TL;DR
昨日の振り返り
- 9月1日のドル円は159.74円で始まり、159.64〜160.27円で推移して160.18円で終了しました。米重要指標が弱かったにもかかわらず、中東情勢悪化と原油高、米金利上昇を背景にドル買いが優勢でした。
- 米ISM製造業景況指数は54.6と予想55.2を下回り、JOLTS求人件数も727.1万人と予想731.4万人を下回りました。それでも原油急騰でインフレ警戒が強まり、米10年債利回りは4.8%台へ上昇しました。
- Goldは安全資産需要よりも金利上昇とドル高の逆風が勝ち、9月2日朝に4,304ドルと3週間超ぶり安値。Silverは63.60ドル、Platinumは1,722ドルまで下落しました。
今日の見通し
- ドル円は160円台前半を中心に、160.40〜160.50円を上抜けるか、160円を再び割り込むかを確認します。中東情勢、原油、米10年債利回りが同方向に動く限り、ドル高圧力が続きやすい状況です。
- 豪州第2四半期GDPは前期比+0.4%で予想通り、前年比+2.1%で予想+2.0%を小幅に上回りました。豪ドル円は一時114.67円まで上昇したものの、世界的なドル高と金利上昇で上値は重くなっています。
- 今晩21:15 JSTの米ADP雇用者数が最大の短期材料です。強い結果なら米利上げ観測がさらに強まり、ドル円上昇・Gold下落、弱い結果ならその巻き戻しを基本シナリオとします。
ドル円160円台、Gold4304ドルと原油95ドルをどう読むか
9月2日のアジア市場は、「地政学リスクならGold買い」という一般的な図式が崩れています。米国とイランの戦闘再拡大でBrent原油は95ドル台へ上昇しましたが、Goldは4,304ドルまで下落しました。原因は、原油高がインフレ再加速とFRBの追加利上げ観測を強め、米10年債利回りを4.81%まで押し上げているためです。ドル円も160円台前半へ上昇しており、今日は安全資産需要より「原油 → インフレ → 金利 → ドル」の連鎖を優先して読む必要があります。
9月1日のドル円は160.27円、弱い米指標でもドル高
本日9月2日に公表されたみんかぶの四本値によると、9月1日のドル円は始値159.74円、高値160.27円、安値159.64円、終値160.18円でした。米国時間には介入後の戻り高値を更新し、東京午前にはさらに160.39円付近まで上昇しています。
| 市場 | 9月1日〜2日の確認値 | 注目点 |
|---|---|---|
| USDJPY 1日始値 | 159.74円 | 159円台後半で開始 |
| USDJPY 1日高値 | 160.27円 | 介入後の戻り高値 |
| USDJPY 1日終値 | 160.18円 | 160円台を維持 |
| 2日東京午前 | 160.39円付近 | ドル高継続 |
| ドル指数 | 99.79 | 8月17日以来の高値 |
通常なら、米ISM製造業景況指数54.6、JOLTS求人件数727.1万人という予想を下回る結果はドル売り材料になりやすいです。しかし今回は市場が弱い景気指標より、中東情勢と原油高によるインフレ再加速を強く意識しました。
Reutersによると、FRBの9月利上げ確率は約68%まで上昇しています。米10年債利回りは4.81%と2023年11月以来の高水準に達し、ドルを支えています。
ドル円の重要な点は、日銀の9月利上げ観測が強いのに円高が進んでいないことです。植田総裁は本日、景気・物価の上振れリスクを踏まえて金融政策を判断すると述べ、追加利上げを続ける姿勢を改めて示しました。それでもドル買いが優勢ということは、足元では日銀要因より米金利と原油の影響が大きいと考えられます。
原油95ドル台、米10年債4.81%がGoldを押し下げる
Brent原油は9月2日朝に95.74ドル、WTIは91.05ドルまで上昇しました。前日のNY市場ではBrentが4.6%、WTIが5.2%上昇して5週間ぶり高値で引けています。
米国とイランは再び直接攻撃を交わし、ホルムズ海峡を通じた原油供給への不安が高まっています。原油供給不安そのものは安全資産としてGoldを買う理由になりますが、今回は同時にインフレと利上げ観測を強めています。

Goldは9月2日朝に0.6%安の4,304.01ドルと、8月7日以来の安値を付けました。12月限先物は4,350.80ドルです。Silverは1%安の63.60ドル、Platinumも1%安の1,722.23ドルでした。
ここで重要なのは、「中東戦争が激化したのにGoldが下落した」という事実です。安全資産需要は存在していても、米金利上昇とドル高による逆風の方が強ければGoldは下落します。非利息資産であるGoldにとって、4.8%を超える米10年債利回りは無視できない負担です。
Business Timesも、Goldが200日移動平均線を下回り、世界的な債券利回り上昇が相場の重しになっていると報じています。短期的には地政学ニュースより、米金利が4.8%台を維持するかを先に確認した方が相場との整合性が高いです。
世界的な債券売り、豪10年債も5.2%台
債券売りは米国だけではありません。Reutersによると、日本10年債は3%を超え、豪10年債利回りも5.198%まで上昇しました。長期債市場では、原油によるインフレ懸念に加え、各国の財政赤字と巨額の債券発行への警戒も重なっています。
アジア株はこれを嫌気し、MSCIアジア太平洋株指数は1.5%安、韓国KOSPIは3%超安、日経平均も2%超下落しました。シンガポールのBusiness Timesも、世界的な金利上昇と原油高をアジア株安の中心要因としています。
株式のリスクオフが強まってもGoldが上昇していない点は、今日の相場を象徴しています。市場は「リスク回避だから金」というより「インフレ再燃だから現金・高金利通貨・短期債」という反応に傾いています。
豪GDPは前期比0.4%、前年比2.1%でRBA利上げ観測を追認
豪州では本日10:30 JSTに第2四半期GDPが発表されました。前期比は+0.4%で市場予想と一致し、前期の+0.3%から小幅加速しました。前年比は+2.1%で、予想+2.0%をやや上回っています。
みんかぶによると、GDP発表後に豪ドル円は一時114.67円まで上昇しました。前週の豪CPI上振れに続き、景気も大きく崩れていないことが確認され、9月のRBA利上げ観測を支える材料です。

ただし豪ドルの上値は重くなっています。世界的なドル高と金利上昇でリスク資産が売られており、豪州株も1%超下落しました。国内GDPが良いからといってAUDUSDが一直線に上昇する状況ではありません。
今日の豪ドルでは、国内金利上昇という追い風と、世界的なリスクオフ・ドル高という逆風のどちらが勝つかを見る必要があります。豪ドル円は円安の影響もあるため、AUDそのものの強弱を見るならAUDUSDやAUDNZDも併せて確認した方が明確です。
植田総裁は物価上振れリスクを警戒、円高につながるかは米金利次第
植田日銀総裁は本日、経済データは日銀の見通しに沿っており、9月17〜18日の会合では物価の上振れリスクを含めて政策を議論すると述べました。市場では追加利上げ観測がかなり強まっています。
さらにベッセント米財務長官は円安への対応として日銀に「断固とした」金融政策を求めています。日本側の追加利上げを後押しする材料ですが、ドル円は160円台を維持しています。
これは、円相場が日銀だけで決まらないことを改めて示しています。日本が利上げしても米10年債利回りが4.8〜5%へ上昇すれば、日米金利差は依然大きく残ります。また原油高は日本の輸入負担を増やし、円には交易条件面の逆風です。
したがって「日銀利上げ観測=ドル円ショート」と単純化するより、米10年債利回りが低下へ転じるかを確認する必要があります。
今晩は21:15 ADP、週末は米雇用統計
本日の米国では21:15 JSTに8月ADP雇用者数が発表されます。市場予想は前月比+4.9万人、前回は+4.4万人です。23:00には製造業新規受注と耐久財受注確報値、23:30には米週間石油在庫統計が予定されています。
ADPが強ければ、今月のFRB利上げ観測がさらに高まり、米金利・ドル上昇、Gold・Silver・Platinum下落が基本反応です。逆に弱ければ、前日のISMとJOLTSの弱さが再確認され、米金利上昇がいったん止まる可能性があります。
ただし現在は原油と中東情勢が強い外生変数です。弱いADPでもBrentが100ドル方向へ上昇する場合、インフレ警戒が残り、米金利低下が限定される可能性があります。雇用統計だけで相場を決めつけず、発表後の米10年債利回りと原油を同時に確認します。
本日のトレード戦略
外国為替の戦略
ドル円は159.80〜160.60円を本日の主要監視レンジとします。昨日終値160.18円、東京午前高値160.39円を基準に、160円を維持できるかを最初に確認します。
上方向では160.40円を上抜き、米10年債利回りが4.81%を超えて推移する場合に160.60〜160.80円を確認します。ただし160円台では日本当局による円安けん制や介入警戒が強く、急伸局面での追随は避けます。
下方向では160.00円を割り、米10年債利回りも4.75%方向へ低下する場合に159.80円、さらに159.60円を確認します。159.60円を割れば、昨日の上昇分の巻き戻しが進んでいる可能性があります。
AUDUSDは豪GDPが堅調だったため、国内材料だけなら底堅さが意識されます。ただし世界的なドル高が主役の間は上値追いを避けます。豪ドル円では114.70円前後を上抜けば115円方向、114.20円を割る場合はGDP後の買いが失速したと判断します。
無効化条件は、米金利上昇にもかかわらずドル円が下落するケースです。その場合、日本当局の対応や円キャリー解消など、金利差以外の円買い要因を優先します。
貴金属の戦略
Goldは4,300ドルを最重要の短期ピボットとします。4,300ドルを維持し、ADP後に米10年債利回りが4.75%を下回る場合は4,330〜4,350ドルへの自律反発を確認します。
強気シナリオの無効化は4,300ドル割れと米金利上昇が同時に進む場合です。4,280ドルを割れば、200日移動平均線割れ後のテクニカル売りが続いていると判断します。
Silverは63.50ドルを分岐とします。63.50ドルを維持しGoldが反発するなら64〜65ドル方向を確認します。63.50ドル割れとアジア株安が続く場合は、工業需要の弱さも加わりGoldより下落率が大きくなる可能性があります。
Platinumは1,700ドルが心理的節目です。1,700ドルを維持し豪州・中国関連株が落ち着けば1,750ドル方向の戻りを確認します。1,700ドル割れは短期反発シナリオの無効化条件です。
原油はBrent95ドルを確認します。96〜100ドル方向へ上昇し米金利も上がる場合、Goldには安全資産需要より金利上昇の逆風が優勢と判断します。反対に原油高でも米金利が低下しGoldが反発するなら、初めて地政学プレミアムが主役へ戻った可能性があります。
引用文献
- Dollar holds firm at nearly two-week high as Middle East hostilities lift oil
- Gold hits over 3-week low as MidEast tensions fan rate-hike fears
- Asian markets tumble as US-Iran fighting lifts oil and bond yields
- Oil up nearly 1% as US and Iran trade fresh strikes
- Bond selloff deepens as inflation, oil prices jolt markets
- BOJ chief vows to keep raising rates, debate price risks this month
- Gold hits over 3-week low as Iran war tensions fan rate hike fears
- South Korean stocks slip 2.9% as Asian equities fall on oil gains, bonds drop
- BOJ’s Ueda to decide on interest rate hike with upside price risks in mind
- 1日の為替市場の四本値(ドル円・ユーロドル・ユーロ円)
- 〖本日の見通し〗ドル高の流れ優勢か
- 豪経済指標〖実質GDP〗
- 米利上げ観測でドル高、政策金利発表後NZドルは急落=東京為替前場概況
- 本日の予定〖経済指標〗
- 本日の予定〖発言・イベント〗
免責事項: 本レポートに含まれる情報は、情報提供のみを目的としており、投資助言を意図するものではありません。実際の取引においては、ご自身のリスク許容度に合わせて判断を行ってください。


コメント