シリーズ「リスク管理と資金管理」全8回の第5回です。
5連敗したとき、手法が壊れたのか、それとも普通に起きることなのか。この区別がつかないと、たまたま負けが続いただけで手法を捨てることになります。
連敗の長さは勝率とトレード数から計算できます。先に知っておけば、想定内か想定外かをその場で判断できます。
TL;DR
- 勝率50%でも、300トレードあれば7連敗が中央値です。半分の人が経験します
- 同じ条件で、100回に1回は13連敗まで伸びます
- 勝率40%なら300トレードで10連敗が中央値。勝率30%なら13連敗
- 連敗しても手法を疑う根拠にはなりません。疑うべきは表を超えたときだけです
勝率別・最大連敗の目安
20,000通りのシミュレーションで、期間中に起きた最大連敗の中央値です。カッコ内は99パーセンタイル、つまり「100回に1回はここまで伸びる」水準です。
| 勝率 | 100トレード中 | 300トレード中 | 1000トレード中 |
|---|---|---|---|
| 30% | 10連敗(最悪21) | 13連敗(最悪25) | 17連敗(最悪28) |
| 40% | 7連敗(最悪16) | 10連敗(最悪18) | 12連敗(最悪20) |
| 50% | 6連敗(最悪12) | 7連敗(最悪13) | 9連敗(最悪15) |
| 60% | 4連敗(最悪9) | 6連敗(最悪10) | 7連敗(最悪12) |
| 70% | 3連敗(最悪7) | 4連敗(最悪8) | 5連敗(最悪9) |
勝率が高いほど連敗は短くなりますが、ゼロにはなりません。勝率70%でも1000トレードあれば5連敗は普通に起きますし、稀に9連敗します。
トレード数が増えるほど最大連敗が伸びるのもポイントです。長く続けるほど、いつかは長い連敗を引きます。避けられません。
連敗中に資金がどこまで減るか
連敗の回数より、そこで資金がいくら減るかのほうが実務では重要です。リスク%との掛け算で出ます。
勝率50%・300トレード・7連敗を前提にすると、
- リスク1%なら約7%の減少。ほぼ気になりません
- リスク2%なら約13%。少し重い程度です
- リスク5%なら約30%。かなり効きます
- リスク10%なら約52%。半減です
リスク%の回で、リスク10%だと最大ドローダウンが-81%になると書きました。その内訳の大部分がこれです。連敗そのものは避けられないので、連敗が来たときにいくら減るかをリスク%で調整するしかありません。
手法を疑うべきタイミング
連敗の長さだけでは判断できません。表の「最悪」列を超えたときが最初の目安になります。勝率50%を想定していて15連敗したなら、1000トレードでも100回に1回の事象です。前提のほうを疑う理由になります。
ただし、これも1回では決まりません。想定勝率そのものが検証時の過大評価だった可能性があります。連敗を引き金に、勝率の推定に戻るのが順序としては正しい。
逆に言えば、表の範囲内の連敗で手法を変えるのは、ノイズに反応しているだけです。ここで乗り換えを繰り返すと、どの手法も評価できないまま時間が過ぎます。
まず何をするか
- 自分の手法の想定勝率を確認する
- 上の表で、その勝率での「中央値」と「最悪」を書き出す
- その連敗が来たときの資金の減り方を、リスク%との掛け算で出す
- 減り方が耐えられないなら、連敗が来る前にリスク%を下げる
3番目まで済ませておくと、実際に連敗が来たときに「表の範囲内だ」と確認して続けられます。事前に書いていないと、その場では必ず動揺します。
想定勝率をどう推定するか、そもそも何トレードあれば勝率を信頼できるかは、リスク管理コースの「ポジションサイズの計算」と、検証コースの「1本のバックテストでは分からないこと」で扱っています。


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