報源:米労働統計局・CPI、米労働統計局・PPI、米国勢調査局・小売統計、Reuters・米CPI、Reuters・米PPI、Reuters・米小売売上高
2位 米・イラン交渉が行き詰まり、ホルムズ海峡緊迫で原油上昇
発生日時:2026年8月11~15日JST
概要:
イランは、米国が条件を受け入れない限りホルムズ海峡を再開しないと表明。一方、米国は対イラン海上封鎖を「無期限」に継続できるとして、追加制裁を予告しました。
海峡ではUAE国営石油会社ADNOCの運航船を含む複数の船舶が攻撃されました。戦争前に1日125~140隻だった通航量は、今週には数隻程度まで減少しています。
為替・金融市場への影響:
ブレント原油は88.52ドル、WTIは82.40ドル前後まで上昇し、週間ではそれぞれ約6.0%、5.4%高。エネルギー株が買われる一方、円・ユーロなどエネルギー輸入国通貨には逆風となりました。米国の平均ガソリン価格も前年同期比29%高の1ガロン4.08ドルまで上昇しています。
今後の注目点:
ホルムズ海峡の実際の通航量、米国の追加制裁、イランが第三国の船舶にも攻撃対象を広げるか、サウジアラビアなどの代替供給能力です。原油高が長引けば、今週後退した米欧の利上げ観測が再燃する可能性があります。
情報源:Reuters・ホルムズ海峡と船舶攻撃、Reuters・原油の週間上昇、Reuters・ADNOC船への攻撃
3位 介入効果が薄れて円は再び160円目前、日銀は9月利上げを検討
発生・報道日時:2026年8月10~14日JST
概要:
前週の日米協調介入で155円台まで上昇した円は、日米金利差を背景に再び159円台後半へ下落。週間では約1%安となり、3カ月ぶりの弱い週になりました。
Reutersは14日、日銀が9月17~18日の会合での利上げを検討し、12月にも追加利上げを行う可能性があると報道しました。市場が織り込む9月利上げ確率は約80%へ上昇しています。
為替・金融市場への影響:
利上げ観測で円は一時158円台へ反発し、日本国債利回りも上昇しました。ただし、米10年債利回りが約4.7%であるのに対し、日本は3%未満で、円キャリー取引を止めるには不十分との見方も残りました。
今後の注目点:
160円超で日米が再介入するか、日銀が9月利上げを事前に明確化するか、9月と12月の連続利上げが現実的かが焦点です。8月27日の氷見野副総裁発言も重要になります。
情報源:Reuters・日銀の9月利上げ検討、Reuters・介入効果剥落と円相場
4位 AI投資と財政赤字が資金を奪い合い、世界の実質金利が高止まり
発生・報道日時:2026年8月14日JST
概要:
Alphabet、Amazon、MetaなどAI大手による2026年の債券発行額が約2,200億ドルに達する一方、各国政府も巨額の財政赤字を賄うため国債発行を続けています。
その結果、米30年物実質金利は約3%と18年ぶりの高水準。英国・ドイツの実質金利も10年来の高水準付近にあります。
為替・金融市場への影響:
今週の物価指標は落ち着いていたものの、超長期金利は低下しにくく、金利感応度の高い成長株、住宅、設備投資には重荷です。一方、米国の相対的な実質金利の高さは中長期的なドルの下支えになります。
今後の注目点:
AI投資が実際の収益・キャッシュフローへ結び付くか、政府と民間の資金需要がクラウディングアウトを起こすか、30年債入札の需要です。
5位 英国GDPが予想を上回り、ポンドは週間上昇
発表日時:2026年8月13日15:00 JST
概要:
英国の6月GDPは前月比0.3%増と、横ばい近辺だった市場予想を上回りました。消費、企業投資、サッカー・ワールドカップ関連需要、好天などが寄与し、英国は2026年前半にG7で最も高い成長率を記録する見込みです。
為替・金融市場への影響:
ポンドは対ドルで1.35ドル台へ上昇し、対ドル・対ユーロとも週間高。英国の相対的に高い短期金利も、低ボラティリティ環境でのポンド買いを支えました。
今後の注目点:
一時的なイベント効果を除いて成長が続くか、来週の賃金・消費者物価、英中銀が年内利上げに踏み切るかです。
情報源:英国国家統計局・月次GDP、Reuters・英国GDPとポンド
ファンダ
CME投機筋ポジション(水曜日時点)
JPYはロング・ショートともに微減。

米10年債は差し引き+6万枚のロング増。

Goldはずっっっっと小商いが続いていましたが、久しぶりのロング2万枚増。これは再上昇の狼煙か?

今週・来週の経済指標・休場
今週は米小売がネガティブサプライズ。かなり弱かったですね。他の指標を待って判断したいところ。

来週は面白そうな指標はない。

値動き
各指数の値動きをまとめます。
各指数
各国株式市場が上昇しました。中でも日経平均は上げ上げ。

Gold
先週の勢いは継続しませんでしたが、一応プラスで終えています。来週もちょいアゲを予想しています。

FX通貨ペア
クロス円は日米協調介入の下げを半値戻ししました。来週以降も流れは円安だと見ています。

各国国債利回り
大きな動きはないものの、各国ともインフレ懸念でジリジリ上げている。

ヒートマップ(週間騰落)
米株はかなり好調。決算も概ね良いし。

日本株はさらに好調でしたね。

世界株もずっと好調です。

クリプトはかなり落ちついていた1週間でした。

MQL5.com新作
T5Copier – MT5用EA
MT5用以前も似たものを紹介しましたが、トレードコピーツールです。
機能は多くありませんが、これをたたき台にLLMに作らせると良いものができると思います。
AI関連
1.Google、Gemini 3.7 Flashを3週間で投入
公開・提供開始日:2026年8月13日
発表主体:Google/Google DeepMind
技術やサービスの概要:
コーディング、長時間のAIエージェント、文書処理、業務自動化を重視した高速モデルです。API、Google AI Studio、Gemini Enterpriseで提供され、個人向けエージェントGemini Sparkにも同日導入されました。
従来技術との違い:
3週間前の3.6 Flashに対し、Googleの公表値では以下の改善が示されています。
- FrontierCode 1.1:34.4%から43.6%
- DeepSWE v1.1:49.0%から65.3%
- AutomationBench:17.0%から30.4%
- WebDev Arena:Elo 1,538から1,588
年末までの導入価格は入力100万トークン当たり0.75ドル、出力3.75ドルで、3.6 Flashの当初価格の半額です。
なぜ重要なのか:
わずか3週間で旧モデルを更新し、性能向上と半額化を同時に進めました。高価な最高性能モデルを少数回使う方式から、比較的安価なモデルを長時間・大量に動かすエージェント型利用への移行を表しています。
現時点での限界や注意点:
数値はGoogleが選定・実行した評価が中心です。Cognition、DataCurve、Arena.ai、Zapierなど外部の評価基盤も含みますが、モデル設定、エージェント用足場、試行回数が完全に統一されているわけではありません。知識の更新時点も分野によって2025年1月~2026年3月と幅があります。
公式情報:Google・Gemini 3.7 Flash発表、Google DeepMind・モデルカード
2.Meta、24GB級の端末で動くマルチモーダルAIエージェントを公開
公開日:2026年8月10日
発表主体:Meta Superintelligence Lab
技術やサービスの概要:
Muse Glimmerは約296億パラメーターの画像・テキスト入力対応モデルです。複数段階の推論、ツール利用、エラーからの再試行を行うAIエージェントとして設計され、Apache 2.0ライセンスでウェイトが公開されました。
約4ビットに量子化したモデルは20GB未満となり、24GBまたは32GBのメモリー環境で動作します。Metaの測定では、RTX 5090上で投機的デコーディングを使った生成速度は毎秒233.4トークンでした。
従来技術との違い:
単なるローカルチャットモデルではなく、画像認識、長期計画、ツール呼び出し、失敗からの回復を一つの約30Bモデルへ統合しています。クラウドへ文書や画像を送らず、端末内でエージェントを動かせる点も特徴です。
なぜ重要なのか:
高性能なAIエージェントが、データセンターだけでなく高性能PCやMac上でも実行可能になりつつあります。機密文書、プログラミング、個人用アシスタントなど、プライバシーを重視する用途への影響があります。
現時点での限界や注意点:
24GB環境には強い量子化が必要です。性能値と「量子化による劣化1%」という数値はMeta自身の評価で、Gemma・Qwenとの比較条件もMeta側が設定しています。端末内で動くことは、安全に自律操作できることを意味しません。
公式情報:Meta公式Hugging Face・Muse Glimmerモデルカード、Hugging Face・技術解説
3.OpenAI、GPT-5.6 Solを最大毎秒750トークンで動かすUltrafastを公開
公開・限定提供開始日:2026年8月13日
発表主体:OpenAI、Cerebras
技術やサービスの概要:
OpenAI APIの新しい処理階層で、GPT-5.6 Solを通常処理の最大14倍、最大毎秒750出力トークンで動作させます。障害対応、音声接客、市場分析、リアルタイム研究など、遅延が利用価値を左右する用途を想定しています。
従来技術との違い:
高速化のために小型モデルへ切り替えるのではなく、同じ高性能モデルをCerebrasの推論基盤で高速実行します。
なぜ重要なのか:
AIエージェントが人間を長時間待たせず、会話中に複数の検索・分析・ツール操作を繰り返せる可能性があります。モデルの「知能」に加えて、単位時間当たりに完了できる仕事量が競争軸になります。
現時点での限界や注意点:
一部顧客だけの限定プレビューです。750トークン毎秒と14倍は「最大値」であり、初回トークンまでの待ち時間、長いコンテキスト、ツール呼び出しを含む総所要時間の独立検証はありません。価格も公表されていません。
公式情報:OpenAI・Previewing Ultrafast mode
健康
犬を飼う人は1日約1,600歩多く、メンタルヘルスも良好だった
公開日:2026年8月10日
研究主体:中国・合肥市の研究機関など
研究デザイン:12カ月の前向き観察研究
対象者:成人258人。犬の飼い主132人、犬を飼っていない人126人
主な結果:
加速度計で測定した開始時点の歩数は、犬の飼い主が1日8,707歩、非飼育者が7,129歩で、差は1,579歩でした。中高強度運動も39.6分対27.4分で、飼い主が1日約12分多い結果でした。
12カ月後には、犬の飼い主で抑うつ・不安スコアが低く、生活満足度が高い関連が認められました。ただし、運動量の多さだけではメンタルヘルスの差を説明できませんでした。
なぜ重要なのか:
主観的な「犬の散歩をしている」という回答ではなく、加速度計で実際の活動量を測定したアジアでの縦断研究です。ペット、日常運動、メンタルヘルスという一般の人が理解しやすい関係を扱っています。
実生活への示唆:
犬との散歩は日常的な活動量を増やす仕組みになり得ます。ただし、健康のためだけに犬を飼うことを勧める研究ではありません。犬を飼わなくても、毎日の散歩習慣や他者との交流によって類似した利点を得られる可能性があります。
研究上の限界と注意点:
無作為化試験ではなく、犬を飼える所得・住環境、もともとの活動性、家族構成などの残余交絡が考えられます。単一都市の258人と小規模で、犬を飼うことがメンタルヘルスを改善したとは断定できません。
原著:Scientific Reports・Dog ownership, accelerometer-measured physical activity, and mental health
その他、ニュース・雑学など
オスのセアカゴケグモは、交尾中に自らメスの牙へ宙返りする
公開日:2026年8月12日
何を調べた研究なのか:
交尾中に自らメスの口元へ腹部を差し出すセアカゴケグモと、その行動を行わないニュージーランド固有種カティポを交配し、「自殺的宙返り」と腹部を細くする行動がどのように遺伝するかを調べました。
嫌な人のために画像は小さくしておきます🕷️

主な結果:
第3世代の交雑個体では半数近くが宙返りを行いました。遺伝パターンから、この複雑な行動はX染色体上の単一領域に近い、比較的単純な遺伝的基盤を持つ可能性が示されました。一方、メスにかまれにくくする腹部収縮は、別のより複雑な遺伝機構と考えられました。
どこが面白いのか:
オスは単に捕食されるのではなく、自ら腹部をメスの牙へ向けます。食べられることで交尾時間を延ばし、より多くの精子を送り、他のオスより有利になる可能性があります。
実は何の役に立つ可能性があるのか:
複雑な行動が少数の遺伝的変化で急速に進化し得ることを示す例です。外来セアカゴケグモと絶滅危惧のカティポとの交雑・遺伝的置換を管理するうえでも参考になります。
研究上の限界:
実験室で作った交雑個体を使った遺伝推定で、原因遺伝子自体を特定・操作した研究ではありません。メス側の反応や飼育環境が行動に影響した可能性もあります。
今週は以上です。良い週末を!


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