シリーズ「リスク管理と資金管理」全8回の第2回です。
前回、損切りは金額ではなく「根拠が崩れる場所」に置く、と書きました。そうすると損切り幅が毎回変わります。幅が変わってもリスク額を一定に保つのがロットの役割です。
計算自体は割り算1回で終わります。ただ、この計算をすると自分が普段どれだけ大きく張っているかが数字で出てくるので、そこが本題になります。
TL;DR
- ロット = 許容損失額 ÷ 損切り幅。これだけです
- 資金100万円・リスク2%なら、損切り5pipsで40万通貨、100pipsで2万通貨。同じ「2%リスク」でロットは20倍違います
- 損切りを狭くするほどロットは大きくなり、実効レバレッジが上がります。5pipsだと60倍相当です
- ロットを先に決めてから損切りを置くと、この関係が逆流します
計算
資金100万円、1回のリスクを2%(=2万円)とします。ドル円で1万通貨を持つと1pipsが100円です。
| 損切り幅 | 建てられる数量 | 実効レバレッジ相当 |
|---|---|---|
| 5 pips | 400,000 通貨 | 60.0 倍 |
| 10 pips | 200,000 通貨 | 30.0 倍 |
| 20 pips | 100,000 通貨 | 15.0 倍 |
| 30 pips | 66,667 通貨 | 10.0 倍 |
| 50 pips | 40,000 通貨 | 6.0 倍 |
| 100 pips | 20,000 通貨 | 3.0 倍 |
ドル円150円として計算しています。リスク額はどの行も2万円で同じです。変わっているのは損切り幅だけ。
目を引くのは右の列です。損切り5pipsのスキャルピングは、リスク2%を守っていても実効レバレッジが60倍相当になります。国内口座の上限25倍を超えているので、そもそも建てられません。
「狭い損切り=低リスク」ではない
損切りが狭いほど安全に感じますが、リスク額を一定にする限り、狭い損切りは大きなロットを意味します。1回あたりの損失は同じでも、次の2つが変わります。
スリッページの影響が大きくなります。損切り5pipsで1pipsすべった場合、想定損失に対して20%の超過です。100pipsなら1%です。同じ1pipsのすべりでも、痛みが20倍違います。
コストの比重が跳ね上がります。往復0.8pipsのコストは、損切り5pipsに対しては16%に相当します。100pipsなら0.8%です。狭い損切りの手法がコスト負けしやすいのは、勝率の問題ではなくここが理由です。
順番を逆にすると壊れる
よくあるのが、先にロットを決めてしまうパターンです。「いつも1万通貨」と決めていると、損切り幅のほうが調整弁になります。
- 損失額を抑えたいので、損切りを近くに置く
- 根拠と関係ない場所なので刈られる
- 刈られたくないので損切りを遠くする
- 今度は1回の損失が想定を超える
ロットが固定されている限り、この往復から出られません。ロットは結果であって、決めるものではありません。
まず何をするか
- 1回の許容損失額を決める(資金の何%か)
- エントリーのたびに、根拠が崩れる場所までのpipsを測る
- 許容損失額 ÷ そのpips でロットを出す
- 出たロットが口座のレバレッジ上限を超えるなら、その手法はその資金では回せません
4番目は見落とされがちです。計算結果が上限を超えるということは、その損切り幅と資金量の組み合わせが成立していないという意味です。ロットを下げて辻褄を合わせると、リスク%の設定が形骸化します。
通貨ペアごとのpips価値の違い、クロス円やゴールドでの計算、複数ポジションを持つときの合計リスクの見方は、リスク管理コースの「ポジションサイズの計算」にまとめてあります。
次回は、1回のリスクを何%に設定すべきかを扱います。2%という数字がよく出てきますが、その根拠を確かめます。


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